中学時代、僕は生徒会に所属していた。
自身の学校の生徒会は10人だけで運営していて、その10人で各委員会に仕事を分担して受け持っていた。
今思うと、最高なシチュエーションなのだがその生徒会の男女比率は3:7とかいう神比率だった。可愛いけど性格に一癖も二癖もあるのが玉に瑕だったけど……
さて、あれは3年生を送り出してすぐ、まだかなり冷える3月の中頃だった。
書記を務めていた同級生の女子の子と2人で、生徒会室の鍵を取りに行った会長を待っていた時のことだ。
書記ちゃんは身長140cmないくらいの小柄でショートカットの子だ。
書記ちゃんとは部活が同じだったので、グランドの方を見ながら喋っていたのだが、俺は何となく違和感を覚えた。
「ねえ、この後の部活出る?」
「いつも通り会議の時間次第かな。今日は新入生関連の話がありそうで、長引きそうだから、たぶん出ないと思うけど」
「そっか、時間かかるよね……」
「予想だけどね。ただ会長が置いてった資料もそこそこ厚いし」
「……」
どことなく、書記ちゃんは落ち着かない様子だった。少し震えている様子だったので、寒いのかなとは思ってた。ウチの中学は廊下が屋外な上に、コート禁止だったのでブレザーとセーターだけだと、確かに寒い時期でもあったし。
「寒いし、一旦会長の様子見に行く?」
「だ、大丈夫……」
「いや、震えてるし、寒いなら無理しない方が……」
「……〇〇君、トイレ行く時間あるかな?」
少し悩んだ末に、書記ちゃんが切り出した言葉に納得した。真面目な彼女はトイレを我慢していたけど、会議前に間に合うか不安だったり、俺の前で行くのが恥ずかしくて行けなかったのだと。
「……たぶん、他のメンバーもしばらく揃いそうにないし、大丈夫だと思うけど」
「だよね……ごめん、ちょっと荷物見ておいて」
「ああ、うん」
そう言って、彼女はすぐそこの女子トイレに駆け込んでいった。俺は一瞬、荷物を一瞥して、迷わず隣の男子トイレに駆け込んだ。
バタンッカチャッ
一番手前の個室に飛び込む音が聞こえた。薄らと衣擦れの音が聞こえて、次の瞬間……
ジョッシュッシュワーシュイィーーーーーーーーーー
あの小さな体のどこに入っていたのだろうと思うくらいの激しい水音が聞こえた。
「ハアッ……」
ショーーーーーシャーーーーーーチョボチョボ
遠くで紙を巻き取る音が聞こえて、俺は慌てて男子トイレを出て、荷物が置かれている場所に戻った。
平静を装うためにバックから本を取り出して読んでいると、ハンカチで手を拭きながら、落ち着いた様子で書記ちゃんが戻ってきた。
「荷物、みててくれてありがとう」
「見てなかったけどね」
「じっと見ててってわけじゃないから」
本当に荷物を見ずに、君の放尿音を聞きに言ってましたなどとは口が裂けても言えず、僕は興奮している体の一部分を隠しながら、そっと本をバッグにしまった。