バイト先の先輩の娘さんとの、波乱万丈な恋物語・番外編⑤ HE4VEN〜天国にようこそ〜

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マー坊とせっちゃん、「バカ夫婦」のエッチな体験談に多数の続編希望のお声を頂き、激裏GATE-エロティカの読者の皆様本当に何時も有難う御座います。m(__)mペコリ

相変わらず拙い乱文では有りますが、マー坊とせっちゃんのラブラブな結婚生活物語をお楽しみ下さいませ。

登場人物スペック

「誠人❝マー坊❞」→レストランで働いている、仮性包茎でちっぱい好きなコックさん。せっちゃん命のクソ真面目な一穴主義者。

「節子❝せっちゃん❞」→16歳でお母さんになった、輪姦被害経験の有るアニメ顔のちっぱい幼妻。マー坊命のちょっぴりヤキモチ焼きな一棒主義者。

「鉄さん」→誠人が働いているレストランの先輩コックにして、節子の父親。厳つい強面で、仕事には滅茶苦茶厳しいが、根はいい人。

・・・

「誠人…ちょっと良いかしら?」

「御免、お袋…此処だけ掃除終わらさせて…」

休日の午前中、台所のゴミとホコリをハンディクリーナーで吸い取っていた俺は、お袋の呼び掛けに返答すると。

ハンディクリーナーの電源を落とし、定位置に戻すと食卓の椅子に腰掛ける。

「お袋、お待たせ…それで、要件は何?」

「誠人…この間、あなたのお父さんの話はしたでしょう?」

「…ああ」

「お父さんと離婚した時…進学する、しないに関わらず、誠人が大学を卒業する21歳の3月まで養育費を振り込んでもらう約束だったの…」

「…で?」

「誠人…コレが、あなたの為の養育費よ」

と言いながらお袋は…色とりどりの銀行の預金通帳の束をテーブルの上に取り出す。

一番上に差し出された、真新しい預金通帳を見てみると…。

八桁を超える預金総額に、俺は内心仰天していた。

「お袋…」

「コレは…今から誠人、あなたのお金よ。誠人の好きに使いなさい」

「お袋…本当に有難う」

「ちょっと…なんでアタシに頭を下げるの?感謝はお父さんにしてよね…誠人」

「お袋…もしかしてこのお金、全く手を付けていないのか?」

「…えぇ。正直、手を付けたくなる衝動に駆られた事は何度も有ったけど…その度に誠人の寝顔を見て踏み留まったわ…❝コレは誠人の為のお金❞、って…」

「お袋…」

「おとーたん…」

とそこへ、美花子が俺の元によちよちと歩み寄って来た。

「んー、美花子…よいしょっ、と…」

と言いながら俺は、愛娘を抱き上げる。

「んー、美花子…また重くなったなぁ…」

「ねぇ、おとーたん…これなぁに?」

「美花子…ちょっと良いかな?コレは…美花子と、これから産まれてくる美花子の兄弟姉妹の為のお金なんだよ」

「…おかね?」

「そうだよ。美花子と、その兄弟姉妹を育てるには…いっぱいお金が必要なんだ」

「おかねー、おかねー、きょーだい、しまいー」

俺は苦笑しつつ、美花子をぎゅーっと抱き締めてあげる。

「おとーたん…」

(後何人兄弟姉妹が出来るか分からないけど…このお金は美花子達、子供の為に役立てないと…)

俺はそう、決心していた。

・・・

「で…利章さん。このお金、どうしたら良いと思います…?」

翌日。

レストランの休憩室で、ウォーターサーバーのミネラルウォーターを飲み干しながら、俺は利章さんに質問をぶつけていた。

「うーん…この超低金利時代に銀行に塩漬けにしても、得られる金利はたかがしれてますからね…」

「やっぱり…」

「まぁ、今どき財産は❝貯蓄❞と❝運用❞に分けて考えるのが常識ですからね…」

「そうですか…」

「まぁ…元本を出来るだけ減らしたく無い運用を考えていらっしゃるのでしたら…確実なのは❝純金積立❞でしょうね」

「純金積立…」

「金は無価値になる事はまず、有り得ない貴金属ですから…ただ、得られる利益は❝銀行の金利よりは多少マシ❞と言う程度ですが。まぁ❝資産を増やす❞と言うよりは❝資産を減らさない❞為の運用、と割り切った方が良いですよ」

「利章さん…有難う御座います」

「いえいえ、どういたしまして…」

「誠人クン、誠人クン…お母様からお電話ですよ」

「お袋から…ですか?分かりました、店長」

と言うと俺は事務所に向かい、電話機の受話器を取る。

「はい、もしもし…すいません、お待たせ致しました」

「あ…もしもし、誠人?いい、良く聞いて…」

ただならぬ口調に、俺は❝これはただの電話では無いな❞と、本能的に感じた。

「何だ?お袋…」

「お父さんが…亡くなったそうよ」

「え…」

「たった今…速達郵便で案内状が来てね。それで、日取りだけど…もしもし?誠人、聞いてる?誠人?」

「あ…御免、お袋。それで、日取り…だったっけ?」

「明後日御通夜で明々後日、身内の人達だけで密葬を行って…四十九日が過ぎたら改めて、社葬を行うそうよ。それで私達には、御通夜と密葬だけでも是非、出席して欲しいって…」

「…分かった。明後日と明々後日、休める様に掛け合ってみるよ」

「それじゃ、今からせっちゃんと美花子の喪服を二人で買ってくるから…」

「…分かった。気を付けてな、お袋…」

「それじゃ…」

俺は通話の途切れた受話器を戻すと、店長の座るデスクに向き直る。

「誠人クン…何事か、有ったのですね?」

「ハイ…離婚した俺の親父が、天に召されたそうです。それで、明後日…」

「誠人クン。明日から一週間、忌引休暇を与えますから…思い切って休んできなさい」

「良いんですか?店長…」

「誠人クンもここのところ、出突っ張りでしたからね…骨休めしてきなさい。良いですね?」

「…店長、本当にすいません。有難う御座います…」

俺は深々と頭を下げると、手洗いとアルコール消毒をして厨房に戻る。

「マー坊…どうした?」

「離婚した俺の親父が、天に召されたそうです…」

「それで、日取りとかは…」

「明後日御通夜で明々後日…身内だけで密葬を行うから、是非出席して欲しい…との事です」

「そうか…分かった」

「それで…店長からは、明日から一週間、忌引休暇を与えるから休んでこいと…」

「まぁ…マー坊もここんとこ出突っ張りだったしな…」

「マー坊…親父さんがどんな人だったかを知る、絶好の機会だ。最後のお別れに行って来い。良いな…」

「鉄さん、そして皆さん…有難う御座います…コレから一週間、宜しく御願いします」

・・・

「わーい、ちんかんせん、ちんかんちぇんだぁー」

そして御通夜の日。

俺達は上越新幹線で、北関東に向かっていた。

お葬式とは言え初めての遠出とあって、美花子のテンションは最高潮。

俺達は美花子の奇行に苦笑しつつ、他のお客さんの迷惑にならない様に釘を差す事も忘れなかった。

「美花子っ!」

「…おとーたん?」

「美花子…此処は美花子一人の遊び場じゃ無いんだよ。遊ぶのは…ホテルに着いてから。それまでは…あんまりはしゃいじゃ駄目だよ、美花子」

「おとーたん…ほてるついたら、あそぶ?」

「うん…」

「おかーたん、ほてるついたらみかことあそぼっ!」

「美花子…」

ワンピース型の喪服を身に纏ったせっちゃんは…何時になく新鮮に見える。

何時もよりも低い位置で纏めた黒髪…首筋に光る黒真珠のネックレス…足全体を包む黒のストッキング…そして何時も以上にハッキリと分かる、か細いくびれ…。

誰も居なければ、その場で押し倒したくなる❝罪な美しさ❞だ。

「…誠人さん」

「…何?せっちゃん」

「節…本当に、美花子を連れてきて、良かったんでしょうか…」

「こういう経験も、美花子の成長には絶対必要だと思うけど…。❝人が生きる、そして死ぬ❞ってどういう事か、肌で感じる貴重な場だと思うんだ、俺は…」

「次は、高崎…高崎で御座います…」

「誠人…せっちゃん…忘れ物はないかしら?美花子ちゃん…降りる準備は出来た?」

「ばーば…みかこ、ちんかんせん…おりちゃうの?」

「そうよ。此処から在来線に乗り換えて、誠人のお父さんのところに向かうのよ」

「え…やだ…みかこ、ちんかんちぇんおりたくなーいー!」

と叫ぶや否や。

美花子は激しく号泣し始めた。

「やだー、やだー、やだー!みかこちんかんせんおりたくないー!もっとちんかんちぇんのるのー!」

車内のお客さんの視線の大半が、俺達バカ家族に向けられる中、俺は必死に美花子をあやしていた。

「美花子…新幹線じゃない在来線にも、面白い電車はいっぱい有るんだよ。だから泣き止んで、美花子…」

「えぐっ、ひっく、びぃぃ…おとーたん…ひっく、ざいらいせん…おもちろい?」

「勿論。きっと美花子が楽しめる様な電車さんが有るはずだよ、美花子…」

「うん。日本には…色んな面白い電車が沢山有るからね。美花子…お父さんとお母さんと、いっぱい面白い電車を探そう?」

「うん!みかこ、おもちろいでんしゃ、いっぱいのりたい!」

❝さっきまでの大号泣は一体、何だったのか?❞と拍子抜けする程アッサリと手の平返しした美花子は、俺達バカ夫婦に満面の笑顔を披露。

俺達は取り敢えず…この場を丸く収められた事に内心、安堵していた。

「それじゃ誠人…せっちゃん…美花子ちゃん。降りるわよ」

俺達は在来線に乗り換えると、鈍行列車に揺られて目的地の駅に到着。

「うわぁー…」

俺達バカ家族はガチで何も無い駅前に、思わず絶句していた。

すると。

お袋の携帯電話が、着信音を鳴らし始める。

「ハイもしもし、美佐代です。ハイ、今○○駅の駅前ですが…ハイ、分かりました、宜しく御願い致します」

「何?お袋…」

「会社の方が、今お迎えの車を回すから此処で待ってて下さい、って…」

「ばーば、ぶーぶー?」

「そう…美花子ちゃんとお父さんお母さん、それにばーばをぶーぶーが運んでくれるのよ」

「わーいわーい、ぶーぶーだぁー♡」

…と、そこへ。

良く言えば年代物、悪く言えば廃車一歩手前の右ハンドルのベンツが俺達の目の前で停車して。

ブラックスーツを纏った壮年のおじさんが二人、俺達に歩み寄って来た。

「あの…美佐代さんで御座いますか?」

「ハイ、そうです」

「どうも始めまして…私、この度故人の葬儀委員長を務めさせて頂く、次期社長の●●と申します。コチラは…故人の専属運転手の伊知朗さんです。本日はお忙しい中、御足労頂き恐れ入ります…」

「こちらこそ、どうも始めまして…。私、故人の先妻でした美佐代と申します。こちらは息子の誠人とお嫁さんの節子さん、それに孫の美花子ちゃんです…こちらこそわざわざ故人の法事に御招き頂き、誠に恐れ入ります…」

「どうも始めまして…誠人です」

「始めまして…誠人の妻の節子です」

「はじめまちて…あたち、みかこ!ねーねーおとーたん、このおぢちゃんたち、だぁれ?」

「み…美花子!あ…どうもすいません、娘が大変失礼な事を…」

「いえいえ、お気になさらず…大変好奇心旺盛そうなお嬢さんで、何よりです。それでは式場へお送り致しますので、車内へどうぞ…」

「わーい、ぶーぶー」

俺達バカ家族がベンツの後部座席に乗り込むと、ガタピシ感が否めないエンジン音を響かせて、ベンツは目的地の斎場へ一直線。

そして斎場の出入り口の前で車を降りた俺達バカ家族を出迎えたのは…濃紺のセーラー服を身に纏った美少女。

シャキッとした立ち姿、ミディアムボブの美しい黒髪、全てを射抜くかの様な鋭くも優しい眼差し、清楚な色気を醸し出す泣きぼくろ、そして服越しにでも分かる形の良い二つの膨らみ。

初対面の男性ならば、恐らく九分九厘一目惚れするであろう文字通り、❝とびっきり❞の美少女だ。

「皆様、どうも始めまして…。私、この度亡き父…隼人の喪主を務めさせて頂く、娘の真奈美と申します。本日はわざわざ御足労頂き、誠に有難う御座います…」

「こちらこそ…どうも始めまして。私…故人の先妻でした、美佐代と申します。本日はこの様な席にわざわざ御招き頂き、本当に恐れ入ります…」

「どうも始めまして…息子の誠人です。コチラは…妻の節子と、娘の美花子です。以後、お見知り置きを…」

「始めまして…私、誠人さんの妻の節子と申します…」

「おねーちゃん、こんにちは!あたち、みかこ!ねーねーおねーちゃん、いっしょにあそぼーよー」

「み…美花子!」

「うふふ…本当に、元気なお嬢様ですね…。あの、こんなところで立ち話もなんですし、コチラでお寛ぎ下さい…」

と真奈美さんは自ら、斎場の控室へ俺達バカ家族を案内する。

「あ…どうも始めまして。私…旦那様とお嬢様の身の回りの御世話をさせて頂いている、伊知朗の妻の華子と申します。本日はわざわざ御足労頂き、誠に恐れ入ります…」

と言いながら出された緑茶で、俺達バカ家族は長旅で乾いた喉を潤す。

「あ…華子さん。美花子さんに何か、おやつをお持ちして頂けますか?」

「ハイ…お嬢様、承りました」

「本当にすいません…」

「いえいえ、コチラこそ…」

「あの…」

「何でしょうか?❝お兄様❞?」

「お…お兄様?」

「ハイ…例え半分しか血は繋がっていなくとも、私にとっては大切なお兄様ですから…」

「あの…真奈美さん。大変聞きにくい事をお伺いしますが…その、お母様は…」

「六年前に、急性心筋梗塞で…」

「そ、そうでしたか…。本当にどうもすいません、思い出したく無い事を御伺いしてしまって…」

「いいえ…」

「それにしても、真奈美さん…。良く分かりましたね、自分達の連絡先が…」

「あの…実を言いますと…」

「…え?」

「私が中学に進学した時に…父から、興信所に調べて頂いた資料と一緒に知らされたんです、お母様達の事を…」

「興信所…」

「ええ…父は年に一度、興信所にお母様、そしてお兄様の近況を調べて頂いておりまして…」

「それで…すんなり連絡がついた訳ですね、納得しました」

「ハイ…私、父から渡された資料を拝見する度に、本当にワクワクしておりました…❝お母様やお兄様、そして義姉様は、どんな方々なのでしょう❞と…」

「・・・」

「ですが…こうやってお会いして、一安心しました。皆様…私の想像以上に、とってもお優しい、親切な方々で…」

「いえいえ…買い被り過ぎですよ…」

「あの…真奈美さん。申し訳有りませんが、仏様の御顔を、拝ませて頂けないでしょうか…」

「ハイ…分かりました。では、こちらへ…」

俺達は真奈美さんの案内で、斎場の本堂に安置された仏様の元へと案内される。

「真奈美ちゃん。そちらの方々は…?」

「以前お話した…父の前の奥様と、息子さんのご家族です」

「どうも始めまして。私…故人の弟で、真奈美の後見人の直人と申します。こちらは…私の妻、そしてこちらが私の妹です。以後、お見知り置きを…」

「こちらこそ始めまして。私…故人の先妻でした美佐代と申します」

俺達は簡単な挨拶を交わすと…棺に収められた、故人の顔を覗き込む。

そこには…全ての苦しみや悩みから開放されたかの様な、穏やかな表情が有るだけだった。

俺は思わず…涙を流しつつ、仏様となった親父に手を合わせていた。

(親父…親父…)

「ねーねー、おとーたん?このおぢちゃん…なんでここでおねんねちてるのー?」

美花子の全く場を読まない突拍子も無い発言に一瞬、本堂の空気が凍り付く。

「…美花子。このおぢちゃんはね…仏様になったんだよ」

「ほとけちゃまって…なぁに?」

「…美花子ちゃん。人間はね…心臓が止まると、仏様に生まれ変わって…お空の遥か上に有る、天国ってところに行くのよ」

「てんごく?」

「そう…だから、今から仏様が無事に天国に行ける様に…❝お葬式❞をするのよ」

「おそーしき…」

「美花子ちゃん、こう御手々を合わせて…」

「ばーば…こぉ?」

「うん、そう…そしてお目々を瞑って、❝仏様が天国に行けます様に❞、って考えるのよ…」

「ほとけちゃま…」

俺はお袋の、美花子の操縦術に正直、関心していた。

「皆様…お揃いになりましたか?お揃いになりましたら…これから読経を始めまして頂きます。皆様…御着席下さいませ」

本堂に現れたお坊さんの声に促されて、俺達を始めとする列席者はパイプ椅子に着席すると、お坊さんが唱えるお経に、神妙に聞き入っていた。

そして読経が終わり、俺達列席者は再び、控室に引き返す。

そこにはお寿司屋さんが用意した、お寿司の出前と数本のビール瓶に烏龍茶とジュースのペットボトルが鎮座していた。

「えー、本日は亡き父、隼人の通夜に御参列頂き…誠に有難う御座います。細やかでは有りますが、お料理を用意させて頂きましたので…故人の話題で盛り上がって下さい。それでは…献盃!」

「献盃!」

俺達バカ家族はお寿司に手を伸ばしつつ、直人さんや次期社長さんとも会話を交わす。

「おかーたん…このきらきら、なあに?」

「コレはイクラって言う…鮭の卵を醤油漬けにしたものよ」

「…わーい、ぷちぷちしてすごくおいちいー」

「あ…誠人さん、どうぞ」

「あ…直人さん、どうもすいません」

「それにしても、可愛らしい奥様ですね…」

「有難う御座います…」

「あ…義姉様、どうぞ」

「あ…節、まだ未成年なのでお酒はちょっと…」

「…え、そうなんですか?」

「ハイ。この四月に18になったばっかりで…」

「…じゃあ、私と同学年…なんですね。18歳でお母さんなんて…正直、尊敬します、義姉様…」

「あの…真奈美さん?節…そんなに立派なお母さんじゃ無いですよ?」

「いえいえ…」

「あの…美佐代さん。今夜は…」

「あ…社長さん。ビジネスホテルに予約を入れて有りますので、今夜はそこに宿泊します…」

「そうでしたか。でしたら、伊知朗さんのお車で送り迎えをさせて頂きます」

「本当に有難う御座います…」

「そうしましたら、明日は10時から本葬を始めますので、9時にお迎えのお車をお回し致します…」

「了解しました」

「わーい、おすしおいちいー」

散々食べて飲んでそしてはしゃいで、美花子はせっちゃんの喪服によだれを垂らしつつ、すやすやとおねんねしてしまった。

俺達バカ家族は伊知朗さんのベンツに再び乗り込み、予約を入れていたビジネスホテルへ一目散。

「それじゃ…私は美花子ちゃんと。誠人は…せっちゃんと一緒ね」

「分かった…お袋。美花子を…宜しく頼む」

「美花子…お母様に可愛がって貰ってね」

「おかーたん…おやちゅみなちゃい…」

「それじゃお二人さん…お休みなさい。あ…そうそう、明日は早いから、あんまり張り切り過ぎちゃ駄目よ」

「・・・」

「・・・」

そして俺達バカ夫婦は部屋へと入室して、ダブルベッドに腰掛ける。

「わーいわーい、こんなフカフカなベッド久し振りー」

せっちゃんはまるで修学旅行のノリで、ダブルベッドに倒れ込む。

「せっちゃん…先にお風呂入って良いかな?」

「うん良いよ、誠人さんっ♡」

俺は喪服とワイシャツを脱ぎ捨てて浴室に入ると、下着を脱いでシャワーを浴びて浴槽に浸かり、一日の疲れを癒やす。

「はぁ…いい湯だな…」

そして風呂から上がり…用意された浴衣に着替えた俺はベッドに横たわる。

「それじゃ誠人さんっ…お風呂入ってきますねっ♡」

俺はせっちゃんの入浴中…ずっと真奈美ちゃんの事を考えていた。

若くして両親を亡くし、これからどう生きて行くのか…。

そればかり考えていると…裸身にバスタオルを巻き付けたせっちゃんが、風呂場から上がって来て。

「ねーねー、誠人…さん?」

「ん…せっちゃん?」

「一発…エッチしよっ♡」

と言うとせっちゃんは俺に唇を重ねる。

「ん…ん~ん、んんん~、ん〜っ…」

例によって、先ずは御互いの舌を絡めるディープキスで、二人のエッチなスイッチをオンにすると、俺はバスタオルの上からちっぱいを優しくもみもみ。

「ん〜、ん〜っ、んんん~っ…」

せっちゃんは俺の首筋に両手を回し、俺により密着してくる。

「誠人さぁん…大好きだよぉ、誠人さぁん…」

「俺もだよ…せっちゃん…」

と言いながら俺はせっちゃんの華奢な身体に巻き付けられたバスタオルをはだけ、せっちゃんの美しい裸身を露わにした。

「なんでだろう…もう何回も節の裸、誠人さんに見られてるのに…なんだか、恥ずかしいよぉ…」

「それだけ…俺とせっちゃんのセックスには、まだまだ楽しめる余地が有るって事だよね…せっちゃん…」

「そう…かな、誠人…さん…♡」

「だって俺とせっちゃん…もう何回も、何十回も、何百回もエッチしてるのに…全然、飽きる事が無いじゃん」

「…うん」

「まだまだ、せっちゃんの身体は…開発の余地が残っているって、事だよね…」

「あ…誠人さん…」

「え…せっちゃん、どうしたの?」

「もしかして、誠人さん…その、お、お尻で…したいん、で…です、か…?」

「え…」

「誠人さん…節、怖いんです…あの時みたいにお尻を、壊されそうになるんじゃないかって思うと…」

「せっちゃん…」

「誠人さん…怖い…」

と言うと半裸のせっちゃんは俺の余り厚くない胸板に顔を預け、ひたすら震えていた。

あの「忌まわしい出来事」を極力、せっちゃんに思い出させない為に俺はレイプを思い起こさせる様な…例えば目隠しや手錠、猿ぐつわ等による拘束プレイ、そして乱暴に押し倒したり、お尻を引っ叩いたりする行為をグッと堪えてきた。

勿論SMは言わずもがな、スカトロはダメ、ゼッタイ。

それでも時々…何気ない会話からせっちゃんは、あの「忌まわしい出来事」を思い出し…そして、怯え、震え出す。

そんなせっちゃんを俺は…ただひたすら優しく抱き寄せ、見守る事しか出来ない。

「御免ね、せっちゃん…また、あの時の事を思い出させちゃって…」

「ううん…誠人さんは全然、悪くないよ…」

「でも…せっちゃん…」

「誠人さん…謝らないで…節、謝ってる誠人さんを見てると、どんどん辛くなってきちゃうから…」

そして俺とせっちゃんは、延々と謝罪合戦を繰り返すのだ。

せっちゃんに嫌な事を思い出させてしまった俺と、俺に不用意な発言をさせてしまったせっちゃんとの間で…何回も互いに頭を下げ合い…そして最終的には仲直りする。

「せっちゃん…俺、まだ…せっちゃんのお尻は我慢するね。もしせっちゃんがお尻でしたくなったら…その時は、言ってね」

「誠人さん…有難う…♡」

「それじゃせっちゃん。改めて…エッチ、やり直そうか?」

「うんっ♡」

と言うとせっちゃんは、俺の乳首をペロペロと舌で刺激する。

「誠人さん…気持ち良い、ですか…?」

「す…すげぇ、気持ち良い…」

「❝女性が感じるところは男性も気持ち良い❞って、本当だったんですね…♡」

「なら、せっちゃん…せっちゃんも気持ち良くしてあげないといけないね…」

と言うと俺はせっちゃんの薄茶色の先端を口に含み、舌で転がす様に愛撫する。

そしてもう片方の先端を指でいじり回し、そっと優しく押し潰す様に愛撫する。

「あ…あぁっ、いゃあん…ま…まっ、誠人さぁん…だ、だぁっ、駄目だよぉ…」

「何処が駄目なの?こんなに感じちゃってるのに?」

「い…いゃあん、いい…気持ち良い…」

「良いの?駄目なの?せっちゃん…どっちなの?」

「駄目だけど、良いのぉ…あぁっ、あああ~…ああん、あ~、あぁっ、節、イク、イキそう、ああん、イク…イク、あ~、イッちゃうーーー!!!」

「せっちゃん…おっぱいだけでイッちゃうなんて…本当に、敏感でエッチなちっちゃいおっぱいだね…」

「誠人さぁん…節、もう我慢出来ない…誠人さんの皮被りおちんちん…早く入れたいよぉ…」

と言うや否や、せっちゃんは俺をベッドに優しく寝かせると俺の股間に馬乗りになり…ラブジュースでズブ濡れになったオマンコを俺に見せ付ける。

そして、自ら俺のガチガチに硬直したズル剥けおちんちんに跨がる様にドッキング。

「誠人さん…こんなに疲れてるのに…節とのエッチにいっぱい、付き合ってくれて有難う…」

「せっちゃんこそ…美花子のお世話で疲れてるでしょ?」

「節は…コレが何時もの事だから大丈夫…誠人さん、今日は節が…誠人さんを気持ち良くさせてあげるね…♡」

と言うや否や、せっちゃんは騎乗位でグラインド運動を開始した。

「あ…あっ、あぁっ、ああん、あああ~♡」

「うっ…す…す、すげぇ、気持ち良い…」

「あぁっ、ああん、ま、まっ、誠人さぁん…ああっ、節のお腹、すうっ…凄く熱いよ…」

「せ…せっちゃん…」

「誠人さぁん…節のおっぱい…いっぱい揉んでぇ…♡」

俺はせっちゃんに懇願されるままに両手を二つのちっぱいに伸ばし、下から支える様に優しく揉み上げる。

「ああ〜ん…誠人さぁん…♡」

「せっちゃん…すっげぇ締まるっ…」

そして俺はせっちゃんのグラインド運動に上手くタイミングを合わせつつ、ズン、ズン、ズンと腰を突き上げていく。

「あぁっ、誠人さぁん、気持ち良い…♡」

「俺こそ…滅茶苦茶気持ち良いよ…せっちゃん…♡」

「誠人さん…❝大好き❞がおちんちんから沢山…伝わってくるよぉ…♡」

「ううっ…せっちゃんのキツキツオマンコからも…❝愛している❞ってメッセージが…♡」

「誠人さん…誠人さぁん…節の子宮に…誠人さんのおちんちんがいっぱい…いっぱいごっつんこしてるぅ…」

「ぐっ…せっちゃん…せっちゃん…」

最早、俺達バカ夫婦の間には、余分な会話は必要無かった。

互いの性器を通じて、互いを思い合い、そして慈しむメッセージが快楽と共に伝わっていたからだ。

「あ…あぁっ、誠人さぁん…大好き…だぁいすきぃ…♡」

「せ…せっちゃん…そ、そろそろ…限界みたい…」

「誠人さん、誠人さぁん…だ…出してぇ、節のぉ、いやらしいオマンコに赤ちゃんの素をぉ、沢山出してぇ…」

「う…ぐっ…」

「ああん、ああ〜ん…誠人さん…出して…出して、いっぱい出してぇーーー!!!」

「ぐっ…うっ、あぁっ、もう駄目だぁーーー!!!」

びゅる…びくっ、びゅわっ、どっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっ!!!

俺はせっちゃんの子宮目掛けて、勢い良く❝赤ちゃんの素❞を射出。

痛痒い感覚に酔い痴れながら、俺は思わず閉じてしまった瞼を開いて、愛する妻を凝視する。

「せっちゃん…?」

「…あ、誠人さぁん…♡」

「せっちゃん…白目剥いてイッちゃってたよ…」

「え…やだぁ、誠人さん…恥ずかしい…」

「本当に気持ち良かったんだね…せっちゃん…」

「…誠人さん。❝天にも昇る心地❞って…こんな感覚なんでしょうか…」

「そう…かもしれない、ね…」

「誠人さん…天国って本当に、有るんでしょうか…?」

「天国…?少なくとも俺は…住所が有ったら信じるけどね…」

「ぷっ…天国の住所って…」

「なんか…おかしい?」

「ううん…寧ろ、逆ですね…❝天国の住所❞なんて…思い付きもしなかったから、つい…」

「でも…少なくとも、俺にとっての天国は此処に有るから…」

「節も…誠人さんの側に居て、そして…繋がっている時が、一番幸せ…♡」

「せっちゃん…」

「誠人さん…」

俺達バカ夫婦は軽く口付けを交わし…何時の間にか、深い眠りの世界へ落ちて行った…

・・・

「誠人さん…御早う御座います♡」

下半身に妙な感覚を感じて、目を覚ました俺が見たものは…朝勃ちした我が愚息を一心不乱にしゃぶる、半裸のせっちゃんだった。

「お…御早う御座います、せっちゃん…」

「誠人さんの皮被りおちんちん…昨日あんなに出したのに…もうこんなカチコチになってる…」

「ううっ…せっちゃん…」

「誠人さん…節のフェラで、天国に行った様な気持ち良さを、味わって下さいね…♡」

と言いながらせっちゃんは、愚息の亀頭をキャンディーの様にペロペロ。

「それじゃせっちゃん。ちょっと待って…」

俺はベッドから起き上がると浴衣を脱ぎ捨て、ギンギンに硬直した愚息を仁王立ちして、せっちゃんに見せ付ける。

「誠人さん…♡」

せっちゃんは俺の前で四つん這いになると、口だけで我が愚息をしゃぶり始めた。

「ん〜、ん〜…んんん~」

「せっちゃんの舌遣い…本当に気持ち良いよ…」

「ん〜…んんん~、ん〜っ、んんん~…」

「せっちゃん…もうちょっと、根元の方までしゃぶって…」

「きょ…きょうれふかぁ…」

「あぁ〜、すげぇ気持ち良い…」

「よひゃっひゃ…ひぇつのふぇらひおれ、まひゃとひゃんがきもひよきゅなっへる…」

せっちゃんの健気な舌遣い…そして、切なげな上目遣いの表情に、次第に射精感がじわじわと込み上げてくる。

「せっちゃん…そろそろ出るかも…」

「まひゃとひゃん。いっぴゃいだひて…」

「う…ううっ、だ、駄目だ、出すよせっちゃん!」

昨夜一発エッチしたにも関わらす、御結構な量の❝赤ちゃんの素❞が、愚息の尿道から吐き出される。

せっちゃんはそれを…可愛らしい顔面で受け止めていた。

「うふふ…誠人さんの臭くて温かい赤ちゃんの素…節、大好き…♡」

と言うとせっちゃんは、所謂❝お掃除フェラ❞で愚息にこびり付いた精液を舌で拭い取り、舐め清める。

そして自らの顔にこびり付いた赤ちゃんの素を、薄く塗りたくり始めた。

「せっちゃん…」

「誠人さんの❝赤ちゃんの素❞で…タンパク質補給♡」

「ぷぷっ…」

「あはは…」

…すると。

俺の携帯電話の着信音が鳴り始めた。

「ハイ、もしもし…」

「あ、もしもし…誠人、御早う」

「お袋、御早う。昨日は、良く眠れた?」

「お陰様で、良く眠れたわ。せっちゃんは、もう起きてるの?」

「あぁ、とっくに起きてるよ。それより…美花子はもう起きた?」

「ええ、相変わらずチョー元気よ」

「そりゃあ良かった…」

「それじゃ…着替えたら、一階のレストランで朝御飯食べましょ」

「分かった、お袋。それじゃ、また後で…」

と言うと俺は、携帯電話の電源を落とした。

「誠人さん…」

「…せっちゃん。取り敢えず着替えて、朝御飯食べよう」

「ハイッ。分かりました、誠人さん♡」

と言うとせっちゃんは、精液まみれの顔を洗う為にお風呂場へ。

俺は浴衣を丁寧に畳み、新しいTシャツとトランクスをカバンから引っ張り出す。

「誠人さん…シャワーどうぞ。節…簡単にお化粧しちゃいますね」

せっちゃんと入れ替わりに俺は風呂場に入り、汗と精液をシャワーで洗い流す。

そしてバスタオルで身体の水分を拭い取り、ベッドに戻るとせっちゃんが淡い色の口紅を塗っているところだった。

「コレ…お母様と一緒に選んだ口紅なんです。誠人さん…どうですか?」

「うん…良い感じだね、せっちゃん」

「有難う御座います…誠人さん♡」

「それじゃせっちゃん…早く着替えて一階のレストランに行こう?」

「ハイ…分かりました、誠人さん♡」

・・・

「皆様。本日は故人の密葬に御列席頂き、本当に有難う御座いました…」

読経に火葬、そして初七日法要をつつがなく終え…喪主としての役目を無事に終えた真奈美さんは、俺達バカ家族に感謝の言葉を述べていた。

「真奈美さん。お父様を亡くされて、辛いでしょうけど…」

「美佐代さん…ううっ…」

「真奈美さん…」

「ううっ…本当にすいません、皆さん…」

「真奈美さん。泣きたかったら…泣きたいだけ泣けば良いんじゃないかな」

「ううっ…お兄様…お母様ぁ…」

真奈美さんは骨壷を左手で保持しながら、右手の純白のハンカチでひたすら涙を拭っている。

「皆さん…本当にすいません…みっともないところを、お見せしてしまって…ううっ…」

「いや…悲しい時に泣くのは普通…だと思いますよ」

「お兄様…」

「おねーちゃん…なきむしー」

「コラッ!美花子!真奈美さんは、泣きたくて泣いてるじゃないんだ!」

「…おとーたん、こわ〜い…」

「ふふっ…確かに美花子ちゃんの言う様に…私、泣き虫さんですね…」

「真奈美さん…」

「あの…皆さん。それで…コレから何か、御予定は、御座いますか…?」

「いや…今のところは特に…」

「でしたら…私の住まいのマンションで…世間話にお付き合いして、頂けないでしょうか…」

「誠人さん…お母様…」

「俺は、別に構いませんが…お袋はどうするの?」

「…そうね。アタシ達等で良ければ…真奈美さん、お付き合い致しますよ」

「皆さん…有難う御座います!それじゃ伊知朗さん。すみませんが皆様を、私のマンションへ御願いします」

「承知しました、お嬢様。では、暫し御待ちを…」

そして俺達バカ家族は伊知朗さんのベンツに乗り込み、真奈美さんが暮らすマンションへと向かう。

「お嬢様…行きましょう」

マンションからの、住人の出入りが途絶えたのを見計らって伊知朗さんが、真奈美さんに下車を促すのを見て、俺達バカ家族もベンツから下車してオートロック式の出入り口へと向かう。

幸いにも住人の方々と出会う事無く、俺達は真奈美さんが暮らす部屋へと辿り着いた。

「うわぁ…」

想像していたのとは全く違う、極めて庶民的な内装に俺は違う意味でびっくりしていた。

「あの…皆様。どうぞ、我が家と思ってごゆっくりお寛ぎ下さいませ…」

「皆様…この度は亡き旦那様の葬儀に御列席頂き、本当に有難う御座いました…。今皆様の晩御飯を御用意致しますので、少々お待ち下さいませ…」

「本当にすいません…」

「いいえ、勿体無いお言葉を有難う御座います…」

「伊知朗さん…今日は本当に、御疲れ様でした…」

「お嬢様…有難う御座います…あ、御客人の皆様…どうぞごゆっくり、御寛ぎ下さいませ…」

「御心遣い、いたみいります…」

「本当に有難う御座います…」

「どうもすいません…美花子、ほら、こっちおいで…」

「おかーたん…」

「うふふ…美花子ちゃん?ねーねー、お姉ちゃんと遊ばない?」

「おねーちゃん…みかこと…あそぶ?…それじゃあ、しりとりしよー!」

「尻取り?良いよ、美花子ちゃん!お兄様、あの…一つ質問、良いですか?最後が音引きで終わった時は…どうしていらっしゃいますか?」

「俺達は…音引きの前の字から続けてるけど…」

「そうですか…。なら…しりとり」

「りんご!」

「ご…ゴンドラ」

「ら…ら…らくだ!」

「だ…ダチョウ!」

「う…う…うさぎ!」

「ぎ…銀色」

「ろ…ろくろ…」

「えー、またろー?うーん…ロールスロイス」

「…す?…す…すいか」

「か…カニ!」

「に…にほんとー」

「美花子ちゃん、良くそんな言葉知ってるね〜…う…馬!」

「まぐろ!」

「うーん、またろかぁ…ろ、ろ…ロックバンド!」

「ど…どなるどだっく!」

「…クレクレタコラ」

「らっぱ!」

「パイン…あっ!」

「あ~、❝ん❞いった〜、おねーちゃん、まけ〜♡」

「あはは…美花子ちゃん、尻取り強いねー」

「うん!みかこ、しりとりつよい!ねーねーおとーたん、おとーたんもしりとりしよっ!」

「それじゃ…ディープインパクト」

「と…虎の巻!」

「き…き…キティちゃん!」

「あ~、美花子ちゃん、❝ん❞言っちゃった〜」

「あ~、みかこ、❝ん❞をいっちゃった〜!でもみかこ、キティちゃんだいすきなんだも〜ん!」

「あはは…美花子のキティちゃん好きは、せっちゃん譲りなのかな…」

「え…節子さん、キティラーなんですか…」

「え…え、えぇ…恥ずかしながら…」

「実は私も…キティちゃん大好きなんです…」

「皆様すいません、御夕飯が出来上がりました。こんなものしか御用意出来ませんでしたが、御勘弁下さいませ…」

「いえいえ、とんでもない!お疲れのところ、こんなお料理まで御用意して頂いて…本当に恐縮です」

「本当に申し訳有りません…」

「いえいえ、お気になさらず…。それでは、頂きます」

「頂きます」

「頂きます」

「頂きます」

「いただきま〜ちゅ!」

俺達バカ家族と真奈美さん、そして伊知朗さんと華子さんは食卓を囲み、急ごしらえの鍋をつつき始めた。

「わーい、ちゅみれおいちいー」

「うわっ美花子、ポン酢入れ過ぎだよ!」

「んー美花子、良く人参食べられたねー、偉い偉い!」

「うんっ、みかこえらい!」

「あ…華子さん、これはイワシのつみれですか?」

「ハイ、そうですが…良くお分かりになりましたね…」

「食感でなんとなく、ですが…」

「そう言えばお兄様は、確かコックさんをされているんですよね…」

「…ええ。お袋に楽をさせてやりたくて、包丁握ってるうちに何時の間にか、って感じですが…」

「恥ずかしながら私、家事は華子さんに任せっきりで、お料理はさっぱりなんです…。私もお兄様を、見習わないと…」

「何、料理ってのは基本さえしっかりしてれば…案外どうにかなるもんですよ」

「そうなんですか…」

「真奈美さん…最初は失敗して当たり前、上手く行ったら万々歳、そんな気楽な気持ちでやって行ったら良いんじゃないかしら」

「皆さん…有難う御座います!」

「そうだ…真奈美さん、高校を卒業されたら…どうなさるんですか?」

「私…看護師に、なりたいんです」

「看護師さん…」

「ハイ…母、そして父が天に召されるのを目の当たりにして…上手く言えないですけど、❝命を救う❞お仕事に就きたい、と…うっ、ううっ…」

「あ…真奈美さん…」

「ぐすっ、本当にすいません…今日は一日中、泣いてばっかりで…うう…ひくっ…」

「あれ?おとーたんもないてる〜?」

「…え?あ…あれ?本当だ、何時の間にか涙が…」

「おとーたんもなきむし〜」

「そうだな…今日のお父さんは…泣き虫だな、美花子…」

「わーいわーい、なきむしなきむし〜」

「美花子!」

「…おかーたん?」

「美花子…もしお父さんとお母さんがある日…突然天国に行っちゃったら、美花子は悲しい?」

「かなちい…たぶん…」

「せっちゃん…」

「今のお父さんと真奈美さんは、悲しい気持ちでいっぱいなの。そんな人達を❝泣き虫❞なんて言うなんて…人として、絶対にしてはいけない事なのよ、美花子…」

「…わかった。おとーたん、おねーちゃん、ごめんなちゃい…」

「美花子…よく、謝る事が出来たね…」

「美花子ちゃん…」

「すいません…御馳走様でした」

「ごちそーさまでちた〜!」

「それでは…皆さん。コチラに亡き両親の衣類が有りますので、適当に見繕って着て下さい。もし気に入った服が有りましたら、お持ち帰りになって構いませんので…」

「真奈美さん…有難う御座います。それじゃお母様、お洋服探しませんか?」

「そうね…せっちゃん。ほら美花子ちゃん、こっちに来てくれるかな?」

「ばーば…おかーたん…」

女性陣が服を漁っている間、俺は華子さんに入れて頂いた焙じ茶で喉を潤していた。

すると。

「あの…お兄様」

「何…ですか?真奈美さん」

「あの、夏休みの間…お兄様のところに御伺い致しても、宜しいでしょうか?」

「え…お、自分は別に構いませんが…」

「うわぁ…お兄様、有難う御座います!」

「い、いや…その…こんな可愛い妹の頼みを…断ったら罰が当たりそうだったから…」

「お兄様…」

「そうだ…真奈美さん」

「何ですか?お兄様…」

「第一志望の大学はもう…決まっているんですか?」

「ハイ…都内の某医科大一本です…」

「そうかぁ…」

「お兄様…」

「…ん?」

「私…頑張らないと、いけませんね…」

「今は…その、あんまり頑張れとか、言えないけど…」

「・・・」

「…その、努力して!」

「ハイ、お兄様…有難う御座います」

「誠人さーん!どうかなコレ、似合う?」

「うーん、色合いがもうちょっと明るければ、言う事ないんだけど…でもそれを除けばとても似合ってるよ、せっちゃん」

「誠人さん…そして真奈美さん、有難う御座います」

「いえ、どういたしまして…」

「誠人…そっちの部屋に、男物の洋服が何着か有るから、見てきたら?」

「そうだな…お袋」

そして。

俺達バカ家族は華子さんに用意して頂いた来客用の敷き布団に横になり、毛布に包まる。

「誠人、せっちゃん…そして美花子ちゃん、お休みなさい」

「お母様…美花子…誠人さん、お休みなさい」

「おかーたん…おとーたん…おやちゅみなちゃい…」

「美花子…お袋…そしてせっちゃん、お休みなさい…」

「あの…お母様、義姉様、美花子ちゃん…そして…お兄様、お休みなさいませ…」

「真奈美さん、お休みなさい…」

・・・

「ん…」

ぐっすり熟睡…とは流石にいかなかったが、カーテンの隙間から差し込む朝日とカラスの鳴き声で俺は目を覚ました。

「あー…腹減ったなぁ…」

と独り言を言いながらトイレで用を足し、手を良く洗うと俺は何時の間にか台所に向かい、冷蔵庫の野菜室に有った長ネギを輪切りにしていた。

「あ…お兄様、御早う御座います…」

「あ…真奈美さん、御早う御座います。すいません、他所様の台所を勝手に使ってしまって…」

「こちらこそすいません…御客人にお料理を作って頂くなんて…」

「いえいえ…コレは一種の❝職業病❞の様なものですから、お気になさらず…」

「本当にすいません…」

「それに❝一宿一飯の恩義❞じゃあないですけれど…施しを受けっ放しと言う訳にもいきませんから…」

「お兄様…」

「あ…真奈美さん。押麦は…有りますか?」

「押麦…ですか?いいえ…」

「あー…すいません。小さい頃から❝御飯は麦飯❞が、自分の食習慣だったものですから…」

「そうだったんですか…」

と会話を交わしながら俺は手際良く、豆腐と長ネギの味噌汁を作り上げる。

「誠人…御早う。あら…朝御飯、作ってたの?」

「御早う、お袋。❝一宿一飯の恩義❞じゃあ無いけど…」

「誠人さん、御早う御座います。え…朝御飯、作ってたんですか?」

「せっちゃん、御早う御座います。うん…一種の職業病みたいなもんでさ、やっぱり包丁を握らないとなんか、腕が鈍る様な感じになっちゃって…」

「それにしてもお兄様…矢張り、プロの方は手際が違いますね…」

「いやいや…お袋や華子さん、それに鉄さんに比べたらまだまだですよ…」

「…え?その、❝鉄さん❞って…」

「あの…私の父です。誠人さんと同じレストランで、コックさんをしてるんです…」

「そうなんですか…」

「あ…せっちゃん。悪いけど、美花子を起こしてきてくれるかな?」

「はい…了解しました、誠人さん♡」

「お兄様…本当に有難う御座います」

そして俺達バカ家族と真奈美さんに伊知朗さん、華子さん御夫妻は俺が用意した朝御飯を食べ始めた。

「誠人さん、申し訳有りません…」

「いえいえ…❝一宿一飯の恩義❞に❝職業病❞の様なものですから、お気になさらず…」

「うわぁ…矢張りプロの方が作ったお料理は格別ですね…」

「いえいえ…それを言うならお袋や華子さんも充分、❝料理のプロ❞の資格が有ると思いますが…」

「誠人さん…有難う御座います…」

「いえいえ…どういたしまして、華子さん…」

「おとーたんのみそちる、すっごくおいちい!でも…おかーたんのみそちるも、す〜っごくおいちい!」

「美花子…有難う…」

「誠人…」

「なんだ?お袋…」

「私は仕事が有るから今から帰るから…真奈美さんを、宜しく頼むわね」

「…分かった、お袋。真奈美さんの事は、任せてくれよ」

「それでは真奈美さんと…伊知朗さんに華子さん、本当に有難う御座いました」

「あ…伊知朗さん。美佐代さんを…駅まで御願いします」

「はい…承りました、お嬢様…」

「伊知朗さん、本当に申し訳有りません…それでは、宜しく御願い致します」

「あ…華子さん。後片付けを御願いします」

「承知しました、お嬢様…」

「本当にすいません…」

「いえいえ…コレが、私のお仕事ですから、お気になさらず…」

と言いながら華子さんは食器を回収すると、手際良く洗い物を始めた。

「あの…真奈美さん…」

「なんでしょうか?節子さん…」

「あ…あの、好きな男の人は…いらっしゃるんですか?」

「いえ…」

「そうなんですか…それだけ綺麗ならば、彼氏が居るかと…」

「あの…私、女子高に通っているので、男子との接触自体、余り無いもので…」

「そうだったんですか…失礼しました、真奈美さん…」

「いいえ、義姉様…私如きに気を遣って頂き、有難う御座います…」

「ねーねー、おねーちゃん!またしりとりしよっ!」

「うんっ、美花子ちゃんまた尻取りしよっ!それじゃ今日は…お兄様と義姉様も加わりましょう!」

「はいっ!それじゃ…ハローキティ!」

「い…いちご!」

「ご…ゴリラ!」

「ら…らっぱ!」

「ぱ…ぱ…パイナップル!」

「る…?る…ルーキー!」

「って事は、❝き❞ですね…き、吉良上野介!」

「け…?け…け…けっこん!」

「あー美花子ちゃん、また❝ん❞言っちゃったー」

「えーんみかこ、またしりとりまけた〜」

「うふふ…美花子。それだけ真奈美さんは…美花子の知らない言葉を沢山知っている証拠よ。だから…美花子。真奈美さんに尻取りで勝てる様に沢山お勉強しようね」

「うんっ!みかこ、まなみおねーちゃんにしりとりでかてるよーに、いっぱいおべんきょおするね!」

「やっぱり節子さん…立派なお母様ですよ…」

「…そうでしょうか?」

「うん…せっちゃんはもう、立派なお母さんだと思うよ、俺は…」

「誠人さん…有難う御座います…」

「❝母は強し❞って、こういう事を言うんでしょうね…本当に同じ18歳とは思えないです、義姉様…」

「真奈美さん…節、本当にまだまだ子供ですよ?」

「いえ…あの、お兄様と義姉様は…どの様にお知り合いになられたのですか?」

「あの…誠人さんとお父さんが働いているレストランは毎年、四月の第一日曜日にお花見をしていて…そのお花見で、お知り合いになったんです…」

「正直最初は、❝なんでどんちゃん騒ぎに…❞って感じだったんですけど、そのお花見で文字通り、せっちゃんに一目惚れしてしまいまして…」

「節…何時も朝御飯の時に誠人さんの事をお父さんから聞いてはいたんですけど…いざ初対面したら想像以上に素敵な人だったもので…」

「…そうだったんですか。それではお兄様と義姉様は正に文字通り、❝出会うべくして出会った、運命の人❞同士だった訳ですね…」

「・・・」

「・・・」

「あれ〜?おとーたん、おかーたん、ふたりともかおがまっかっかだよ〜」

「私にもそんな、運命の人が現れると良いなぁ…」

「真奈美さん」

「お兄様?」

「バイトを初めて間も無い頃…鉄さんにこう言われたんです。❝運命の人は目の前に現れるんじゃ無い。自分の力で、運命の人に変えさせるものなんだ❞と…」

「・・・」

「俺もせっちゃんと出会ってから…その、自分で言うのもアレですけど…一杯、自分磨きをしてきたつもりです。だからせっちゃんと、一緒になれたんだと…」

「誠人さんは…その、節が辛い目に有った時も…何時も一緒に居てくれました。そんな心の温かい誠人さんに…節、何時の間にか…♡」

「うふふ…本当にお似合いの、ラブラブなカップルですね…お兄様に義姉様は…」

「わーいわーい、らぶらぶ〜」

「うん、美花子…お父さんとお母さんは何時でもラブラブなんだよ♡」

「そうだよ、美花子…お父さんとお母さんがラブラブだから…美花子は今、此処に居るんだよ」

「わーいわーい、おとーたんおかーたんらぶらぶ〜」

「せっちゃん…♡」

「誠人さん…♡」

「お兄様…義姉様…」

・・・

「…にしても、トッシー。あっという間のニ年半だったな…」

「…そうですね。ですが…此処で様々な事を学ばせて頂き、本当に感謝しています…」

時は過ぎ…夏休みが始まった七月下旬。

俺は夏休みを最後に大学の受験勉強に集中する為に、バイトを辞める俊朗クンに声を掛けていた。

「オゥ、トッシー。このニ年半で随分と腕を上げたなぁ。大したもんだぜ、トッシー!」

「鉄さん…有難う御座います!」

「俊朗くん…年下ですが、色々学ばせて頂きました。本当に感謝しています…」

「利章さん…」

「で…トッシー。大学で、何を勉強するんだ?」

「経済を、と考えています…」

「経済…ねぇ」

「…トッシー。大学ってところは…❝お金を払って、したい勉強をさせてくれるところ❞ってのが、俺の考えなんだ」

「したい勉強を、させてくれるところ…」

「…そう。勉強は、学校を卒業したら終わりじゃない。寧ろ…社会人になってからの勉強の方が遥かに大事。学校ってところは…結局、❝社会人になる為に必要な知識❞を教えてくれるところに過ぎないって、俺は考えてる…」

「あー…分かりますね、それ。前の会社でも、❝就職出来たから人生安泰❞って勘違いしている若いのが、何人もいましたからね…」

「その点…俺達料理人は学歴なんか関係ねぇ。大事なのは腕前よぉ、腕前!」

「皆さん…有難う御座います…」

…と、そこへ。

「先輩!お客さんっすよ!」

「え?俺に…?分かった、ノブノブ」

と言いながら厨房から顔を出すと。

水玉模様のワンピースを纏った真奈美さんが、伊知朗さんと華子さんをお供に付き従えて、出入り口に立っているではないか。

「あの…お兄様、お久し振りです…」

「え…真奈美さん、もう来ちゃったの!?」

「ええ…伊知朗さんと華子さんが、是非東京見物をしたいと言うものですから、つい…」

「そうだったんだ…」

「すいません…突然、押し掛けてしまいまして…」

「ん?なんだいマー坊、こちらの可愛いお嬢さんは?」

「鉄さん…彼女がこの間お話した、腹違いの妹の真奈美さんです」

「皆様…どうも始めまして…。私、誠人お兄様の腹違いの妹の、真奈美と申します。こちらは…運転手さんの伊知朗さんに、家政婦さんの華子さん御夫妻です。以後、お見知り置きを…」

「真奈美ちゃんかぁ…どうも始めまして!アッシは節の父親の鉄です。こちらこそ、宜しく御願いしまさぁ!」

「えーと、御三人様で宜しいでしょうか?」

「はい…」

「それでは、こちらのテーブルにどうぞ!」

俺は真奈美さん御一行様を四人掛けのテーブルに御案内すると、食事が終わったテーブルから食器を回収していく。

「それでは御注文が決まりましたら、お呼び下さいませ!」

と告げると俺は厨房に舞い戻る。

「凄い別嬪さんですね、先輩…」

「だろ?ノブノブ。けどな…例えノブノブでも、手ぇ出したらぶっ飛ばすからな…」

「し、しませんよ先輩!」

「おぅマー坊、すっかり保護者気取りじゃあねーか!」

「え…す、すいません、鉄さん」

「マー坊…何で謝るんだよ、バーカ。あの娘は…お前を頼りにしてるんだろ?頼れる兄貴振りを、存分に見せてやんな」

「…分かりました」

「すいません!ビーフシチュー定食にハンバーグ定食、それにトンテキ定食注文入りましたー!」

「了解だぁ!オイマー坊、ビーフシチューは任せたぞ!」

「分かりました!オイノブノブ、ライスよそっておいて!」

「了解しました!」

「オイとっちゃん、ミニトマト持って来てくれや!」

「ミニトマトですね?分かりました!」

「トッシー、ブロッコリーはまだか!?」

「今持って行きます!」

そして作り上げた料理を俺と利章さんが、テーブルに運んで行く。

「御注文の御品物、御待たせ致しました!」

「有難う御座います!それでは…頂きます!」

と言うと真奈美さんはビーフシチューを口に運ぶ。

「うわぁ…初めてです、こんな美味しいビーフシチュー!」

「有難う御座います」

「あ…このビーフシチューは、誠人さんがメインで作ったんですよ」

「そうなんですか!?お兄様、有難う御座います!」

「いえいえ、自分はただ注文を受けた料理を作っただけで…それではどうぞ、ごゆっくり!」

「あ…先輩。今…奥様からお電話が…」

「せっちゃん…から?なんだろう…」

と言うと俺は、厨房の電話の受話器を取る。

「ハイもしもし、お電話変わりました」

「もしもし…あ…誠人さん?」

「どうしたの…せっちゃん?」

「節…出来てた」

「え?…出来てたって、まさか…」

「うん…お腹に、赤ちゃんが出来てた…」

「…本当?」

「…うん。妊娠検査薬が陽性だったから…美花子が産まれた病院に行ってみたら、三ヶ月目だって…」

「って事は…あの法事の時に…」

「絶対…そうだよ。誠人さん…」

「そうか…。せっちゃん…連絡有難う」

「それじゃ…切るね、誠人さん…」

と言うと、通話が途切れた。

「どうしたい?マー坊…」

「せっちゃんが…二人目の赤ちゃんを、身籠ったそうです」

「本当か…マー坊」

「先輩…おめでとう御座います!」

「誠人さん…おめでとう御座います」

「皆さん…本当に有難う御座います!」

・・・

こうして。

せっちゃんの体内に…二つ目の、「愛の結晶」が宿ったのであった。

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