火曜日の午後8時過ぎ。
駅近くのマッサージ店で柔道整復師として働いているわたしが、終業後にロッカーで白衣を脱いでいると、携帯にメッセージが届いた。
誰かと思って見てみれば、こないだ知り合ったピアノの先生ではないか。
“先日はご友人のサロンをご紹介いただいてありがとうございました。本日行って来たのですが、確かに派手な見た目の先生でした(笑)。けれど本当に腕は確かで痛みは全くなく、サービスとして一つ多く着けていただいたので、美咲さんには感謝ばかりです。良かったら、また今度一緒にお食事させてください”
ただのお礼のメッセージなのに、やたらと厚く御礼申し上げてくれる文面に、これが育ちの良さなのか?と笑ってしまったわたしは、その子と知り合った日のことを思い出した。
3日前、高校時代の友達に欠員補充をお願いされて、久しぶりにお食事会(という名の合コン)に行って来た。
しかし会場に着いて30分と経たないうちに来たことを後悔したのは、それがあまりにもわたしに場違いな会だったからだ。
海を臨むグランドホテルの展望レストランで開催された”お食事会”の参加者は男女8名。
男性陣は外食系コンサル業、医師、不動産経営者、弁護士という布陣に対して女性陣は茶道の師範(友達)、ピアノの先生に家事手伝いのお嬢様、そしてわたしである。
何を場違いと感じたかと言えば、それはその場で当然のように流れている空気だった。
あれこれと言葉は違えど男性陣は皆一様に”男たるもの”仕事に尽くすのが当たり前で、そんな自分にきちんと尽くせる女を選ぶためにこの会に来てあげている。
そして女性陣は皆一様に”女たるもの”男に尽くすのが当たり前だが、どうせ尽くすならたくさん見返りをくれる男を選ばせていただくために参上している。
そんな両者の互恵的な立場が上手く混ざり合って成立している会だったので、生まれて此の方”女たるもの”男に尽くすのが当たり前だなど感じたこともないわたしは、明らかに一人だけ場違いな人間だった。
21世紀にもなってそんな人間達がまだ存在していることにまず驚くばかりだったが、少なくともこの会の常識はそんな空気だったので、とりあえずわたしは友達に迷惑をかけない程度に高い酒をガブガブ嗜んでやり過ごした。
けれど熱心にわたしに話しかけてくれる不動産経営者に愛想笑いをするのも面倒になってきて(そして愛想笑いで期待させるのも申し訳なくなってきて)メイクルームに逃げ込んだところを、心配して追いかけて来てくれたのがピアノの先生だったのである。
吐いているのではないかと心配をかけたこと、そして一人だけ浮いていることを一息に謝ると、品良く微笑んだピアノの先生は話題を変えるようにわたしの耳を見て言った。
「ピアス、空いてるんですか?」
「ああこれですか?そうですね、3つ」
聞けば親の言い付けでずっとピアスを開けられなかったピアノの先生は、最近一人暮らしを許してもらえたことをきっかけに、永らく封じ込めていたピアスを着けたい情熱が噴出しているらしい。
けれど、ピアッサーで着けるのも怖いし、わざわざ病院に行って着けるのも何だか違うような気がして困っているのだと言う。
そういうことなら、と思ったわたしは、自分が着けてもらった”ピアスサロン”を彼女に紹介してあげることにした。
すると彼女は無邪気に喜んでくれたので、そんな彼女を見ながら微笑んだわたしはこう付け加えた。
「ここの先生、見た目は派手だけど腕は確かだから安心していいですよ」
***
ロッカーで着替えと返信を済ませて真夏の宵の帰路に立つと、すぐさま電話が鳴った。
育ちの良いお嬢様は意外とせっかちなのかしら?などと思いながら携帯を見れば、”見た目は派手だが腕は確か”な瑠可ちゃんからの着信ではないか。
「もしもーし」
『あ。もしもし、久しぶりー』
「久しぶりー。…あ。ありがとね。ピアノの先生、喜んでくれとったよ」
『当たり前やろ。私が着けたんやから』
「ふふふ、さすがやね」
『そうやろー。…。てかさ、今から久しぶりに会わん?』
「今から?いいけど。どこで飲む?」
『いや、私、バイクやけん、お酒飲めんっちゃん』
「そうなん?じゃあどうすると?」
『むふふん』
聞き覚えのある笑い方に、瑠可ちゃんが本当は今から何をしたいのかがわかった。
なのでわたしが「なによ」と笑って返すと、わたしにそれが伝わったことに気付いた瑠可ちゃんは応えた。
『美咲ん家で飲みたいなー』
「えー?ウチ?」
『うん。ていうかもう行く気満々なんやけど。もうバイクにまたがっとるし』
「はあ?なにそれ。気が早いな」
『ダメ?』
「んー…いや別にダメとかやないけど」
『やったー!じゃ今から即行で行くね!』
「あ、ちょっと待ってちょっと待って!それなら瑠可の方が早く着くかも。わたし今、仕事終わったばっかりやし」
『そうなん。じゃあ先にシャワー浴びてから行こっかなー。夜風で髪の毛乾かす感じで』
「なにそれ。じゃあゆっくり入ってからおいで。わたしも瑠可が来る前にシャワー浴びときたいし」
『即行浴びて行くわ』
「やめて」と笑ったわたしは電話を切った。
するとすでに胸の奥は、ふわふわと浮いた心地で、わたしは何て気の早い女なんだろうと自分をたしなめた。
けれど思わず「むふふん」と笑いを漏らしたわたしは、足早に帰路についたのだった。
***
シャワー上がりにドライヤーで髪を乾かしていると、インターホンが鳴ったのでオートロックを開けた。
するとすぐさま玄関扉を開いて入って来た瑠可は、わたしを見て「おっす」と言って笑った。
真っ黒のボウリングシャツにワイドなジーパンをラフに着こなした出で立ちや、両耳に着けられた大量のピアスがよく見えるほど短く切られた髪の毛は相変わらずだが、その髪色は以前見たシルバーではなくアッシュピンクで、その毛先はまだ少しだけ濡れていた。
「おっす」と返したわたしは続けた。
「髪の毛濡れてるじゃん」
「ん?ああ、ヘルメットかぶってたから」
タオルを取りに脱衣所に入ったわたしは言った。
「夜風で乾かす感じじゃなかったの?」
「まあ、イメージではそうだったんだけど。ほら、私ヘルメットとか、そういうの意外と真面目だから」
わたしが小さく笑って瑠可にタオルを手渡すと、瑠可は”むふふん”の顔になって言った。
「拭いて」
「えー。ピアス引っ掛けそうで怖いんやけど」と言いながら瑠可の頭をワシャワシャ拭いてあげると、瑠可は嬉しそうな顔をしながら、わたしの揺れる胸をジッと見つめた。
今さら男の子にそんな風に見つめられても”またか”とくらいしか思わないわたしだが、瑠可に同じように見つめられると未だに少しだけ恥ずかしくなる。
「ていうか、また髪の色変わったんだ」
そんな恥ずかしさを悟られないように話題を変えると、瑠可はわたしの腰にやんわりと手を伸ばしながら応えた。
「そうだね。やっぱり夏はアッシュピンクかな、と思って」
「なにそれ」
思えば瑠可と初めて知り合った日も、瑠可はアッシュピンクの髪色をしていた。
それは去年の夏のこと。
わたしの住む某県一番の若者の街が若者の街になる前から住んでいるおばあちゃんの家に毎週出張施術に通っていた頃。
その帰り道にある短い横断歩道の向こうで、配る気のないチラシ束を片手に、いつもビル壁にもたれてボーッと空を見上げている女の子が瑠可だった。
毎週その子の横顔を見ながら、毎週なんて美人な女の子なんだろうと思った。
儚げに透き通る肌は夏の陽射しに滲んで光を放つほど真っ白で、その手足は折れそうなほど細い。
なのに短く刈り上げられたピンク色の髪の毛から覗く両耳には重たそうにジャラジャラとシルバーのピアスが装着され、せっかく洋服映えしそうなスタイルをしてるのにそれを全て打ち消すようにいつもオーバーサイズの真っ黒な洋服を着ている。
そんな彼女の姿に見惚れ、だからこそ勿体無いと感じながらも、毎週何事もなく道路を横断する日々が続いていたのだが、ある日、ついにその子がわたしにチラシを渡してくれたことで二人は知り合った。
あとから聞けば実は瑠可も、見上げたカーブミラーの中からずっとわたしの姿を見つめていたらしい。
そして毎週見るたびに『あーあの子とキスしてみたい』『あの子の身体を抱きしめてみたい』『あの子とエッチをしてみたい』と気持ちを募らせてくれていたそうだ。
若者の街にある雑居ビルの一室で、ボディピアス専門店に勤務する瑠可は、女の子が大好きな22歳の女の子なのである。
わたしの腰を抱く瑠可の両手に引き寄せられ、思わずタオルを落としたわたしは瑠可の身体に抱きついた。
するとわたしと身長の変わらない瑠可の顔が目の前に来て、そのまま瑠可はちょんとわたしにくちづけてくれた。
隠しきれない照れ笑いに顔を逸らすと、ふと、触れ合う身体の柔らかさに気が付いたことを言った。
「ねえ瑠可」
「うん?」
「またブラジャー着けてないでしょ」
グイグイと身体を寄せるわたしにバツの悪そうな顔をした瑠可は言った。
「…だって暑いじゃん」
「ダメだよ、暑くても着けなきゃ。瑠可もおっぱい大きいんだから」
叱るように瑠可を見ると、瑠可はボソリと呟いた。
「私のはただの脂肪だよ」
「はいはい。ガリガリのくせによく言うわ」
くちびるを尖らせて瑠可の顔を見つめていると、ふと、瑠可と目が合った。
すると瑠可の顔がゆっくりと近付いて来て、二人はゆっくりとくちびるを重ねた。
***
海水に漱がれた蜜柑のような味に顔を浸していると瑠可の太ももがグッと緊張し始めたので、わたしは舌と指先の動きを早めた。
すると瑠可が「あっ…」と口籠もるなり、ほっそりとした腰が跳ねるように持ち上がり、しばらく痙攣した後それはドサリとベッドに落ちた。
真っ白な肌を鎖骨まで紅くして快楽の余韻に浸る瑠可の姿を見て満足感に浸っていると、ふと、ライトグリーンのカーテンがすでに真夏の朝陽を透かしていることに気がついた。
わたしは言った。
「ねえ」
「…。…うん?」
「もう朝になっちゃったよ」
「…。…うん」
男の子とする時、それには明確な終わりがある。
けれど女同士でする時、それには明確な終わりがないから、どちらかが事切れるか仕事の時間が来るまで永遠に続いてしまう。
すっかり儚げな少女に戻ってしまった瑠可の顔を見ていると、ささやかな嗜虐心が心に生まれて、わたしは再び瑠可の太ももの間に顔を落として舌先を伸ばした。
そしてそれが亀裂の隙間の潤った硬さにちょんと触れるなり、瑠可の太ももがわたしの顔を強く挟んで、そのくちびるが「ダメっ…今はダメっ…」なんて愛しいことを懇願してくるので、わたしもさり気なく自分の突起に片指を這わせながら、再び瑠可の身体に舌と指先を這わせた。
すると、ほどなくして二人はもう何度目かわからない絶頂に達した。
そして二人でグッタリと脱力しながら息を切らした。
クタリと瑠可の太ももに頭を乗せて快楽の余韻に揺蕩っていると、瑠可の左手がわたしの髪の毛をやんわりと撫でたので、嬉しくなったわたしは三たび目の前の亀裂に指先を伸ばした。
しかし「もうダメ」と瑠可は笑って右手でわたしの左手を握ったので、わたしはその手を繋いだまま、頭を撫でる瑠可の左手に甘えることにした。
表皮の下に快楽の余韻を残したまま穏やかな心地に浸り、ほどなくしてムクリと起き上がったわたしは「おしっこ」と言ってベッドを降りた。
すると瑠可も「喉乾いた」と言って起き上がったので「勝手に飲んで」と言い残して、わたしはトイレに消えた。
一人になると思い出したように眠気が脳裏に現れた。
あくびをしながら洗面所で手を洗って寝室に戻ると、扉を開けるなり部屋中が女の匂いに満たされていて、口元で小さく笑ってしまったわたしはキッチンに立つ瑠可の姿を見た。
するとそこには本当に、本当に綺麗な女の裸があった。
どうしてこんなに透き通るような肌をしているんだろう。
どうしてこんなに細い肩をしているんだろう。
どうしてこんなに綺麗にくびれているんだろう。
どうしてこんなに華奢な背中をしているんだろう。
なのにどうしてこんなに大きな胸を携えているんだろう。
それはどうしてこんなに大きいのに丸々と綺麗な形をしているんだろう。
それはどうして髪の毛よりも儚げな色をしているんだろう。
瑠可の身体はまるでお人形さんのようで、幼いわたしが憧れた理想の身体そのままなのである。
わたしが思わず駆け寄って瑠可の身体を抱きしめると、「うおっ。どうした、どした!」と言ってペットボトルをシンクに置いた瑠可は、わたしの身体を抱き返してくれた。
わたしは瑠可の右肩にくちびるをつけたまま呟いた。
「瑠可ってさ」
「うん?」
「ほんと綺麗だよね」
「ふふっ。はあ?なに急に」
「わたしも瑠可みたいにもっと華奢だったら良かったのに」
瑠可は何の気兼ねなく笑ってわたしの髪を撫でてくれた。
そんな瑠可の顔を見たくなって、わたしが背中を抱いたまま身体を離すと、瑠可は言った。
「私は美咲の身体すきだよ。なんかこう…女性ホルモンが溢れて止まらない、みたいな」
「…なにそれ」
「なんかこう…身体中の毛穴からエロさが噴き出しまくってる、みたいな」
「…嬉しくなーい」と言ってわたしがスネると、瑠可が細い五指をわたしのおしりのふくらみにグッと埋めたので、わたしはさらにスネた顔で瑠可を見た。
すると瑠可はケラケラと笑ってわたしのくちびるにちょんとくちづけた。
「はあ」と溜息を漏らしたわたしは続けた。
「もうちょっとわたしも痩せたいよなあ」
「別に太ってないじゃん。なんだろ、全身の皮膚の下に薄い脂肪の層が一、二枚敷かれてるって程度じゃん」
ピアスを着けられる箇所を探すような手付きを素肌に感じながら、わたしは言った。
「いやー…デブだよ。いつもはそれほど思わないけど瑠可の身体を見てたら本当にそう思う」
「あ。今、全国のデブを敵に回したね」
「いやいや、ほんとにデブだって」
「まあ、おっぱいだけは異常にデブだよね」
「うわ。今、普通に傷付いた」
「ごめんって」と謝る瑠可から目を逸らして黙り込んでいると、瑠可はわたしの身体を引き寄せ、おでこをつけて口を開いた。
「でもね私。美咲がこんなに大きなおっぱいしてくれてて、本当に嬉しいんだよ?」
「…”嬉しい”の?」
「うん。だってほら」と言った瑠可に促されて視線を落とすと、そこにはわたしの胸が瑠可の胸を押し潰している光景があった。
「美咲とこうしてるとね、自分の胸が見えなくなるからね」
「…」
「私、美咲とギュッとしてるの好きなの」
視線を上げると瑠可の澄んだ瞳と目が合った。
その穏やかな表情にバツが悪くなったわたしはそろりと視線を逸らして言った。
「まあ。そういうことなら…こんだけおっぱい大きくなって良かったわ」
「ごめんね。いつも重たい思いさせて」
「いいってことよ。他でもないあんたのためじゃないか」
瞬時見つめ合った二人はやんわりと噴き出した。
そしてお互いにキスの雨を浴びせ合ったが淫靡な空気にはならず、やっぱり笑って二人の胸は揺れた。
***
「はあ」と快い息をついて瑠可の身体から離れ、シンクにおしりをつけてもたれると、瑠可もシンクにもたれて言った。
「そういえばさ。最近、妹ちゃんがよくウチの店に来るよ」
「妹?どっち?」
「あのー、色の白い方」
「ああ。由理ね」
いつぞや瑠可と夕方から飲みに行った時、都会の公園で5番目と6番目の妹にバッタリ遭遇したことがある。
そこで瑠可と顔見知った6番目の妹が、最近になって瑠可の店によく遊びに来ているのだそうだ。
「へー、由理がね。意外」
「なんかあんまり学校に馴染めてないらしいよ」
今年高校一年生になった由理は姉妹の中でも一番真面目な妹で、中学では生徒会をしていたほどの優等生である。
「まあ、なんか…。…面倒じゃなかったら優しくしてやってよ」と言ってわたしが黙り込むと、笑った瑠可はわたしの横乳をつついて言った。
「あー、お姉ちゃんの顔だー」
「そりゃあまあ、一応ね」
わたしがシンクに置かれたペットボトルのお茶を飲むと、それを受け取った瑠可も一口飲んで言った。
「美咲んとこ、大家族だもんね」
「まあね」
「羨ましいよ。ウチは一人っ子だから」
まだ飲む?とペットボトルを差し出されたので、首を横に振ってわたしは言った。
「全然いいもんじゃないよ。毎日うるさかったし」
「そういうのが羨ましいんだよ」
冷蔵庫を開けてかがむ瑠可の真っ白なおしりを見ながらわたしは言った。
「まあ”大家族スペシャル”みたいなテレビの家族は毎日にぎやかで楽しそうだけど、ウチの場合はママが自分の分身を産めや増やせやみたいな感じだったからね。姉妹全員プレッシャーで、あんなワイワイした感じじゃなかったよ」
「そうなん」
「うん。ほら、ウチのママ、ちょっと病んでるから」
再びシンクにもたれた瑠可は、やんわりと遠くを見るような目で言った。
「でもそれって”女”としては、ちゃんと責務を果たしてる生き方なんじゃない?」
「え?」とわたしが振り返ると、こちらを向いた瑠可はわたしと目を合わせずに続けた。
「いや、ほら。子供を産む、って女にしかできない役割じゃん?だからそういう意味では、美咲のママは誰よりも”女”としての役割を全うしてるんじゃないかな、と思って」
首にかけられたシルバーのネックレスの十字架をいじりながら瑠可は呟いた。
「ほら、わたし、レズだから」
声のトーンを一つ落として瑠可は続けた。
「…。一人っ子なのに」
その十字架にはキリストが磔けられていて、わたしはそれをいつも不気味に思ってしまう。
けれど瑠可はどうしてか、それを絶対に外そうとしない。
わたしが「…瑠可?」と言ってその顔を覗くと、口角を上げて目を逸らした瑠可はとても哀しそうな表情をしていた。
しかしすぐさまシンクを後ろ手に天井を見上げた瑠可は、鼻から大きく息を吐いて、気持ちを切り替えるように「ふう」と息をついて声色明るく言った。
「ま。だからどうってわけでもないんだけどね」