飲み会が開かれる事になった。
それも、居酒屋の座敷席のテーブルを幾つか連結させた巨大テーブルを3列占有する大人数。
どういった関係の集まりかと言うのは敢えてボカして話を進めるが、総じて知人同士な事には違いない。
ただ、知人と言っても友達もいれば、逆に"知ってるだけ"程度の人も多くいる集まり。
そんな飲み会だったが、慣れたムードメーカー達の手腕で最初から盛り上がりには事欠かなかった。
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最初こそ3つのテーブルが一体となって飲んで騒いで盛り上がっていたが、時間の経過と共に3つテーブルにはそれぞれの役割が出来上がっていった。
1つのテーブルはとにかく馬鹿騒ぎしたい人達用のテーブル。
1つのテーブルは真面目に何やら真剣に語り合いたい人達用のテーブル。
そして居酒屋の一番奥、更には店のレイアウトの都合上3方を壁に囲まれて死角っぽい位置にある3つめのテーブルは避難&休憩テーブルとしての役割を持った。
騒ぎ疲れた人、飲み疲れた人、テーブルに突っ伏していたり、壁に寄り掛かって口を開けて寝ていたりと一様にグロッキー状態だが、それ等に紛れて口説き口説かれの男女がいたりもする。
休んでいた奴が復活したり、呼ばれたりして他のテーブルに行ったかと思えば、入れ替わりで他の奴がフラフラとやって来る。
いずれにしても、他のテーブルに比べたら人は断然に少ない。
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さて、俺はと言えばその避難テーブル、長方形の大きなテーブルの長辺の端に鎮座していた。
とは言っても、俺は別に酔い疲れてはいないし、騒ぎ疲れてもいない。
ただ、飲み会自体は好きな俺だが、こういった大人数の飲み会は正直苦手。
とは言え、大人数の飲み会はカオスになりがちで、面白い事が起こる事も多い。
なので、俺は少し距離を取った所で飲み会全体の流れを傍観して楽しんでいた。
んで、このポジションが実に居心地がイイ。
時折、向こうのテーブルから「こっち来い」等と誘われるが、ノラリクラリとかわす。
動こうとしない俺の所に逆に人が来訪してきて雑談や馬鹿話をしては「また後で~」と元のテーブル達へと帰っていく。
来訪者が去って、再びマッタリしようかと思っていたら新たな来訪者達。
かと思っていたら、先程迄の来訪者が離れて空いた場所にドサっと1人の女子が置かれて、その女子はそのまま崩れて床に横になった。
その女子を連れて来たコが、横になった女子のスカート裾にサっと上着を掛けてあげながら、
「このコ、暫くここで寝かせといて~(笑」
と言い残して元のテーブルに戻っていった。
置いてかれた女子が横になっている場所は、大きな長方形テーブルの長辺の端にいる俺のすぐ横の短辺部分。
現状の避難テーブルの中で唯一身体を横に出来る場所だし、更には壁にも挟まれてるので横になっていたら人目に付きにくい場所の1つ。
置かれて横になっている女子は『菜緒』。
やはり見知りで挨拶を含めチョットした会話はした事はあるが、どちらかと言うと"知ってるだけ"の部類に入る人間。
当然、彼女のプライベートな事は知らないのだが、特に変な噂も聞かないし知らないなりに普段の印象は真面目そうな人という感じ。
「あ~、〇〇さんだ~(笑」
そんな菜緒が見事に酔っ払って、実に可愛く出来上がっていらっしゃる。
酔っ払うとこんな感じになる人なんだ、と。
普段と全然違うな、と。
「おー、いらっしゃーい。潰れちゃった?(笑。大丈夫?」
壁とテーブルの間で横になっている菜緒の頭は俺側に向いている。
と言うか、すぐ横を見下ろすとそこには菜緒のフニャっと少々間抜けな顔。
「え~、全然大丈夫ですよぉ~(笑」
その声はやはり普段の菜緒とは違い実に声や口調が甘ったるい。
そのグデングデンぷりから連れて来たコが言ってた通りに直ぐ寝るかと思っていたが、これが寝ない。
それどころか、フニャフニャの菜緒がスローペースな会話を振って来る。
会話が終わって静かになったので寝るのかと思ったら、またフいに会話を振られる。
こうして、菜緒は見上げながら、俺は見下ろしながらの会話が始まった。
会話と言っても、酔っ払い相手なので俺からは「うんうん」「そーなんだぁ」程度の返しなのだが、どうやらそれで十分満足らしい。
それでも俺が見下ろしていない上に俺から何も反応がないと、テーブル下の俺の太ももをノックしながら、
「ねぇ~、聞いてますぅ~?」
とセッ突かれる。
内容は、何て事の無い雑談だったり愚痴零しだったり、良く分からないものだったり。
途中、1人の知らない名前に対する愚痴が続き少々ヒートアップする場面もあったが、延々と続く甘ったるくスローペースな会話に俺は付き合った。
合間合間に「ポテト食べる?」等と聞けば、菜緒は遠慮なく、
「(あ~ん)」
と可愛くも間抜けそうに口を開けてくるし、氷入りの御冷をストロー付きでコッソリ頼んで、皆に隠れて寝たままの菜緒に飲ませたり。
それが少し失敗して零れたとしても、2人とも周りには内緒のミスとして2人でコッソリの笑い合ったり。
気が付けば、特にそういう申し合わせをした訳でも無いのに、
"菜緒が実は起きてるのを皆にバレてはいけない"
と言うゲームを2人で暗黙に楽しんでいる状況になっていた気がする。
まぁ、実際にバレているのかバレていないのかは分からないけど。
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そうこう楽しんでいると向こうのテーブルで1人の知人が立ち上がり動いた。
更には、その知人(知人と言うよりは友人)は明らかに俺の方へと向かって来る。
「あ、△△がこっち来るかも」
そう、チラっと菜緒を見下ろしながら言うと、菜緒は人差し指を口にあてて、
「(しー)」
っと悪戯な笑顔を向けて後に、口元をニヤけさせながら目を瞑り寝たふりを始めた。
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「ん~?あ、これ、菜緒ちゃん?」
「あぁ、潰れちゃったみたいで寝てる(笑」
「あー、そういやプライベートの事ですげーイジられて、何か結構飲んじゃってたからなぁ。お酒そんな強くないハズなのに(笑」
と、知人はテーブルの向こう側に座り込んだ。
そして声量に配慮した馬鹿話や雑談が始まった。
…んー、コイツ、思ったよりも長居しやがるな…と思っていたら、床に置いていた俺の手をツンツンされた。
知人に不審がられない程度にチラりと下を見下ろすと、やはり菜緒が俺の手を指でツンツンと遊んでいる。
そして見下ろした俺に気が付いて、
「(見つかっちゃった!)」
と、再び口元をニヤけさせた寝た振り。
それがどうにも可愛くて俺もニヤけそうになって頬をムニュっと摘まんでやりたくなったが、そこは我慢して知人を見やって会話の続き。
すると、菜緒の指のツンツンが見事に調子づく。
ツンツンの他にグリグリともして来やがる。
が、だからと言って知人には菜緒は寝ている事になっているのだから、そうそう何度も見下ろせない。
何よりも、これはもう見る人が見たら立派な"イチャイチャ"だ。
知人の口からも出たが菜緒のプライベート的にもこの"イチャイチャ"はバレていい類の物じゃない。
いや、楽しくなってきたこの"イチャイチャ"をバレて無くしたくないって気持ちの方が大きいか。
で、なら今は自制をした方がイイものを、俺も敢えてバレないように遊びたい気持ちが勝っちゃって反撃開始。
とは言え、そうそう見下ろせないので攻撃されたら反射で反撃する感じ。
菜緒は身体を丸ませていて菜緒の手悪戯達はテーブル下の出来事だし、何なら菜緒の顔も若干テーブル下に入り込んでいる。
俺が他から視界に入っている腕さえ大きく動かさない限りは、知人にも他にもバレる事は無いだろう。
早速、菜緒からツンツンされた瞬間に、まるで罠かの様にその指をガッと掴み上げてやる。
更にはグリグリしてきた瞬間に手首を廻して、菜緒の手を上から抑え付けたり。
いずれにしても菜緒は自分の手が捕まったらもう片方の手で攻撃を追加して捕まったいた手を逃し、次には罠には掛からないように考えて攻めてくるし両手同時でも仕掛けてくる。
警戒や防ぎきれない菜緒の攻撃に翻弄された俺が知人の隙を見てチラっと見下ろし一瞬で目標を定めた上で、額にデコピン…が力加減を間違えてしまった。
「こつん」って音と「んっ」って声が僅かに聞こえてしまったが、どうやら知人が其れ等を気にする様子は無い。
が俺の一瞬の焦りを他所に、テーブル下しか知らずデコピンを知った菜緒が俺の手に対してデコピン連発。
「(待て、ちょっと待て、今はちょっとストップ!)」
と、手の平を向けて合図を送ったが、通じない所かその手にさえ攻撃。
弱いのか当たり所なのか音こそしないが、怒涛の連撃。
「(あー、もー!)」
と、遂には菜緒に対して顔面目掛けてのアイアンクロー。
と言う所で、フと頭を過った。
「(あー…飼った事は無いけど、TV見ながらとか人と話ながら片手間で猫と遊ぶのってこんな感じなのかなぁ…)」
いやいやいやいや、そんな事よりもコレ、流石に派手に動き過ぎてない!?と焦ったが、やはり俺と話している知人の目線は何かを気にする様子は全く無い。
あれか?
やましい気持ちを持ってる奴の方が、余分余計に気にするってヤツか。
その後、知人がやっと腰を上げてくれた。
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周りをチョット見渡してから、俺は少々呆れ気味のニヤけ顔で見下ろして、
「あのさー(笑」
菜緒は菜緒で少々膨れっ面のニヤけ顔で見上げて、
「さっき口に指入りそうだったんですけどぉ(笑」
「△△にバレそうなのに、チョッカイ出してくるからだろ(笑」
って言葉と一緒に、ダメ押しで鼻をつまんでやった。
「んんん!」
「ほら、あんま暴れると皆に起きてる事バレちゃうよー(笑」
そう脅してやると、膨れっ面のニヤ顔で睨みながらも「(ん~っ!)」と必死に身体のモゾモゾを我慢する菜緒。
うん。やはり菜緒もこの隠し事を楽しんでる。
俺は一層周りを気にしながらも、鼻つまみを止めてあげて今迄よりも一層と顔を菜緒へと下げた。
「…あのさ、みんなに隠れてこうやってる遊んでるのって…、…何かすげーエッチじゃね?(笑」
流れとは違う不意のような俺の言葉に、菜緒の目が一瞬まん丸。
で、次の瞬間には両方の手や腕をクロスさせたりジタバタ気味に動かして必死に顔を隠そうとしていたが、その隙間隙間に見えた菜緒の目元や口元は何となくニヤけ気味な様な気がする。
その後、その顔を隠すのは両手で覆うという事で落ち着いた菜緒だったが、困った目元をピョコっと覗かせてその顔をブンブンと横に振っての否定。
が、俺はお構いなし。
菜緒が顔を覆い隠していた手の片方に手を掛けて顔から離していく。
更にはその手にそのまま指を絡めていくと、最初の一瞬こそギュッと抵抗があったものの結局は割とすんなりと指の根本までズッポリと絡み合う恋人繋ぎ。
その上、もう片方の手で少々乱れている髪を優しく撫でてやると、切なさそうな瞳で見つめてきたり、どうしていいか分からないといった視線を色々彷徨させた挙句、思い直した様に俺を見つめて首を振る菜緒。
が、やっぱりもう俺はお構いなし。
「んー…やばい…、もっと顔近付けたいけど…これ以上近付けたら流石に皆にバレるよね(笑」
その言葉にも菜緒は何も発しなかった。
ただただ、やはり首を振るだけ。
そんな菜緒の髪を撫でていた手が、今は口元を隠す菜緒の手へと近付く。
「…だから、その代わりに…」
困惑する菜緒に構わずに、俺の指は口元を覆い隠した菜緒の手の下に。
そして、そのままその指は菜緒の唇へ。
驚いた顔を見せた菜緒だったが、指先が菜緒の上唇、そして舌唇を遊ぶと下半身をモゾりとさせて、上半身をブルっと震わせ菜緒の目元が一層切なさそうな瞳へと変わる。
されるがまま何度も何度も指先で唇を一方的に遊ばれて、更には下唇の上唇の間を深めにナゾると菜緒の切なさそうな目元が更に糸の様に細まり、またしても菜緒の下半身や上半身がモゾりと動いた上に、ギュっと絞り上げるように震えた。
唇の中へと第一関節程指を入れてやると「(んも)」と窮屈そうに上半身を僅かに浮かせて、薄目だった目元を完全にギュっと瞑りもすし、同時に恋人繋ぎの手にもギュっと力が籠められる。
しかし、唇の中に少し入れた指をユックリと上下にピストンし始めてやると、
菜緒に変化が見えて来た。
ピストンを始めた指に対して、僅かにだが菜緒の唇が萎められる。
指先が菜緒の舌先に触れると、僅かにだが菜緒の舌先が絡み返してくる。
其れ等の動きを菜緒がすればする程に、身体中にギュっと籠めらていた力がフワっと霧散するように抜けていく事が多くなっていく。
そして、力が霧散していく程に菜緒の唇や舌の動きが滑らかになっていき、俺も菜緒の唇の更に奥へと指を出し入れし、その中で舌先と存分に絡み合わせも楽しんだ。
正直、驚いていた。
最初はキス代わりの悪戯として軽く仕掛けたつもりだったが、菜緒の事を良く知らずとは言え俺が促したとは言え、真面目そうな印象の菜緒が拙いとは言え正しく"指フェラ"として答えてくれたのは、かなり嬉しい誤算だった。
とは言っても、菜緒はイチャイチャの時のようなニヤけ顔を俺に向けながらしてくれるって訳でも無く、ただただ黙々とって感じではあるけど。
あー、このコ、見た目や印象よりもずっとずっとエロいコなのかも。
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向こうのテーブルが再び盛り上がる。
酔っ払った笑顔を向け合い楽しみ合う知人達。
その場の端の端。
皆から見えぬテーブルの下。
俺の手を両手で掴んで、
「(ん、ん、ん、ん、ん…)」
と、俺の指を僅かに顔を動かしながらもシャぶる菜緒。
時に舌先でグルリグルリと舐め廻して、そしてまた咥え動く。
もう片方の手の指を近付けると、今度はその手を掴んで舌で、口で指を愛撫。
そうされながら、俺は先程まで愛撫で既にタップリと濡れた指を菜緒の胸元に触れさせて滑らせる。
が、周りにバレないように動くにはやはり限界はある。
「…んー…、これ以上は届かないなぁ…。ね、もうちょっとコッチ来て」
が、指シャぶりを中断した菜緒にはまたしても首を左右に振られた。が、
「ほら、もうちょっと。もうちょっとコッチ来て」
の再度の御願いに、菜緒はモゾモゾと身体を俺の方へと近付けてくれた。
近付いた事で、菜緒の胸元からそのまま衣服の中へと入り込んでいく俺の手。
モゾ、モゾ…
「(っ!!)」
菜緒の身体が一度大きくビックン。
同時に慌てるかのようにシャぶっていた俺の指ごと自分の口を塞ぐ。
それは菜緒の服の中の、明らかに周り肌とは違う感触の菜緒の突起物。
周りは…うん、気付いてる奴はいなさそうだ。
「…なんかエッチなの見つけた」
その言葉に首を横に振る菜緒だったが、構わずその突起物を未だ濡れている指先で弄び続けて刺激を絶え間なく与える。
「(っ!!……っ!!…)」
居酒屋の雑踏の片隅で、必死に抑えながらも身体をビクつかせてしまう菜緒。
そして、それらを紛らわせるかの様に思い出したかの様に俺の指へのフェラを再開する菜緒。
が、指先で弄ばれる突起物はみるみると弾力を帯びていき、そうなる程に菜緒の反応もより大きくなっていく。
そして、その刺激を紛らわす為にも指フェラも更に激しくなっていく。
「ん…っん!…ちゅっぱ…ちゅっぱ…っん!…ん…」
つーか…ヤバい。
指フェラによる菜緒の頭の動き、何よりまだ僅かではあるが声や音が俺の耳に届き始めてきている。
一応万が一の為にその付近のテーブルの上を不自然にならない程度に背の高いもので目隠しはしてるけど…
「バレちゃうよ?」
「…んっ………だって…だって……ん、んっ!」
菜緒の不安定に震えた漏れ声。
その声量は、もう隠し事の声量では無くなってきていた。
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俺は未だ沢山の人混みの流れを暫く眺めていた。
…来ない。
こっそり伝えた時間差が過ぎても降りてこない。
「(ま、こうなるパターンもそりゃあるわな)」
正直な話、時間差で出ようと伝えた際に実は菜緒からの返事は無かった。
そんな中、人混みの流れの向こうに見えた、もう何度目かのエレベーターの階数表示のカウントダウン。
「(これで来なければ…いやいや、あともう少し位は…)」
…3……2………1
が、やはり知らない人達が数人降りてくるだけ。
……いや。
いやいやいやいや、その後ろ。
1人、不安そうに周りをキョロキョロしている菜緒。
俺は目の前の人混みの流れへと踏み出した。
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ちなみに、多少は覚悟はしていたが2人の隠し事がバレる事や疑われる事すらも無かった。
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おわり。