「やっぱり、私の思った通りだ。」
「ふふっ、どう?夢みたいでしょ?」
「あの時も、こんな感じだったのかな?」
「本当…変態、だね。」
眼前に広がる光景が、匂いが、彼女の言葉一つ一つが、俺の理性を溶かしてゆく…
こんなことになったのは―――――
俺の名前は修一しゅういち。大学3年生だ。
とある冬の日の昼、俺はいつも通り友人の弘樹ひろきと学食で飯を食っていた。
弘樹は、小学校時代からの長い付き合いだ。高校は別々だったけど、放課後や休日は良く遊んだ。
まさか、大学でまた再開することになるとは思わなかったけど。
昼食を食べながら話すのは、午後の授業やレポートのこと等、代わり映えのない話題。
あるいはゲームや、どこに遊び行くか等々…。
ただ、この日は珍しい話題が出てきた。
「そうだ修一、あいつのこと覚えてるか?」
「あいつ?誰だよ?」
唐突に、主語のない話題。
これも弘樹の喋り方の癖だ。
「ほら、中学の時一緒だったあいつ。えっと…悠はるかだ。途中で転校してきた女子の。」
「…」
「…ああ、居たな。」
「なんだよ、反応薄いなぁ。」
「…いや、久しぶりに聞く名前だったし、急に話題に出てきたから何事かと思ってな。」
―――その名前が出た瞬間、俺は若干、冷や汗をかいていた。
でも、悟られないように振る舞う。
「まさか、顔覚えてないなんて言わないよな…?」
「まあ、それなりには覚えてる。」
「それなりって…。」
「…んで、その悠がどうしたんだよ。高校は別だったから、もう関わりなんてないだろ?」
「いや、それがこの間、千晶ちあきから連絡があってさ。」
千晶は、中学時代に仲良くなった数少ない女友達だ。
いつも明るく、誰とでも仲良くなれるタイプ。
千晶もまた、弘樹と同じように大学で再開し、今もつるんでいる。
ちなみに、弘樹と千晶は恋人同士だ。
「千晶から?」
「ああ、なんでも悠と偶然再会したらしくって、そっから連絡取りあってるみたいでさ。」
「確かに、千晶と悠は当時も仲良かったよな。」
「そうそう。で、俺や修一と同じ大学にいるって話をしたみたいなんだよ。」
「そしたら、「会ってみたい!」って話になったんだと。それで、「久々にみんなで集まらない?」って俺に連絡が入ったわけだ。」
「…そうなのか。それは、行ってくればいいんじゃないか?」
「…その口ぶりは、お前は行かないってことか?」
怪訝そうに、弘樹が言う。
「…」
「嫌なのか?そんなに仲悪かったわけでもないだろ?」
「いや、まあ嫌ってわけじゃないんだが…」
―――俺はここで、過去の記憶が蘇っていた。
悠は、中学2年の時に転校してきた女子だ。
ストレートの長い髪で、性格は快活。
見た目はというと、正直かなり可愛かった。
かつ、その性格もあって、すぐにクラスメートとも打ち解けていた。もちろん、千晶とも。
また、悠は可愛いだけでなく、当時の女子の中ではかなりプロポーションが良いほうだった。
それでいて、スカートは基本短めにして履いているものだから、当然、男子は皆エロい目で見る。
俺も例外ではなく、特に短めのスカートから伸びる脚はとても綺麗だと思っていた。
…ただ、当時の俺は人見知りというか、特に女子との会話に慣れておらず、あいさつもロクに返せない奴だった。
悠はというと、そんな俺を面白がってか、時々ちょっかいをかけてきていた。
「修一君!おはよーっ!」
「あ、ああ。おはよ…」
「んー?なんか聞こえないぞ~?」
「いや、言ったって…」
「ほら、おはよーっ!って!」
「あーもう…」
「あははっ、なんか顔赤いよ~?」
「…」
…とまあ、これは一例だが、こんな感じ。
だから、出会ってすぐ位は「苦手なタイプだな…」と思っていた。
季節が過ぎて冬になるころ――――――――――
悠を囲んで、女子たちが話をしていた。
「だいぶ寒くなってきたよね~。特に脚が冷えちゃって…」
「今日は夕方から大分冷えるらしいよ、やだね~」
などと談笑していると、悠が突然言う。
「ふふーん、そうだろうと思って、今日はこれを用意していたのだ!」
そう言って、悠はバッグからある物を取り出した。
それは、黒いストッキングだった。
「あ、それがあるのと無いのとじゃ大違いだよね!」
「私もそろそろ履こうかな~」
「というわけで…寒いからもう履いてきまーす!」
そう言って教室を後にした。どうやらトイレで着替えてくるらしい。
5分ほど経って、教室の扉が開く。悠が帰ってきた。
「ただいま~。」
「おおー、なんか悠セクシ~!」
「ふふーん!」
和気あいあいと女子たちが盛り上がる。
――――教室に入ってきた悠を見た瞬間だった。
(な、なんだ?妙に悠がエロく見える…)
ストッキングを履いた悠が、席に戻る。
友人たちと談笑しつつ、時折脚を組み替える。
その一挙一動に、俺は目が離せなくなっていた。
当時は理解していなかったが、俺は悠の脚にフェチズムを感じていた。
元々脚は綺麗だと思っていたが、そこにストッキングが加わることで、俺の性癖が開かれてしまっていた。
それからというもの、俺は悠の脚を自然と目で追ってしまう日が続いた。
寒さ故にストッキングを履いているはずなのに、変わらずスカートは膝上。そんな矛盾もどうでもよくなるくらい、悠の脚は美しく見え、俺の目に焼き付いていた。
ただ、当時そういう性癖があることを知らなかった俺は、なんとなく、これはいけないことなのではないかとは思っていた。
でも本能には抗えず、隠れ見るように、でもしっかりと目に焼き付ける、そんな日々だった。
そして、決定的な出来事が起きた日―――――
「あれ?悠のストッキング穴空いてない?」
「あっ、破れてる!最悪〜!」
朝のHR前、悠の友人の指摘で、ストッキングが破れていることに気付いた。
どこかに引っ掛けたのか、ふくらはぎのあたりに小さな穴が空いていた。
「履き替えてくるね〜」と言いながら、新品のストッキングを手に悠はトイレへと向かった。
その後、新品に履き替えた悠は、破れたストッキングを無造作にバッグに突っ込み、席についた。
―――その日は、体育があった。
俺は、体調不良を理由に体育を休んだ。
そして保健室へ向かう…フリをして教室に戻った。
――――誰もいない教室
俺は何かタガが外れていたのだろう。
(あのバッグの中に、悠のストッキングが…)
頭の中は、それしか考えられなくなっていた。
何かに導かれるように、悠のバッグに手を伸ばした。
見つかったらどうする、なんてことを考える余裕はなかった。
そして俺は、ついに禁断の扉―――悠のバッグを開けてしまった。
朝に悠が脱いだストッキングはすぐに見つかった。無造作に突っ込んでいたから、バッグの入口付近にあった。
おそるおそるストッキングを手に取り、じっと見つめてしまう。
ただの黒い布と言ってしまえばその通りなのに、悠が履いていた…その事実だけで、やけにいやらしいものに感じてしまう。
悶々としている内、ある衝動に駆られた。
(匂いを、嗅いでみたい…)
俺は、再度周囲を念入りに見渡し、誰もいないことを確認した。そして、ゆっくりと手に持ったストッキングを顔に近づけ始めてしまった。
悪いことと理解はしながらも、本能が止まってくれない。
躊躇いつつも、悠のストッキングを持つ俺の手と顔は、その距離を縮めていく。
そして、距離は0になった。
瞬間、少し甘酸っぱいような、でも甘美な、不思議な匂いと感覚が体中を巡る。
「ハァ、ハァッ…」
少し嗅いだらすぐにやめようと思っていたのに、手が離れることはない。
悠の匂いが鼻腔をくすぐるたび、もう少し、もう少し、と言い訳のように匂いを嗅ぎ続けてしまう。
悠が履いていたという事実、悠の匂い、ストッキングの感触…その全てが興奮に変わる。
「ハァ、ハァ…」
匂いを嗅ぐたび、息が荒くなる。同時に、甘い快感が脳を襲う。
(…あ、あれ?)
ふと下半身に違和感を感じ視線を見やると、ズボンの上からでもわかるほど、ソレは痛いくらいに勃起していた。
年頃の男子なのでオナニーはしていたし、AVやエロい画像、本もそれなりに見ていた。
だが、その時の興奮は、これまでとはワケが違っていた。
女性の裸を見ているわけでも、ましてセックスをしているわけでもない。
側から見れば、衣類に顔を埋めているだけ。なのに、同級生の、悠の履いていたストッキング。
その事実だけで、これまでにない程興奮していた。
こんな所を見つかれば、確実に変態扱いだ。悠やクラスの人間はもちろん、友達にも相手にされなくなるだろう。
下手をすれば停学騒ぎだ。
だが、そんな考えすらも背徳感に変わり、そして昂りに変わっていく。
俺はたまらず、ズボンのチャックを下ろした。
そして、パンツに隙間を作ると、勃起したソレは勢いよく飛び出てきた。
触ってもいないのに、先端は既に我慢汁で濡れている。
そして、匂いを嗅ぐリズムに合わせるように、ソレをしごき始めてしまった。
スリッ…スリッ…スリッ
「うっ、あっ…」
痺れるような快感が全身を襲う。今までのオナニーでは経験したことのないような、極上の快感だった。
「スー、ハァ、スー、ハァ…」
シコシコシコ…
匂いを吸い込む呼吸と、ソレをこする手のスピードがどんどん早まる。
まるで、悠の匂いに体が支配されているかのような錯覚だった。頭の片隅に残った理性が、このまま続けるのはヤバいと警鐘を鳴らしてはいた。しかし、手は止まらない。
もはや自分の意思で止めることはできなかった。
「うぁっ…ハァッ、ハァッ…」
シコシコシコシコシコシコ…
『ねぇ、私の匂い、どう?』
「ッ!?」
一瞬、頭の中に言葉が響く。
もちろん、辺りには誰もいない。
悠の匂いが生み出したのか、あるいは、俺の願望だったのか―――――
いつの間にか、俺は妄想の中で悠に責められていた。
『教室でこんなことするなんて、恥ずかしいね。』
「ううっ、あっ…」
シコシコシコシコ…
『すっごいね、先っぽからヌルヌルが止まらないよ?』
「や、やめて…」
シコシコシコシコ…
『ストッキングの匂いだけでイッちゃうの?変態』
「ハアッ、ハアッ、ハアッ…」
頭の中に、妄想の悠からの言葉責めが響く。
言われたことも、聞いたこともあるはずのない言葉。なのに、鮮明に頭の中に響いてくる。
(ダメだ、ここで止めないと、イッてしまったら…!)
精液で汚してしまう、という思いもあったが、それ以上に、何かはわからないが戻れなくなってしまう恐怖を感じていた。
しかし、呼吸も手も止まらない、止められない。
微かに残った理性だけが、ギリギリでイクのを阻止し、妄想の中の悠に、弱々しく抗っている。
(こ、これ以上は本当にイッてしまう、もう止めなきゃ…!)
そう決め、手の動きを無理やり緩めようとしたその時、
――――スーッ
無意識に、悠の匂いを取り込んでしまった。
「あっ…」
また、甘美な匂いが鼻腔をくすぐる。
その瞬間――――
『イッちゃえ、変態』
何度目かわからない悠の匂いを吸った直後、その言葉が脳内にはっきりと響いた。
その瞬間、残っていた理性は吹き飛んでしまった。
「ッ!!」
シコシコシコシコシコシコシコ…!
フィニッシュへと向かわんばかりに、無意識に手の動きが早くなる。
そして――――
「あぁぁっ!!はるかぁぁっ!」
ドビュッ!ビュルルッ!!
頭の中の悠にとどめをさされ、情けなくイッてしまった。
誰もいない教室で、これまでに体験したことのないような快感を伴った射精。
見たことのない量と勢いで、俺は欲望を吐き出していた。
あまりの快感に、俺は膝から崩れ落ちてしまった。
「ハァッ、ハァッ…」
荒い息を整えつつ、ストッキングから顔を離す。
「ハァッ、ハアッ…」
淫靡な感覚でいっぱいだった頭の中が正常に戻り始めるのと同時に、視線を下に見やる。
床には、俺の放出した精液が飛び散ってしまっていた。
俺は自分のしたことの重大さに気付き、血の気が引き始めた。
ふと、時計を見やると。
(体育が終わるまで…あと20分しかない!)
そこからは、精液を拭き取り、洗剤でごまかし、と虚しさを感じつつも必死に隠蔽工作を行った。
幸い、汚していたのは床のみだったので、掃除にはそれほど時間はかからなかった。
体育が終わって皆が戻った後は、生きた心地がしなかった。
ストッキングも元に戻したし、精液の匂いも洗剤で消した。
それでも、あんなことをした事実は消えないため、どこか落ち着かない。
悠がバッグを開けるたびに、気づかれるのでは…と心臓がバクバクする。
悠に声を掛けられた際には、飛び上がって変な声が出そうになるのを抑えるのに必死だった。
友人からも「なんか顔色悪くないか?」と何度も心配されてしまった。
結果として、バレることはなかった。
そこで常習犯にならなかったのは、まだ俺が正常である証拠だったのかもしれない。
それからは、また変わらぬ日常だった。
悠も変わらず、気まぐれに俺をからかう。
俺の方は、しばらくは気が気でなかったが。
その後、高校に入ると同時に悠と進路は別れ、会うことはなくなった。
――――――これが、悠に関する誰にも言えない、俺の秘密。
だからこそ、弘樹のこの誘いはとても複雑なものであった。
あんなことをした相手と…と、モヤモヤとした感情が渦巻く。
「…なんか難しい顔してるけど大丈夫か?確かによくからかわれてはいたけどさ、そんな悪い印象があるわけじゃないだろ?」
「まぁ…それはそうだけど。」
「千晶も楽しみにしてるしさ、顔出すくらいはいいんじゃないか?」
言われて、それもそうか、とふと思いなおす。
結局罪悪感を感じているのは自分で、自業自得なわけだし、それに友人を巻き込むのはお門違いだ。
何より、罪悪感とは裏腹に、会ってみたいという気持ちもあった。
あの出来事は別として、悠は当時から可愛かった。
今、どんな風に成長しているのか…それを見てみたいという好奇心があった。
「…そうだな。行ってみるか。7年ぶりくらいだし、俺も会ってみたい。」
あの時バレていないのなら、俺が心の中に押し留めておけば、問題はないだろう。
都合の良い話ではあるが、そう自分に言い聞かせて、弘樹の誘いに乗ることにした。
「おっ、乗ってくれたか!よしよし、決まりだな!」
弘樹に笑顔が戻った。
「じゃあ今週の金曜日だ。場所とかはまた千晶から連絡が来ると思うんで、よろしく!」
「ああ、わかった。」
そう言って、週末の予定が決まった。
―――――金曜日
俺は弘樹と千晶と合流すべく、待ち合わせ場所に向かう。2人は既に集まっていた。
「あ、修一〜!こっちこっち!」
千晶が手を振りつつ、俺を呼ぶ。
「悪い、遅れたか?」
「いんや、時間ぴったり。いつも通りだな。」
「逆に五分前行動もしないよね〜」
「ほっとけ。」
3人で軽口を叩いたあと、俺は尋ねる。
「今日はどこで集まるんだ?どこかの居酒屋か?」
「あーっとね…そのつもりだったんだけど、週末だからかお店がどこもいっぱいでさ…」
「予約、取れなかったんだな。」
「ごめんね〜」
「で、その事悠に伝えたらさ。」
千晶が続ける。
「悠の家、結構広いんだって。」
「…は?」
つい、聞き返してしまった。
「だから、悠の家で、宅飲み!」
明るく言う千晶。
…おいおい、それは大丈夫なのか。
「いやー、俺も最初はびびったけどさ…」
そりゃそうだろう。一応顔見知りとは言え、久しぶりの、それも女子の家に行くのだから。
「ま、悠も良いって言ってるし、いいのかなって。」
弘樹も了承済だったようだ。
相変わらず、軽いヤツである。
「…話が固まってるなら、今更どうこう言う気もねえよ。」
というより、本当に今更どうこうもできない。
…まあ、千晶もいて男女比は同じだし、一応元同級生だ。特に問題はないだろう。
「それじゃ、話もついたところで出発!」
あっけらかんと言う千晶に苦笑しつつも、俺達は悠の住む家に向かうことになった。
途中で適当に酒やお菓子を買って、しばらく歩いて、とあるアパートに到着した。
オートロックの前で千晶がスマホを取り出し、確認しつつボタンを押す。
「えーっと、302…っと。」
悠の部屋番号のようだ。続けて、呼び出しボタンを押す千晶。
ピンポーン
しばらくして、返答があった。
『はーい。あ、千晶?入って入って!』
スピーカー越しに聞こえたその声は、確かに聞き覚えのある、悠の声だった。
エレベーターで3階に上がる。
エレベーターを降りると、廊下に女性が立っているのが見えた。
「あ、悠~!」
「あー、千晶~!いらっしゃい~!」
立っていた女性は悠だった。廊下に出て待っていてくれたらしい。
「あ、もしかしてこっちは弘樹君!?大分背伸びたね~!」
「久しぶり!まさか再会できるなんて思ってもみなかったぜ~。」
「あははっ、だよね!千晶に偶然会えたからこそだよね~。」
弘樹は流石というか、あっという間に打ち解けていく。
「…てことは、こっちが修一君?久しぶりだね!修一君はちょっと痩せた感じかな~?」
「あ、ああ。久しぶり。」
「顔つきも何となく変わってて…やっぱり7年も経つと変わるもんだね〜。」
「そ、そうだな。悠も最初、わからなかったよ。」
「…修一、何きょどってるんだよ。緊張してんのか?」
しどろもどろになっている俺に、弘樹がちょいちょいと肘で触れつつ言う。
「んなっ…そんなわけないだろ!ったく…」
図星だった。
無論、久しぶりに会ったということ、あの日の俺だけの秘密、それらも合わさっての変な緊張感はあったが、何より…
悠は、さらに可愛くなっていた。
いや、綺麗になった、と言うべきか。
相変わらずの長い綺麗な髪、当時から良かったスタイルは変わらず、成長と共により美しくなっている。
ニットセーターに膝上くらいのスカート、その格好がとても似合っていた。
そして何より…俺はやはりというか、悠の脚を自然と見てしまっていた。
しかも、当時を思い出すかのような黒のストッキング。その脚線美はあの頃から変わらず、いや、より美しくなったと言っても過言ではない。
凝視してしまいそうになる自分を振り払い、平常心を保つ。
「まあまあ、立ち話もなんだし上がってよ!」
こうして、俺たちは悠の家にお邪魔することとなった。
「…おおー、これが悠の部屋なんだ。綺麗にしてるね~。」
「だなー。聞いてた通り、結構広いな。」
「あんまりじろじろ見ないでよ~?」
悠の部屋は、綺麗に整頓されていた。
パソコン机にベッドと小さめの本棚。
カーペットの上には、おそらく今日の宅飲み用に出してくれたちゃぶ台とクッション4枚。
あとは、女の子らしく可愛いぬいぐるみが何体か置かれていた。
「あ、そこのクッション使っていいからね~。とりあえず適当に座っちゃって。」
言いつつ、悠もクッションを敷いてカーペットの上に座る。
俺たち3人も、クッションを借りて座ることにした。
そして、弘樹が口を開いた。
「しかし、どこで千晶と再会したんだ?」
「この間駅前のパン屋に行ったら、偶然千晶がバイトしてるとこに出くわしてさ。」
「そうそう!びっくりしたよ〜!接客した相手から「え、千晶!?」なんて言われるもんだからさ〜。」
「あははっ、ごめんごめん!こっちもびっくりしたんだよ。」
「あー、千晶のバイト先で再会してたのか。」
「あそこのパン屋、割と好きなんだよね~。」
「そうそう!私もあそこの味好きで、バイト始めちゃったんだ!」
なるほど、そういうことだったのか。
千晶からも時々バイト終わりにもらうが、確かにあそこのパンは美味い。
続いて、俺が悠に問いかけた。
「千晶との再会はわかったけど、なんでまた俺らも含めて会う話になったんだ?」
「それなんだけど、千晶と再会した日にね、バイト終わりの千晶と2人でお茶しに行ったんだ。そこで、お互いの大学の話とかしてたんだよね。」
悠は、県内の別大学に進学していたようだった。
「そしたら中学時代の同級生が2人いるって聞いてさ。」
「当時よりカッコ良くなってるよ!なんて言われたから、これは会わないと!って思って!!」
笑顔で言う悠。
瞬間、ドキリとしてしまった。
「あれ?修一なんか顔赤くない~?」
「なっ…千晶!!」
「あっ、もしかして修一君照れてる〜?ちょっとウブなのは昔から変わらないね〜。」
「ね、言った通りだったでしょ?」
「んなっ…!」
2人にからかわれたようだ。少し赤くなった顔が余計に熱くなる。
「そうそう、この反応!面白くて、当時もついからかっちゃった。」
「修一、割と人見知りだもんね〜。特に女子には!」
「あー、もう…」
いかん、恥ずかしさで顔の熱さが戻らない。
と、そこに弘樹が割って入る。
「まあまあ、そんな修一を弄らないでやってくれ…。これでも大分マシになったんだから。」
ホロリ、と擬音が聞こえてきそうな、泣きまねの芝居をする。
「そうなの~?なんか当時を思い出すくらい同じに見えたけどなぁ?」
「それはあれだ。悠が綺麗になったからさ!いや本当、こんな子が会いたいって言ってくれるだけで嬉しい限りだぜ~。」
「…むっ、それって普段会ってる私には魅力がないってことかなぁ?」
千晶がふくれたような顔をする。
冗談と、若干本気の嫉妬が混じっているようにも見える。
「あっ、今のは弘樹君酷いよ〜。」
便乗して、悠がいじわるっぽく言う。
「いやいや!そう言う意味じゃなくってだな…」
そして、女子二人から責められる弘樹。
…弘樹のフォローで、こちらへの攻撃は止んだようだ。
(恩に切るぞ…弘樹。)
「はっはっはっ…おっと、話もいいけどまずは乾杯しようぜ。」
ふと、弘樹が言い出す。
「…なーんかごまかされた気もするけど。でも、そうだね!話に夢中になっちゃった。」
「お酒とかお菓子買ってきてくれたんだね!ありがと〜」
「部屋上がらせてもらうお礼だよー!」
各々、好きな酒缶を手に取り、蓋を開ける。
「じゃあ乾杯の音頭は…千晶!!」
「えっ!いきなり!?」
「そりゃそうだろ~?」
「まあ、この企画の言い出しっぺは千晶だしな。」
「うっ…確かに…。」
言いつつ、立ちあがる千晶。
「ご、ゴホン。えと、それじゃあ、悠との久しぶりの再会を祝して!」
「「「「乾杯!!」」」」
こうして、悠の家で宅飲みが始まった。
しばらくして―――――――――――
「だーかーらー、修一は本当に女っ気がないんだよ~!」
「そーだそーだ、いい加減彼女くらい作れよー!」
顔の赤い千晶と、それに合わせるように弘樹が、俺を責め立てる。
「お前ら飲みすぎだろ…」
大分ハイペースだ。
弘樹は割と酒に強いから多分千晶に乗っかっているだけだが、千晶はかなり酔っているようだ。
「えー、修一君彼女いないんだー?いつから?」
「…いや、いたことないんだ。」
「そうなの!?意外だなぁ…」
「しゅーいちはウブだから、女の子に声かけられないんだよねぇ。」
「そのくせムッツリだけどなー。」
「…お前ら。」
外野二人から好き勝手言われる。
「あははっ、ムッツリなんだ!」
「そこは忘れてくれ…。」
弘樹の奴…さっきのフォローはノーカンだ。
「…悠は彼氏いるのか?そんだけ綺麗なら、いそうだよなぁ。」
弘樹が酒の勢いに任せてぶっこんだ。
「…んー?まあいたことはあったけど、今はいないかな~。」
そうなのか…。ちょっと予想外だった。
「まじか!修一、チャンスじゃないか!?」
弘樹が俺に向かって目をキラキラさせながら言う。
「…今日再会したばっかの相手に何を言ってるんだお前は。」
「しゅーいち~、そんなんじゃ一生彼女できないよ~?」
ぐでんぐでんになった千晶がさらに絡んでくる。
「…千晶、マジで飲みすぎじゃないか?大丈夫か?」
「らいじょーぶだよ、らいじょーぶ~」
…大丈夫そうではないが。
「あははっ、呂律回ってないよ~。」
皆で笑いあいながら、楽しい時間は過ぎていく。
(やっぱり、来てよかったな。)
――――――そんなことを思い始めていた時だった。
「…あーでも、私もお酒のせいかちょっと暑いなあ。よいしょっと。」
バサッバサッ
「っ!?」
悠がいきなり、スカートを少しだけ仰いだ。
一瞬、ストッキングに包まれた太腿が見えてしまう。
スカートで隠れて見えていなかった悠の太腿。
新しい光景に、俺は目を奪われてしまった。
(やっぱり…綺麗だ…)
俺は、その瞬間を凝視してしまっていた。
が、すぐに正気に戻り目線をそらす。
(やべ、見てるのばれたか…?)
ふと、周りの様子を確認する。
千晶は…ふにゃふにゃでどこに向いて話しているのかわからない。
弘樹は、それを見て笑っている。
悠も、スカートを整えてから特に何事もなくこちらを向き直した。
どうやら、誰にも見られていなかったようだ。
ついつい油断すると目線がいってしまうので気を付けなければ…。
「ん?修一君どうかした?」
「…いや、なんでもないよ。」
(悠の…太腿…)
先ほどの光景が焼き付いて離れない…。
が、平常心を装いつつ、振り払うかのように俺はまた酒を飲んだ。
―――――それからしばらくして
「くー…くかー…」
千晶は、撃沈していた。
「案の定だな…」
「あははっ、気持ちよさそうに寝てる~」
「まあ、それだけ楽しかったんだろ。」
弘樹が、微笑ましく千晶を見る。
やはり、そこまで酔ってはいなかったようだ。
「弘樹君、千晶と付き合ってるんだね。そういうとこ、彼氏っぽいね。」
「まあな!これでも大事にしてるんだぜ!」
実際、いいカップルだと俺も思う。
その上で俺とも遊んでくれるんだから、本当に良い友達だ。
「…さて、千晶を送るついでにそろそろお暇しようかな。」
「…そうか、じゃあ俺もそろそろ…」
「あっ、待って待って。私、修一君にちょっと聞きたいことあって。」
「…俺に?」
なんだろうか?
「お、そういうことなら俺は尚更お邪魔ものだな!」
二ヒヒと笑う弘樹。
「お前なあ…。」
「まあまあ、千晶を送るのは俺の役目だし、こっちは任せとけ!」
こっちってなんだ。こっちって。
「修一君、何か予定ある?」
「…いや、特にないよ。」
飲み会の後に予定を入れる程多忙な身でもない。
「なら、修一は居残りだな!しっかり尋問してやってくれ!」
「尋問って…お前なあ。」
「あははっ、そんなに大したことじゃないよ~。」
まあ、千晶のことは弘樹がいれば大丈夫だろう。
それに、悠が聞きたいことがあると言っているのに帰るのもなんだか心残りになりそうだ。
「…んじゃあ、もうちょい残るわ。」
「おう!…さてと。千晶?帰るぞ~。立てるか?」
「んん~…?」
寝ていた千晶が半目になりつつ、弘樹に寄り添う。
「こりゃ起きるまでおぶって帰るかな…」
千晶は割と小柄なので、その方法はありだろう。
「あははっ、弘樹君本当頼りになる彼氏だね~。」
言いつつ、千晶をおぶった弘樹を玄関まで送る。
「じゃあな、悠。久々に会えて楽しかったよ。また会おうぜ。」
「うん!私も楽しかった!またね!」
「千晶も、また遊ぼうね!」
「ん~…またね~…」
酔いつぶれた千晶の反応に三人で苦笑しつつ、二人を見送った。
―――そして、部屋に戻る。
「いやー、楽しかったね。」
二人きりになってしまった。
「そうだな。あいつらがいると、賑やかだよ。」
「だよね~。ほとんど喋り始めるの二人からだったし!」
「はははっ…。」
「…」
しかし、すぐに沈黙が訪れる。
(い、いかん。ムードメーカーの二人がいないと気まずい…)
おまけに、女子の部屋に二人だ。
さっきより緊張してしまっている。
「そ、そういや、俺に聞きたいことってなんなんだ?」
沈黙を破り、先に口を開いた。
「ん?ああ、それなんだけどね…」
「私、中学時代のことで一つだけずっと引っかかってることがあってさ。」
「…引っかかってること?」
「そう。あれは、なんだったんだろうって。」
どんな話なのだろうか。
「あれは…今くらいの季節だったかなぁ?」
ポツポツと、悠が話し始めた。
「だいぶ寒くなってきてさ、女子たちがストッキングを履き始めた頃だったんだよね。」
「…ああ。」
「当然私も、寒がりだからその季節は履いてたんだけど。」
「…」
「私ストッキングが破れちゃった日があったんだよね。」
「…」
…なぜだか、すごく嫌な予感がし始めた。
「まあストッキングが破れるなんてよくあることだけどさ。」
「まさか朝一番で破れちゃうなんて~!って思って。」
「…」
「で、一応替えは持ってきてたから、朝の内に新品に履き替えたんだよね。」
だって今、悠が話しているのは…
「それでその日は体育の授業があってさ。」
まぎれもない、あの日の…
「あの日、修一君体育休んでたじゃん?」
(――――ッ!)
「あ、ああ…そうだったかな?」
悠に尋ねられ、焦りの色を隠しきれなかった。
尚も悠は続ける。
「修一君が保健室行くって校舎に戻った後、私、教室に髪留めを忘れたから取りに行こうと思ってさ。」
そんな、まさか。
「先生に言って、教室に一旦戻らせてもらったんだよね。」
嘘だろ。
「そしたらさ、教室に誰かいるなって思って。」
やばい。
「あれ?修一君だ、と思って。」
やめてくれ。
「声かけようかなって思ってたら、私の席の近くにいてさ。」
それ以上は。
「で、何か手に持ってるなーって…」
ああ…。
「よく見たらあれ…私の破れたストッキングだった。」
「っ・・・・」
一気に冷汗が噴出し、血の気が引いていくのがわかった。
「修一君、あの日…なんで教室で私のストッキング持ってたのかなぁ、って。」
―――――終わった。
(見られていたなんて…)
それも、当人である悠に。
まさか、今日悠が俺を呼んだのはこのためだったのか?
脅される?
復讐?
色々な考えが頭の中を駆け巡る。
(やばい、やばい、やばい…)
―――――――――――――――
「…君。修一君?」
「…えっ!?あ、いや、えっと。」
「・・・ふふっ。」
なぜか、笑っている悠。
そして、続けて言う。
「もう、いきなりボーッとしちゃうからびっくりしたよ。」
「わ、悪い。」
「修一君が私のストッキング持っててびっくりしたんだけどさ。」
「でも、なんかその場面見た時はどうしていいかわからなくなって。」
「結局、何も聞かずにすぐ逃げちゃったんだ。」
…当然だろう。見ていて気持ちの良い光景ではない。
「それでさ、あの時、修一君は何をしていたんだろうってずっと思っててさ。」
「聞いてみたかったけど、なんだか聞きづらくて。からかいついでに聞いてみようかと思ったけど、それもダメな気がしてて。」
…そんなことをされたら、俺の中学生活は間違いなく終わりを告げていただろう。
「もしかしたら見間違いだったのかな?なんて思ったりもして。」
「ねぇ、修一君。」
「あれはなんだったのか、教えてくれる?」
「…」
(これは、かなりまずい…!)
逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
あの時、弘樹と一緒に帰ればよかった、そんな後悔すら浮かぶ。
「修一君?」
「…」
だが、今の話を聞いて1つの希望が浮かび上がっていた。
それは、悠がその後の出来事を見ておらず、逃げたということ。
ならば、ごまかせるんじゃないか?
それっぽく理由をつけて、この場を切り抜けれるのではないか?
(やるしか…ない。)
どちらにせよ、もはや俺には嘘をつき通す以外の選択肢は残っていなかった。
「…もうだいぶ前のことだから、ちょっと曖昧なんだけど…」
俺は、努めて平静を装い、話し始めた。
「あの時、保健室に行く前に水筒のお茶を飲んでから行こうと思ってたんだ。」
「うん。」
「そしたら、悠の机付近にストッキングが落ちてるのを見てさ。」
「うん。」
「…拾って、戻そうとしてたんだ。」
「多分、そこを見られたんじゃないかな。」
…我ながら、苦しい言い分だった。
だが、7年も前であること、俺の性癖に気づかれてない今なら、通用するのではないか。
そんな一縷の望みをかけて、嘘をついた。
「…」
実際には、一瞬。しかし何倍も長く感じられるような沈黙の後…
「…なーんだ!そんなことだったんだ!」
「随分タイミング悪い時に戻っちゃったんだねぇ、私ったら。」
意外にも悠は、納得してくれた。
「そ、そうなんだよ。全く、いきなり聞かれてびっくりしちまったよ。」
「あはは、そうだよねぇ。」
なんとか、乗り切れた。
2人して笑いあいながら、俺は心の中で安堵のため息を密かにつく。
(なんとか・・・なったかな。)
――――――しかし、それは間違いだった。
「あははは…。」
「…ねぇ、修一君?」
「ん?」
「嘘、ついてるよね?」
その安堵は、脆くもすぐに崩れ去った。
途端に、冷静さを失いかけてしまう。
「え、な、何を言って…」
「だってさ、そんなにタイミングよくその場面に出くわすかなあ?」
「しかも、私が逃げるまで結構時間あったし、その間ずーっと凝視してたよ?」
「戻すだけなら、すぐ戻せば良かったんじゃないかなぁ?」
「うっ…それは…。」
矛盾点を指摘され、狼狽えてしまった。
また、冷や汗が流れる。それも、先程とは比べ物にならないくらいに。
「修一君?」
呼ばれても、悠の顔を見れない。
悠は今、どんな表情で喋っている?
怒り?呆れ?軽蔑?
(でも、このままでは…)
意を決して、おそるおそる悠の顔を見た。
「―――っ」
そこには、怒りや軽蔑の顔はなかった。
悠は、笑っていた。
しかしその笑みは、先ほどまでの笑みではない。
別人のような、妖艶な笑みを浮かべていた。
その笑みには、全てを見透かされているような、そんな錯覚すら感じさせる魔力があった。
微笑みつつ、悠は続けて話す。
「…当時のクラスの男子って、思春期だから、エッチなこと好きじゃない?」
「でもその中で話題に出るのって、ブラジャーとかパンツ見てー、とか。セックスしてみてー。とか」
「ありがちな内容だよね。」
「ああ、男子ってやっぱりそういう話題が好きなんだなあ、って。」
「…」
その年頃の男子なら、皆そうだろう。
俺も悠の脚の魅力に気づくまでは、同じだった。
「だから、余計に不思議だったんだよね。」
「みんなが下着とかセックスとかに興味示すのに、ストッキング?って。」
「しかも、破れて脱いだやつなのに、って。」
「結局、在学中はよくわからなかったけど、私、好奇心結構強い方だからさ。」
「色々調べたりして、色々な人がいることを知って…」
悠にが次々と言葉を放つたびに、独特の緊張が走る。
まるで、ナイフを喉元にじわりじわりと突き付けられているかのようだった。
そして…
「…修一君って」
「脚フェチ…ってやつかな?それともストッキングフェチ?両方かな?」
悠の口から出た言葉に、心臓を鷲掴みされたような感覚を覚える。
「いや、それは…」
否定しようと思ったところに、悠がさらに被せる。
「修一君、当時私の脚かなり見てたよね?」
「ストッキング履いてた日は、よりいっそう視線がすごくてさ。」
…当時から、気付かれていたのか。
恥ずかしさで消えたくなる。
「今日だって、再会した時から足見てたし。」
「少しスカートバサってした時、修一君ガン見してたよね?」
「女の子は、視線に結構敏感なんだよ。」
ふふっ、と悠はいたずらっぽく言う。
「…」
「図星、みたいだね。」
もはや、何も言い返すことはできなかった。
当時の俺の行動から何から全てバレていて、かつ分析までされている。
弁解をできる余地は、どこにもなかった。
「…そっか、やっぱりかぁ。」
「…本当に、悪かった。」
「気持ち悪いよな、こんな奴。」
今までの罪の意識を全て洗い流すかのように、自然と謝罪の言葉が漏れた。
こんな状況なのに、謝れたことで少しだけ心が軽くなっている自分がまた憎らしかった。
「…まあ、決して良いことではないよね。修一君のやったことは。」
グサリと言われ、また心が痛くなる。
「でも、思春期だしね。それに過ぎたことだし、今更言ってもね。」
「…許してくれるのか?」
「許すっていうか、私自身の疑問を晴らしたかった、くらいかな。」
悠は、俺の行動よりも自分の考えが正解かどうかに興味があったようだ。
「…そうか。」
許された、という訳でもないが別にこれでどうこうされるという訳でもない。
その事実に、安堵している自分がいた。
ただ、もう悠に会うことはないだろうな、と考えていた。
俺がそういう人間だと分かった以上、会いたくはならないだろう。
悠との関係は、今日、本当の意味で終わったのだ、と。
―――しかし、その予想はまた外れることになる。
「…実は、聞きたいことはもう一個あってさ。」
「…?」
これ以上、何があるのだろうか。
少なくとも、俺にはもう心当たりが本当にない。
だが、悠からは衝撃的な言葉が出る。
「修一君は、脚でエッチなことがしたいのかな?」
「―――っ」
「脚フェチの人って、そういうことされたいんだよね?修一君も、そういうのしたいのかなって。」
悠は、何を聞いてきているんだ?
俺に、何を言わせようとしている?
「そ、それは…」
答えられず、口ごもってしまう。
「…わからない?それとも、答えられない?」
「…なら、直接試すほうが早そうだね。」
「…えっ?」
すると悠はクッションから立ち上がり、PCデスク用の椅子に腰かけた。
悠が、俺を見下ろすような構図になった。
そして、悠はゆっくりと左脚を俺に近づけてきた。
「ほら…こういう感じ?」
「え、ちょ、悠…!?」
眼前に、黒に包まれた脚が迫る。
「ほーら、どう?」
もう少しで鼻先に触れそうな位置で、足先をくるくると器用に回す。
「あ…あぁ…」
「んー?めっちゃ見てるねぇ…」
次は上下に、おいでおいでとするように足を動かす。
「は、はるか…」
俺の理性は、中学のあの日と同じように、崩れ始めていた。
「…ふふっ。」
「やっぱり、私の思った通りだ。」
「じゃあ…こうしたら、どうかな?」
そう言った悠は、ストッキングに包まれた足裏を俺の顔に向ける。
そしてゆっくりと、俺の顔に近づけてきた。
「ほーら、あとちょっとで踏まれちゃうよぉ?」
悠に言われても、逃げられない。
それどころか、俺は膝立ちになり、まるで磁石のように自ら近づいてしまっていた。
ギュッ
悠の足と俺の顔の距離は、0になった。
瞬間、あの時と同じような、いや、それ以上の甘い痺れが全身を巡る。
恥ずかしさと、この屈辱的で、異様な状況に戸惑いつつも、悠の足から顔を離せない。
呼吸をする度、悠の匂いが理性を少しづつ崩していく。
「スー、ハー、スー、ハー…」
「すごいね。どんどん息が荒くなってくよ。」
気づかないうちに、夢中になって匂いを嗅いでいたらしい。
解説をされたようで恥ずかしさを感じるが、それでも呼吸はより荒さを増していく。
「スー、ハー、スー、ハー…」
「そんなに良い匂いなのかな?私の足。」
聞かれても、答えられない。
一心不乱に、匂いを嗅ぐ。
「スー、ハー、スー、ハー…」
「ふふっ、どう?夢みたいでしょ?」
あの時と違って、本物の、悠の足…
「スー、ハー、スー、ハー…」
「心ここにあらず、って感じだね。」
悠に何を言われても、匂いを嗅ぐことをやめられない。
「…ソレも、おっきくなってるね。」
悠がもう片方の脚で、ソレを指す。
悠の足の匂いを嗅いでいるだけで、俺のソレははちきれん程に勃起していた。
ズボンの上から、はっきりとわかるほどに。
「足の匂いだけでこんなになっちゃうんだ。」
「ふふっ、なんか可笑しい。」
何を言われても、笑われても、収まる気配はない。
それどころか、より硬さを増していく感覚すらある。
「足だけでここまでおっきくなる人って、初めて見るなあ。」
物珍しそうに、でも嘲笑するかのように悠は言う。
「ううっ…ハアッ、ハアッ…」
なおも悠の匂いを嗅ぐたび、ソレはズボンを突き破りそうなほどビクビクとしている。
「あの時も、こんな感じだったのかな?」
悠に聞かれるが、答えられない。
ただ間違いないのは、あの時以上に興奮している、ということだけだ。
「…ねぇ。」
「ソレ、触ってほしい?」
ピクッと、体が震えてしまった。
もちろん、悠は見逃さない。
「ふふっ、そうだよね。」
「大好きな足の匂い嗅いでるだけでこうなるんだから。」
「触られたら…どうなっちゃうんだろうね?」
悠が言い終わる前に、俺は想像してしまっていた。
悠の、ストッキングに包まれた足。
これで触られたら、挟まれたら、踏まれたら。
「どうする?」
いたずらっぽく言う悠に対し、俺は―――
コクコクコクッ!
恥も外聞もなく、首を縦に振ってしまっていた。
「あははっ、そんなにかぁ。」
少し嘲笑しながら悠は続ける。
「じゃあね…」
「あの日、何をしてたのか、ちゃんと教えて。」
「修一君の口で、自分で言うの。」
「っ…。」
…何という条件を突き付けられてしまったのだろうか。
悠は、あの後俺が何をしていたのかなんて聞かなくてもわかっているだろう。
それをあえて、俺の口から言わせようとしている。
しかし、悠はお構いなしに続ける。
「正直に教えてくれたら、触ってあげようかなぁ?」
まるで、悪魔のような囁きだった。
同時に、悠の右足は俺のソレの前で、焦らすかのように足首から先をクネクネと動かしている。
「…言えない?言いたくない?」
「…」
「言わないなら、これで終わりにしようかな。」
そう言って悠は、顔に押し付けた左足をスーッと離そうとした。
―――ギュッ
が、俺は本能的に離れそうになる足を両手で掴んでしまっていた。
「…何?」
「あ、いや、これは…」
「んー?」
「っ…」
「言わないなら、離して?」
変わらず、笑顔で悠は言う。
俺は、もう逆らうことはできないと悟った。
そして、口を開いてしまった。
「…あの日は」
「うん。」
「…あの日は、悠の履いてたストッキングを…」
「うん。」
「ストッキングの、匂いを、嗅いでいました…。」
なぜか敬語になってしまう俺。まるで懺悔をしているようだ。
「やっぱり、そうだよね。」
「どんな感じがした?」
「…甘酸っぱいような、でも不思議な匂いで」
「うん。」
「すごく、エロい気分になって」
「うん。」
「夢中で…何も考えられなくなって、ずっと嗅いでました。」
「ふーん。そんなにかぁ。」
…側から見たら、何と異様な光景だろうか。
悠の足裏に顔を埋めながら、自分の過去の痴態を懺悔する。
しかし、この時間を終わらせたくない、その一心だけで、俺は懺悔を続けている。
「すぐにやめようと思ったけど、全然離れられなくて…」
「今もそうだもんね。」
「こんな恥ずかしい状況なのに、顔も手も離さないし。」
「アソコはこんなにおっきくなって、ズボンにまでシミ作っちゃって。」
「恥ずかしい?でも、止まらないね?」
「ううっ…スー、ハー、スー、ハー…」
指摘され、責められている間も呼吸は荒いままだ。
「ふふっ、本当に好きなんだ。」
「…はい…。」
「…で?その先は?」
「そ、その先は…」
あえて言わないようにしていたが、悠はやはり聞いてきた。
悠は、この先の結末の予想などとうについているだろう。
「それで終わり?」
「…えっと…」
微かに残ったプライドが、一線を越えないよう踏み止まらせる。
しかし
さわっ・・・・
「!?」ビクッ!
ふいに、股間の周りに感触があった。
悠が、鼠蹊部の付近に右足を乗せていた。
途端、興奮がさらに強くなる。
「は、悠…」
「半分正直に言ったから、ご褒美。」
さわさわ…
「あっ、ああっ…」
ソレを中心に、悠の足が円を描く。
しかし、中心部に悠の足が触れることはない。
ツーッ…さわっ、さわっ
「はるか、悠ぁ…」
「んー?」
触ってほしい、と言わんばかりに腰をくねらせる。
だが、悠はその動きをいなすように足を器用に動かし、同じようにソレを中心に円を描き続ける。
「ふふっ、必死だね。」
俺の目論見など、気づかれているのだろう。
笑みを浮かべつつ、悠は言った。
「くっ、うっ、ハアッ、ハアッ…」
それでも俺の体は動き続ける。
悠の足の匂いを嗅ぎながら、悠の足に自分のソレを当てようともがく。
なんと、屈辱的な光景だろう。
「もう…悪い子だなぁ。」
スッ…
「あっ」
円を描いていた悠の右足が、俺の体から離れる。
瞬間、情けない声を出してしまった。
「言わないなら、ここまでかな〜」
そんな。
「匂い嗅いだだけなんだもんね?なら、ここで終わっても同じだよね?」
違う。チガウ。
「それとも…」
悠のストッキングに包まれたつま先が、再びソレに接近する。
そして、焦らさんばかりにソレの前でクルクルと回る。
「あ…あぁ…」
ただ回っているだけの足が異様なまでの淫靡さを放ち、俺の目は釘付けになる。
視覚も、嗅覚も、悠に全てを支配されている。
「このおっきくなってる、コレ…」
「…オナニー、したんでしょ?」
―――――ツッ
同時に、爪先が一瞬だけ、でも確かに、俺のソレをなぞった。
「うぁぁぁっ!!」
全身に電流が走ったかのようだった。
今までにない、直接的な局部への接触。
今のひと撫でで限界を迎えてしまいそうになり、声を出してしまった。
「わっ、ビックリした。」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
「は、悠。も、もう一回…」
もう一度、と懇願してしまう俺。
しかし、
「んー?ダーメ。」
「さっきのはちょっとした事故だよ。」
「そ、そんな。」
あっさり拒否され、狼狽してしまう。
そして悠は続ける。
「もう一回欲しいなら…」
またしても、足が股間に伸びる。
そして、触れるか触れないかの距離で、先ほどと同じようにクルクルと回る。
「あ…あっ…ああっ」
先ほどの一撫でで思考がぐちゃぐちゃにされ、なおも焦らす悠の足に視線は再度釘付けになる。
柔らかく微笑みながら悠は言う。
「ちゃんと、言えるよね?」
―――――――プツン
俺の中の何かが、切れる音がした。
「…悠の、ストッキングの匂いを、嗅ぎながら」
「うん?」
「お、オナニーをしていました。」
「…どんなこと、考えてたの?」
「そ、その…」
「悠に…責められる妄想を…」
「ふーん、私に責められる妄想か…。」
「は、はい…。」
導かれるように、悠に全てを曝け出す。
「例えばぁ…」
『ねぇ、私の匂い、どう?』
「ッ!?」
『教室でこんなことするなんて、恥ずかしいね。』
「あっ、ああっ…」
『ストッキングの匂いだけでイッちゃうの?変態』
「あぁぁ…」
「…みたいな?」
まさに、自分の妄想の中の悠が言った言葉と同じだった。
当時を思い出し、またしても興奮が高まる。
「…ふふっ、どうやら正解みたいだね。」
「修一君、こういう言葉攻め好きなんだね。」
「ハアッ…ああ…」
妄想ではなく、現実で攻められた俺は、屈辱以上の多幸感を味わっていた。
「その後は?」
「…その後は、妄想の悠に責められながら…」
「責められながら?」
「…い、イッてしまいました。」
ついに俺は、あの日の出来事を懺悔し終えてしまった。
それも、余すところなく全て。
「…ふふっ。」
「修一君て本当」
「変態なんだね。」
改めて言われ、羞恥心がこみ上げる。
「うう…」
…ギュッ
顔に押し付けられた左足に、若干力が加わるのがわかる。
「あっ…ああ…」
ギュッ、ギュッ、ギュッ
「変態。変態。変態。」
力を加えつつ、俺の顔をグイグイと足で押し付けてくる。
「あぁっ、あっ、あっ…」
「…なんで喜んでるの?変態。」
「ご、ごめんなさい…。」
強くされてもなお、興奮は止まない。
「まったくもう…。」
スッと、悠の足の押し付ける力が弱まった。
「まあ、正直に言えたし」
「ご褒美、あげようかな。」
ご褒美、その言葉に俺の興奮が一層高まる。
「じゃあ、まずはズボン脱いで。あ、パンツはそのままね。」
「は、はい。」
カチャカチャとベルトを外し、ズボンを下ろす。
なぜズボンだけ?と思ったが、今は悠の言いなりになるしかなかった。
そして、下半身がパンツ一丁になった俺の姿を見た悠は言う。
「ズボンの上からでもわかるくらいだったから、そうかなって思ってたけど」
「パンツ、ビショビショだね。」
言われて、目線を下に向ける。
膨れあがったテントの先からは、吸収しきれなくなった我慢汁が浮かぶ。
尚も広がり続ける染みは、まるでお漏らしをしてしまったようにも見える。
「私、匂い嗅がせてただけだよね?なのに、それだけでこんなになっちゃうんだ。」
「あ、あんまり見ないで…」
恥ずかしさで、慌てて手で隠そうとするが、
「ダメ。ちゃんと見せて?」
「うぅ…はい…」
すぐに拒否される。
俺はビショビショに濡れたパンツを、悠の前に晒し続けるしかなかった。
「さて、それじゃあ…」
スッと、悠の足が顔から離れた。
「えっ、あぁっ…」
また、情けない声をあげてしまった。
「そんな声出さないの。ほら、こっち来て…」
そう言って、悠は少しスカートをまくり上げた。
スカートを仰いだ際に一瞬だけ見えた太腿が、露わになる。
「ああ…。」
先ほどとは違う光景に目を奪われる。
「ここ、舐めて。」
そういって、ストッキングに包まれた右の太腿を指差す悠。
「な、舐めるの?」
「そう。こういうのは、嫌?好きじゃない?」
ふふっ、と微笑みながら尋ねてくる。
悠の脚を舐める…本来ならとても屈辱的な行為のはずなのに、気持ちは昂っていた。
「嫌じゃ…ない。」
「じゃあ、ほら…」
ゆっくり、悠の太腿に顔を近づけ、恐る恐る舌を出す。
(悠の太腿…)
そして、ストッキング越しの太腿に舌を這わした。
ピチャッ…
「わ、くすぐったい。」
ピチャッ…ピチャッ…ピチャッ
「んっ…レロ…」
「でも、なんか気持ちいいかも。」
「んんっ…レロッ…レロッ…」
「ふふっ、なんか修一君、犬みたい。」
羞恥心と興奮とで、訳が分からなくなりながらも、悠の太腿を舐め続ける。
「そうそう…いい子だね。」
「じゃあ…そんな君にご褒美だね。」
悠がそう言った次の瞬間だった
さわっ…
「んんっ!?」
「こーら、舐めるの止めちゃダメ。」
悠が、俺の玉袋を指先で撫でていた。
「ここ、触っててあげる。」
さわっ、さわっ、さわっ…
「んっ、ハァ、ハァ、あっ…」
悠の指先が、リズミカルにパンツ越しの玉を撫でる。
「気持ちいい?」
「んっ、レロッ、気持ち、良い…ハァ、ハァ。うぁっ…!」
決して強くはない上に、本体とは異なる部分への刺激。
なのに、俺はそれだけで果ててしまいそうになっていた。
「…まさかとは思うけど、イッちゃダメだよ?」
…見透かされていた。そして、きっちりと制限される。
「膝まで舐め終わるまで、触っててあげるね。」
さわっ、さわっ、さわっ、さわっ
「んぁっ、んっ、レロッ、あっ、あぁっ…」
「すごいね、まだ濡れるんだ。もうパンツから滴り落ちそう。」
パンツの先からは、吸収しきれなくなった我慢汁の滴がさらに浮かび、今にもこぼれ落ちそうになっていた。
さわっ、さわっ、さわっ、さわっ
「くぅっ…!レロッ、ふあっ…」
「ふふっ、なんか修一君、可愛い…」
ピチャッ…ピチャッ…ピチャッ
そうして、どうにか膝まで舐め終わった。
しかし、
「じゃあ、次は左側ね。」
「ハアッ、ハアッ、えっ…」
「当然でしょ?ほら、また触っててあげるから…」
さわっ、さわっ
再び、俺の玉を優しく撫でる悠。
「んんんっ!?ああっ、そんなっ…」
「ほーら、頑張って?」
微笑みながら、しかし責めながら、悠は言った。
さわっ、さわっ
「うぁっ!くうっ…レロッ、ああっ…」
…こうして、俺はもう片方の太腿も舐めさせられることとなった。
―――――何度も限界を迎えそうになりながらも、どうにか両太腿を舐め終えた。
同時に、悠の手がパンツから離れる。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
玉だけを執拗に責められ、興奮は最高潮に達していた。
「ふふ、頑張ったね。」
「…じゃあ、服と、パンツも脱いで。」
「は、はい。」
もはや抵抗など無かった。
俺は完全に悠の言いなりになっていた。
「脱いだら、そこに寝て?」
カーペットの上に寝るよう指示する悠。
俺は言われた通りに全裸になり、仰向けで寝そべった。
パンツから解放されたソレは、先端を我慢汁で光らせながら、固く勃起している。
「全然萎えないね…我慢汁もいっぱい。」
言いつつ、俺の横に椅子をつけ悠が座った。
そのまま、脚をゆっくりと開く。
ストッキング越しのパンツが一瞬見えたのも束の間、そのまま、左足を俺の顔に乗せた。
「んんっ…!」
太腿を舐めるまでずっと匂いを嗅いでいた足裏。
たかだか10分程前のことなのに、長い間お預けを食らっていたかのようだった。
「スーッ、ハーッ、スーッ、ハーッ」
条件反射のように荒い息で呼吸をする俺。
「そんなに恋しかったの?コレ。」
荒い呼吸が返事代わりとなり、悠はまた嘲笑する。
「じゃあ、いよいよコッチだね…」
そう言って右足を、俺の腹部あたりに持ってくる。
ツーッ
「っ!」ビクッ
「わ、すっごい反応。敏感だね。」
そのまま足は下半身へ向かい、勃起したソレに近づいていく。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ」
足の匂いを感じながら、期待するように、より息が荒くなる。
そして
さわっ
「ッー!!」ビクッ!
先程まで手の指先で愛撫されていた玉袋に、悠のつま先が触れた。
「さっきとは違う感触でしょ?」
「あっ、うあっ!」
さわっ、さわっ、さわっ…
直接、そしてストッキング越しの足指といった、先ほどとは異なる刺激だった。
「ああっ!あっ!」
「そのまま、上に上がって…」
ツーッ…
「ひあっ!」
今度は、裏筋をなぞられていた。
「ここ、かな?」
ギュッ…
「ああああぁっ!」
さらに、亀頭を足指で掴まれる。
尿道を塞ぐように、上から足指で蓋をされるように。
「ふふっ、やっぱりここは敏感なんだね~。」
クニッ…クニッ…
「んんっ!あっ!あぁっ!」
悠の足指が、俺の亀頭を優しく撫で始めた。
「すっごいビクビクしてる…そんなに気持ちいいんだ。」
クチュッ…クチュッ…
「くっ、ううっ!」
「修一君の我慢汁でストッキングがベチャベチャだよ。」
「もう指にまで染みてきてる…。」
言いながら、亀頭への愛撫は止まらない。
スリッ…クチュッ…スリッ…クチュッ…
「あぁぁっ!は、悠。もう…!」
限界を感じ、射精を懇願してしまう。
「…まだダメ。」
ピタッ、と悠の足の動きが止まり、右足が俺のモノから離れる。
「あっ、そんなっ…。」
そのまま右足は、俺の顔の前に近づいてきた。
「見てよコレ。修一君のせいでこんなに汚れちゃった。」
そう言って、濡れたストッキングの足先を見せつけてくる。
ストッキングの黒色と我慢汁が合わさり、テラテラと光沢を放っているようだ。
(俺の我慢汁で、悠の足が、ストッキングが汚れている…)
とても扇情的な光景に感じ、見つめてしまう。
「…なーんで恍惚としてるのかな?」
苦笑するように言った後、悠は左足も俺の顔から離す。
そして、椅子ごと俺の足元に移動した。
「足、開いて。」
「…こ、こう?」
「そうそう…ふふっ、恥ずかしい恰好だね。」
俺は、悠に向って大股開きになっていた。
一瞬恥ずかしくて閉じそうになったが、すぐに悠が足の間に入ってきたため、閉じることは許されなかった。
「お次は…こういうのはどうかな?」
そう言って、悠は俺のモノを左足の甲と右の足裏で挟み込んだ。
途端に包み込まれた暖かさと快感が押し寄せた。
「あぁ…」
2つの黒いストッキング足にサンドイッチされた光景が、一段といやらしいものに見えた。
そして…
スリッ…スリッ…
ゆっくりと、右足が動き始める。
溢れ出た我慢汁とストッキングのサラサラとした感触が混ざり、独特の刺激を与えられる。
スリッ…スリッ…スリッ…
「くっ、あ、あぁっ!」
あまりの快感に身をよじらせ、声をあげてしまっていた。
「ふふっ、もうイキたくてしょうがないって感じだね。」
スリスリスリスリ…
段々と速度を増す悠の足。
もう限界は近かった。
「あぁぁっ!!悠、はるかぁ!」
「もう、イキたい?」
コクコクコクッ!!
無我夢中で首を振る。
ひたすら悠の匂いで興奮させられ、焦らされ…。
頭の中はもう、悠の足で射精することしか考えられなくなっていた。
「イカせて、悠、イカせてぇっ!」
懇願する俺をよそに、悠は足の動きを少し弱めて言う。
「…これでイッちゃったら、もう完全な変態だね?」
スリスリスリスリ…
「んぁっ、あっ。」
「いいの?認めちゃうの?」
スリスリスリスリ…
「あっ、そ、それは…あっ」
「今やめたら、変態にならなくて済むかもよ?」
スリスリ…ツーッ
「くっ、ぅあっ!」
「それでも…続ける?」
クニクニクニクニ…
「あひっ、あっ、ひあっ!」
ピタッ
「あっ…ああっ…。」
足の動きを止め、悠は、笑顔で俺に問いかける。
「…どうする?」
「・・・ます。」
「ん?」
「願い…します。」
「何?よく聞こえないなぁ。」
スーッと、足が離れそうになる。
「ッ!」
「…お願いします!悠の足で、イカせてください!」
言ってしまった。最後の一線を、越えてしまった。
「…」
瞬間、時が止まる。
そして――――
「…いいよ。」
「イクとこ、見ててあげる。」
悠は、今日一番の妖艶な笑みを見せながら言った。
そして、足が再び動き始めた。
スリスリスリスリスリスリスリスリスリ…
「あっ、ダメ、はるっ、はるかぁっ!!」
「修一君の、すっごい硬い…。もう破裂しそうだね?」
スリスリスリスリスリスリスリスリスリ…
「あぁぁぁっ!そんな激しく、ダメ、だめぇっ!」
「そんなに声荒げちゃって…。女の子みたい。」
スリスリスリスリスリスリスリスリスリ…
「も、もうダメ、本当に、イッちゃ…ああっ!」
恥じらいも何もかも捨て、襲い来る快楽に、本能のままに声を荒げる。
そんな俺を責めながら、悠は続ける。
「ストッキングに興奮して」
「私の匂い嗅いでギンギンに勃起して」
「私の脚でイジメられてよがっちゃって…」
「本当…変態、だね。」
「あああっ!言わない…でぇっ!」
今日のことをおさらいするかのように、深く、自分が変態なのだと刻み付けられていく。
スリッスリッスリッスリッ…
「ああっ!はるか、はるか、はるかぁっ!」
「…ふふっ。」
俺を責める悠の顔が、少し上気しているように見えた…その瞬間。
「…ほら、イッちゃえ!」
「ッ!はるか、イク、はるかぁぁっ!」
ドビュッ!ビュルッ!!ビュルルッ!!
許可をもらい、全ての欲望を吐出する。
ビュルルッ!ビュルッ…
「うぁっ、あぁぁ…」
大量の精液が舞い、悠の脚を汚していく。
黒いストッキングを白く染める。
「わぁっ…!すごい、いっぱい出てるね。」
「んんっ、あっ、あぁ…」
射精が収まるまで、周囲を、悠の脚を汚し続ける。
「ぜーんぶ、出しちゃおうね?」
スリッ、スリッ…
「あぁぁぁっ!そんな、だめぇ!」
絞りだすかのように、悠が足を動かす。
尚も快感が押し寄せる。
「…ふふっ…修一君、可愛い…」
悠が、何か言ったように聞こえたが、わからなかった…。
――――――――――――――――――――
一通り欲望を吐き出した俺は、放心していた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
息を整える俺をよそに、
「修一君、見てよこれ。」
ズイッと、精液で汚れた脚を悠は見せつけてきた。
悠の足の甲や足裏はもちろん、膝下にまで飛んでいる。
ドロドロとした白い液体は、悠の足にしがみつくように付着していた。
「こんなに汚れちゃったよ?修一君の精液で…」
見せつけた足に、絡みつく精液。
その光景に俺はまた、釘付けになって見つめていた。
「…」
それを見た悠は、呆れたように言う。
「…だから、なんで恍惚としてるのかな?もう…」
そんな言葉をよそに、俺はいつまでも悠の脚を眺めていた…。
――――それからしばらくして、
「じゃあねー悠、修一!また遊ぼー!」
「またなー!」
「うん、またねー!」
悠は、俺と弘樹と千晶に加わって、時々遊ぶようになった。
あんなことがあったが、弘樹と千晶にはバレていない。
「いやー、今日も楽しかったね。弘樹君、ボウリング上手いんだね~。」
「あいつは、あの手の遊び全般が上手いからな。」
今日は、ボウリングをして遊んでいた。
他にも、カラオケに行ったり、居酒屋で飲んだりと…。
よくある、大学生の過ごし方の一場面。
しかし…
「…ねえ、修一君。」
「この後、ウチ、来るよね?」
「…あ、ああ。」
ただ一つの、秘密を除いて…。
――――――――――――――――――――
「…ふふっ、相変わらず好きだね、コレ。」
「んっ、あっ」
「舐めるの、どんどん上手くなってるね。」
「んんっ、レロッ、ふぅっ」
悠の部屋に着いた俺は、悠の足を舐めていた。
「こっちは…相変わらずだらしないけど。」
ギュッ!
「んんんんっ!」
「もう、すぐ勃っちゃうんだから。」
もう片方の足の指先で、俺のモノを踏みつける。
悠とのこの遊びも、続いていた。
悠が黒いストッキングを履いている日は、その合図だ。一度解散した後、悠の家に行く。
「ハァッ、ハァッ…は、悠。」
「んー?」
悠に責められながらも、俺は一つの問いかけを行う。
それは、純粋な疑問だった。
「ハァッ、ハァッ、何で、その」
「こんなこと、ハァッ、続けてくれてるんだ?」
あの日、俺と悠の関係性は確かに変わった。
だが、俺が一方的に、自分の歪んだ欲望を悠に発散させてもらっているだけである。
逆に、悠にメリットはあるのだろうか?
それが引っかかっており、理性の残っている内に聞いてみることにした。
「…」
少しの沈黙の後、悠は答え始めた。
「…修一君はもちろんだけどさ」
「ハァッ、ハァッ…?」
「私も、結構な変態だなって」
悠は、変わらず俺のモノを愛撫しながら話し始める。
クニッ…クニッ…クニッ…
「くっ、あっ…!」
「確かに、普通に男の人と付き合ってたこともあるし」
「セックスして、気持ち良いって感覚もあった。」
スリッ、スリッ、スリッ…
「あぁぁっ、ああっ!」
「でも、気持ちが1番昂揚するのは、今みたいなシチュエーションなんだよね。」
少しだけ足を止め、悠は続ける。
「満足感…っていうのかな?」
「ハアッ、ハアッ…そ、それはどういう…?」
悠が言っていることが、いまいち理解できない。
悠の脚に責め抜かれ、まともな思考ができなくなっているのも要因だが。
「あの日、私と修一君の関係が変わった日の出来事…」
「あの時の修一君の表情、声…。」
「人生で1番、興奮したの。」
「は、悠…?ハアッ、ハアッ…」
「んー…わからないかな?」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…?」
「つまりさ」
ギュッ
「んっ!」ビクッ
悠が、しっかりと両足で俺のモノを挟み込む。
「んー…」タラー
悠の涎が、俺のモノに垂らされる。
「あ、あぁぁ…」
シコシコシコシコシコ…
悠の足が、リズミカルに上下する。
「うぁっ!あぁぁぁっ!!」
「こうやって、お互いが興奮して、楽しめてるってことは…」
シコシコシコシコシコ…
「あぁぁぁっ!くうっ!!」
「…君と、相性が良いってことだよ。」(ボソッ
「あぁぁっ!は、悠?今なんて…?」
シコシコシコシコシコ…
「うぁぁぁっ!」
「わからないなら、今はいいよ。」
シコシコシコシコシコ…
「くっ、うぁっ」
「時間は、いっぱいあるんだし。」
シコシコシコシコシコ…
言葉を紡ぎながらも、両足の動きは止まらない。
「んぁぁっ!も、もう…!」
スリッ、スリッ、スリッ…
「はるか、はるか、あぁぁぁっ…」
スリッ、スリッ、スリッ…
「…わかるまで、何度でもイジメてあげる。」
ギュッ!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!はるかぁっ!」
ドビュッ!ビュルルッ!
今日も、悠の脚を白く汚す。
快楽の渦の中、頭の中はぐちゃぐちゃで何も考えられない。
悠の言葉の意味がわかるのは、もう少し先の話―――