その後、警察の人と救急車が来て、私はしばらく入院することになりました。膣や肛門のなかには、小石数個や、ボールペンのふた、飴玉が詰め込まれていたみたいです。
その病院で、妊娠検査も受けました。その時に、看護婦さんや女医さんが私の太ももをみて、さっと顔が青くなったのを覚えています。そこには、私の実名やSNSのアカウントなんかが、卑猥な言葉とともにマジックで書きこまれ、消えずに残っていたからでした。私はそれには気が付いていましたが、悪夢というしかない一晩に比べれば、さして気にしていませんでした。
幸い、妊娠はしていませんでした。
しばらく入院して、私は心に傷を抱えつつも、どうにか、日常に復帰していきました。親や友達、先生なんか周りが、ものすごく気を使ってくれるのが、なんか申し訳ない、と思えるくらいの余裕もできました。
それから、一年半くらい経った頃でしょうか。
次のような長文のメッセージが届きました。
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A探偵事務所のHと申します。
突然のご連絡お許しください。
恐喝や、イタズラ目的ではありませんので、ご安心ください。
私どもの事務所で、ある女性からの依頼で、レイプ犯の男性の調査を行い、非合法の筋の方に協力していただき、その男性のビデオを押収いたしました。
その中に、貴女様の連絡先と動画がありました。
このままですと、動画が広く流通する危険性があるので、念のためご連絡いたしました。
もし、お心当たりがありましたら、至急、ご連絡ください。
また、お心当たりがなければ、まことに申し訳ありません
間違いです破棄願います。
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私は驚いて、動画を見せてほしい、そのレイプ犯がどんな男だったか、尋ねました。自分のものか知るためにもその動画に、どういう姿があったのかをもお知らせください、とお願いというか哀願の返信をしました。けれども返ってきた答えは
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男のことについては、業務上教えることはできません。
ビデオの内容は、高校生らしき若い女性が数人の男性に、車で連れ去られ、その後、トイレの中で、めちゃくちゃにレイプされています。
業務上、あたなが本人かどうか、はっきりしない段階では、お見せすることはできませんが、写真を送っていただければ、写っている女性と同一かどうかは、確認してあげます。
また、動画はDVDでラベルには、【私の本名】と書いてあります。
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私は、返信をしませんでした。怖かったからです。そうすると、あなたの動画が出回ってもいいのですか?。と重ねて聞いてきます。私はもちろん嫌です。絶対にイヤと、返さざるを得ませんでした。
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それでは、言うとおりにしてください。
こちらも、仕事なので、言うとおりにしていただけてないと、助けられないです。
まず、できるだけ、たくさん、写真を送ってください。
ビデオが、貴方かどうか、確認できたら、色々とご相談にのります。
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私はそれでも写真を送ることには抵抗があったので、自分の容姿や制服を言葉で伝えました。でも、それを無視するように、次のように追い打ちがかけられました。
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誰も、捕まったわけではないです。
ビデオの所有者と、実行犯が同一かはわかりません。
万理江さんが、私を信用しなければ、私は、何もしません。
動画がどうなるかも、わかりません。
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私は仕方なく、写真を送るよう伝えました。
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それでは、言うとおりにしてください。
こちらも、仕事なので、言うとおりにしていただけてないと、助けられないです。
まず、できるだけ、たくさん、写真を送ってください。
ビデオが、貴方かどうか、確認できたら、色々とご相談にのります。
それで、よろしいですか?
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私は承諾し、まずは、なるべく、ぼんやりと映っているのを送ったのですが、それではだめだと言われて仕方なく、別のを送りました。
こんなやり取りを数回した後、力になってくれる、というので、事務所に来てほしい、と言われました。
藁にもすがる気持ちで、指定されたカフェに向かいました。
後でわかったのですが、A探偵事務所のHを名乗る男は、私がレイプされた後、便器に縛り付けられて気を失っていたころに、その姿を見て、太ももにマジックで書かれていた個人情報を記録していたみたいです….