あの日のこと~「不発」の理由

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女を金で買うことが苦手だった。

しかし女を落とすために使う金には糸目をつけない。

この似て非なるもの。

ヤル前に払うか、ヤル為につぎ込むか、といえばさらに混濁してくる。

戦後以降、飲む場所、買う場所と、男たちが足繁く通う場所はそれぞれ棲み分けていた。

例えば浅草で飲んで吉原へ行く。横浜の野毛で飲んでザキに行く。

それより以前は、買う場所で飲み騒いでいた。

吉原の大門のなかで全て事足りていた。遊郭で、床の敷いてある隣部屋で飲む。

時代の移り変わりと共に男達の遊び場は、その位置や形態を変化させていく。

今は、女の方から何処へでも出向いてくれるから、そのエリアも意味をなしていない。

どの街で飲んでもデリバリーで女の子が到着する。

花街へ足を運ぶ「情緒」など誰も知らない。

これまで、風俗遊びをしたことは皆無だった。

一度だけ接待の延長でソープへ行ったが、その時も純粋に風呂として身体を洗ってもらい、性的な行為を拒んだ。

それをきっかけにその夜には女のマンションにいたが、金を払ってセックスはしていない。

相手の女に魅力がなかったわけではない。ただその時に性欲が芽生えなかったこと、それに元々、金で女を買うことへの抵抗が、意地を張らせたのであろう。

夜の店でも、なかには枕をして様々な対価を得るために身体を許す女もいる。

あれは確か新宿だったが、店の中で封筒入りの札束を出して、これでやらせろ、と言っていた男がいた。周囲に知られて上手く運ぶことはまずない。浅はかな男だ。

これまで風俗を必要とせずに来れたが、今回はどうにも道を踏み外してしまった。

ひとつのプロジェクトが大きく貫徹して、社に莫大な利益をもたらした。

そのメンバー各自にも結構な額のインセンティブが支払われ、それを祝う集まりが銀座の中華料理屋で催され、二次会も銀座の店となった。

オレも銀座で飲む時は使う店であるが、六本木に足を向けていたため無沙汰である。その六本木へもほとんど出ていない。

「あら珍しいメンバーでお見えですね、何かお仕事がご成就されたとのことで、おめでとうございます」

葵という女、32になっているはずだ。銀座へ通っていた頃は、この女のマンションに何度も泊まっていた。

「そうなんです。今回はチーフのおかげで、上手くいったんです」

高木がオレを見ながら成果をひけらかす。

このテーブルにはオレと高木、葵とヘルプの女の子が座ってる。隣には他のメンバーがいた。

「なあ高木、仕事の話はやめよう。久しぶりの銀座なんだから、素敵な女性陣に楽しませてもらおう」

「わかりました、ではみんなで乾杯しましょう」

ペリエジュエが注がれているグラスを掲げる。この酒は瓶代、容器代が高いだろうといつも思う。

銀座へ足が遠のいたのは、この葵のせいである。端正な顔立ちだが、仲が深まると露骨な欲深さが見えてしまった。

モノをねだるとかではなく、もっと根の深い生き方への強欲さである。

自分の思うビジネスへの野望、そんなモノが、強く見えてしてしまい、鼻に付くようになった。

もちろん銀座の女たちは、おしなべて、人一倍の欲を持っているが、それをみんな裡に秘めている。

マリも自分の夢へ向かい、半分以上は実現させている。ふたりの違いは純粋さの種類であろうか。

葵は、手段を選ばない、そんな雰囲気がある。

剛腕のやり手だが、オレには合わない。そういえばわかりやすいだろう。

ヘルプの女の子は、高木と仲良く話を弾ませている。22~3くらいだろう。

聡明な顔立ちをして、理系のエンジニアといった雰囲気だが、華も色も備わっている。伸びるだろう。

「お仕事、お忙しいんですね、なかなかお見えにならないし……」早速、葵がつついてきた。

「機会があれば、寄ってるつもりだ。港区からは、なかなか東海道線の線路が越えられなくて銀座には来れないんだ」

「ははは、いつも線路渡っていらしてたのね…」

「ヘルプの子……変わり種だな、理ケジョって感じで」

「あら、さすが……女を見させたら右に出るモノなしね……」

都内、日本でもトップクラスの理工学部の院生だった。

「こんなとこで働いているヒマあるのか」

「こんなところで、ワタシも働いておりますが……」

「いや、理工の院生なんて研究とレポートの毎日のイメージ強いから」

「……そのへんは本人に聞いてみたら……おもしろい子よ、とにかく銀座で働いてみたかったんですって」

遊び人の高木と仲良く話しているから、世慣れてもいるのだろう。

「ねぇ、ちょっとお話があるから、今夜、時間とれないかしら……」

「ここで話せばいい、聞くよ」

「いいえ、ここでは……よければ高木さんもご一緒に」

「なんだ?新しいネズミ講でもはじめたのか」

「ははは……ホント、かなわないな、でもいいでしょ?」

「仕方ない。久しぶりに来たんだ」

葵といつも待ち合わせたバーで待っていた。

高木に話すと興味津々で同席するという。

結局、オレたちのテーブルでシャンパン5本空いたが、社に請求書が回るらしい。

「なんなんでしょね、葵さんの話しって……」

「期待するなよ……ナニ話してくるかわからない」

高木はオレの言葉に耳を傾けてはいないようだ。

人を待たせるのが嫌いだった葵が時間どおりやって来た。

シャンパンゴールドのクロコダイルのバーキンが煌めいている。

マトモな国産車1台を抱えて歩いていると同じだ。

複雑なペイズリー柄のシルクのワンピースが葵を引き立てている。

酔いが回ってるから、久しぶりの葵を女として見てしまう。

「すいません……お待たせしました、高木さんもお時間いただきありがとうございます」

葵はグラスワインをオーダーして、次のような話しをした。

ビジネスパートナーと共に立ち上げた新しい商売。

それはフランスなど海外のエスコートサービスだ。

金持ち相手に選りすぐりの美女を手配する。ようするに禁忌なしの超高級デリヘル。

その会員制のメンバーになって、一度だけでいいから女の子を呼んでほしい、そして誰か信頼できる男を紹介してくれれば助かるという。

「おまえ、完全に組織売春だぞ、それ」

「ええ……そのへんは一応、いろいろクッションを敷いて、カンタンにはわからないようにしてるの、ここだけの話、生安の人のお知恵ももらってて」

さすが葵だ。抜け目など微塵もない。あらゆるコネを使い現職警察官も巻き込んでいる。

「こういうのは、女の子より、客の男から水漏れする。その対処は?」

「少しでもトラブルが見えたら、そのヒトはダミーのデリヘルのメンバーになるの。そのために稼働してるデリヘルも2つ用意してる。それで本体の実体が常に動いて見えないようにするのよ」

なるほど、国内にも政財界御用達の秘密の会員制風俗はある。

政治家の秘書をしていた頃、六本木のマンションのワンフロア全部がそうだという禁忌なしの店へ連れて行かれた。

「殺人と怪我を負わせなければ、あとは自由」と言われたが酒飲んで帰ってきた。

それと同じで銀座ならではの人脈を活かせば、この闇ビジネスは間違いなく成功して途方ない利益を生むだろう。違法を除けばオールウィンのビジネス、女の子のケアだけが残る。

高木は、呆気にとられて話を聞いている。

「わかった、紹介はできぬかもしれないが、ご祝儀だ、一回は付き合う」

「ありがとうございます」

「あ、もちろん、そういうことならワタシもお付き合いします」高木が言う。

「高木さん、心良くありがとうございます。あ、さっき店でついたミユちゃん、彼女も呼べますから、よろしかったら……」

「え!そうなんですか……わかりました」嬉しそうにしている。

「細かいことは、のちのちにということで、わたしの話はこれだけです、高木さんお時間いただきありがとうございました」

葵は高木を帰したがっていた。言うまでもなく高木は、話し聞いたら帰っていいですか、とオレに言っていた。そしてその通り店を出ていった。

「オレも帰してくれるか?おまえの願いも聞いたし」

「……もう少し付き合って」葵がグラスワインの色を変えてオーダーした。

「ね、どう思う?このこと……」

「おまえのことだ、聞く限りは成功するだろう。なんでこんなことはじめようと思った?」

「それはね、さっきのミユみたいな若い子のため」

「ん?……」

「ああいう銀座に夢みて、高いハードル超えて、やっと店に入った子が、少しずついろんなこと憶えると、欲を出してくるの……腰掛けじゃなく、本気で銀座好きになって……」

「あたしもそうだった。で、枕の誘惑がある。お客から誘われてじゃなく、自分から身体張って客を掴もうとするの、でも客の品定めもできてないのに、それは上手くいかない。それでバンス背負わせられたり、潰れていく子もいた」

「だから、あたしこのビジネス考えたの、若い子を経済的に楽にして、しかも上客を掴めるチャンスを多く与えられるってね」

「……なるほど、そこまで考えて……。しかも銀座ならではのオンリービジネスだな」

「ええ、これがウマクいけば……やっとあたしも店を持つことができる…」

もう、なにも言うことはない。

「ねぇ……あなた、今誰かいるの?」

「ああ、いる」

「そ、……いないワケないか……」演技かも知れぬが、この表情には弱い。

「久しぶりなんだから……ウチ来て……泊まって、なんて言わないから…」

複雑なペイズリー柄のワンピース、この店で葵を見た時から女を感じていた。そのワンピースを脱いだ姿、更にその下着を取った姿も見たくなっていた。

高輪の葵のマンションを出たら、夜中の3時を回っていた。

ことを終えて葵と風呂を使い、身体を洗おうとしたら、

「ダメ、ボディソープは使わないで、シャワーだけ浴びて帰るのよ、彼女オウチにいるんでしょ」

葵が抜け目なくて救われる。

葵が、ホームページのアドレスとパスワードを送ってきた。有効期限きたら全部消えるからね、ヒマな時一回のぞいてみて、と添えてある。

マリはまだ帰っていないからiPadを開く。

立ち上げたばかりというのに、完璧に整備されている。さすがの葵の仕事ぶりだ。

女の子も20人くらいUPされている。明らかにプロのカメラマンの手によるプロモーション写真、20~30歳までの妙齢の別嬪ばかりだ。銀座の子ばかりではなさそうだ。

好みの顔とスタイルに目がとまる。品の良さの下にエロさが隠れている感じ、そそられる。

この女を抱けるなら、金で買うのも悪くない、頑なはずの固持がカンタンに揺らいでいた。

風俗業には全く似つかわしくない女。オレは自分に言い訳を繕おうとしていた。

この後の手順は聞いていない。葵に電話する。

「なあに…?どしたの」日曜の夕方、すぐ葵が出る。

「ホームページ見た」

「そ、ありがとう…」

「で、どうすればいい?」

「女の子決まったの?……ご指名は……あたしでしょ?ははは」

「おまえは載ってなかったが…」

「真に受けないで……昔からたまに、ボケるよね……で誰?」

女の名を伝えると、その子選ぶと思った、と言われた。

それにあたしがこうやって電話オーダー受けるのは特別だからね、

本来はあのページで全部完結するんだから、と怒られる。

「ああいうの見るの慣れてない」

「うん…わかってる……あの子にあなたのこと、よく伝えておくから、カスタマーインフォとして」

日程を伝えて、金はどうすればいいと聞くと、詳細についてはホームページをご覧ください、と言われた。

「あのさ、終わってから、感想聞かせて……ね」葵の言葉で電話を終えた。

翌週の平日の旗日に都心部のど真ん中のホテルをリザーブした。

ビジネス街にある方が知り合いに会う確率も低い。なにかと都合がいいだろう。

葵とその選んだ女の関係を思えば、葵に恥をかかせぬようホテルは奮発しておいた方がいい、と言い訳を自分に課して、金で買った女をもてなす気でいた。

その日は朝からあいにくの雨だった。タクシーで行こうと思っていたが、かなり大降りである。仕方なく地下からレバァンテを出した。

マリは日が変わるころまで帰ってこないスケジュールの日だ。オレの方が早く帰れるだろう。

なんだろう……金で買う女に会いに行くというのに、浮き足立っている。

江戸のいにしえ、吉原へ向かう男もきっとこんな心持ちだったろう。

雨はやむことを知らずにいるが、ホテルへ着き、宿泊の旨を伝える。

泊まりはしないが、部屋を予約していますというのもおかしい。スタッフが車を預かってくれた。

チェックインして、あとから連れが来ること伝える。セキュリティのしっかりしたところではそうした方がいい。

ベルボーイに伴われ、部屋に向かうがホテルというよりミュージアムといった趣だ。とにかく天井が高く開放感に満ちていた。

奮発した部屋は、オレの部屋より広く、都心にいる気がしない。箱根あたりの和風モダンな高級宿にいるようだ。落ち着くが数時間後にはチェックアウトしなければならない。

またコスパの悪いことをしていた。

車で来ているから酒も飲めない。仕方なくコーヒーとデザートでもオーダーしておく。女の子も喜ぶだろう。

時間通りに彼女が現れた。ホームページの画像に偽りは全くない。玲子と名乗った。170近いだろうか、ヒールのせいでそれよりも高く見える。なにをしているのか正体を探れぬ美しさだ。金で自分を売っている女には到底見えない。カジュアルな水色のスーツが似合っていた。

「すごいお部屋ですね~」

「ああ、オレもついさっき着いて自分がどこにいるのか、わからなくなった」

「ホント静かで、どこかの旅館にいるみたい……」

「雨まだ降ってた?」

「ええ、まだ降ってますね、フライトがあって昼過ぎに東京に着いたんですが、福岡は気持ちいい青空でした」

「ん?CAさんなの」

「はい、ホントはお教えしてはいけないんですが、オーナーからいろいろお話しをお伺いしておりますし、わたし……嘘はつけなくて……」

「そうか……なるほどね」

玄関の呼び出しコールが鳴り、注文したものが届けられた。大きなダイニングテーブル、ふたりでは使いきれない。

「うわぁ。可愛い!ちょうどお腹すいてたんです。いただきます」

「お腹すいてるなら食事を頼もうか?」

「いいえ、今食べたら、今度夜に響きますから。今朝5時ころ朝ご飯を食べて、あとは何かちょっとつまんでた、というくらいだったので」

「わたしたちって、仕事の時は時間で食事なんてほとんど取れないんですよ」

「そうだろうな、サービス業は」

話す前はクールな印象だったが、こうして口を開くと、フランクで人懐っこい。

「わたしも、この前まで銀座にいたんです……」

「葵のとこ?」

「ええ、でもいろいろあって……夜はやめました。で、やめる時に葵さんから話しをされて、こうしてお手伝いしてます」

「なるほどね、抵抗はなかった?」

「……全くなかった、と言えば嘘になりますね」

「あの店では会ったことないね」

「お席についたことはありませんが、お見掛けはしております。私もスケジュールの合った時しか店には出ておりませんでしたが……」

玲子は金沢の生まれだという。美人の多い街、3度ほど行ったが、食べ物も美味しい。

「どうする?お風呂行く?」

「葵さん…オーナーから風呂に入らずに行って、と言われておりますので、シャワーも浴びてきてませんが、入った方がいいですか?」

思わず、笑ってしまった。玲子は怪訝な顔をした。

「あ、そうか、それなら風呂は後にしよう」

葵が最大限のカスタマーインフォを伝達してくれていた。

オレは葵の部屋に行っても、入浴前の仕事終わりのままの彼女を愛していた。

女の身体の匂い、一日を生きた証、せっかくの尻の匂いも風呂に入れば消えてしまう。

葵もはじめはイヤがったが、そのうち自分の匂いでオレが興奮していることを喜ぶようになった。それは葵だけではない。マリもそうだが、関係を重ねた女には強いてきた。

葵はオレが喜ぶよう、それを玲子に指示していた。ま、これもホスピタリティ、サービスの一環だろう。

「じゃ……」

玲子が立ち上がり、部屋を少し見ていいですか、という。どうぞ。

風呂に入るな、という葵の指示を玲子はどう受け取っただろう……思わず笑いが込み上げる。

「こちらへいらしてください」ベッドルームから呼びかけられた。

部屋に入ると、玲子はスーツと同じ水色の下着姿になっていた。

大きくウェーブした髪が豊満な胸を支えているレースのブラジャーに掛かっている。

黒のストッキングは水色のガーターベルトで留められている。

身長があるため、見事な肢体が伸びて、黒のハイヒールへと繋がっている。

なんと見事な光景だ!言葉を失い見惚れてしまう。

「……あんまり、見ないでください……恥ずかしい」

「玲子ちゃん……キレーだ」

「……ありがとうございます……すごい眺めですね、雨でも、またそれが素敵……」

玲子が窓際に歩み寄る。ソングのレースのTバック、大き目の尻に食い込ませて歩調に合わせて尻が揺れる。たまらない。オレは今からこの尻を味わえる、そう思うだけで、勃起が待ちきれないと、顔を上げてきた。

玲子の背後に身体を寄せた。

「たしかに…雨の景色もいいもんだね…」

遠いビル群は、そのシルエットをぼんやりとさせていて、雨が全て白く煙らせていた。

背中を抱き後ろから玲子の胸に手を回す。振り返る玲子の唇を合わせた。

ついさっき会ったばかりのいい女、それがもう手中にある違和感の幸せ。女を買うことは悪くないな。

玲子を後ろから抱いたまま、少しずつ前に足を進め、窓際まで追いやる。

「窓に手をついて、そのままにしてて……」

オレは後退りして、その絶景を眺めた。この景色はなかなかハイクラスなものだ。目に焼き付けておかねば。

玲子の手はガラスに貼り付いている。指示があるまで動かないのだろう。

オレは玲子の背後に戻り、膝をついた。ちょうど頭の位置に玲子の尻がある。

まずソングの上からそこに顔を埋めた。あんっ、可愛い声を上げる玲子。

レースの感触が心地よい、鼻を谷間に入れても特別な匂いはしない。

ソングをそっと下ろす。可愛い尻の割れ目、ムチッとして深い。お尻の大きな女、大好きだ。ニキビもなにもない、すべやかな双丘、脚を上げて、と言い片足を抜けさせソングは持ち主から離れた。縦にも横にも厚い尻、太ももから先はスレンダーで、その分、尻の豊かさが際立つ。

ああ、思わず息を漏らして尻を舐め回す。キメの細かい肌がしっとり吸い付いてくる。満を持して尻たぶを開き、その奥を覗いた。

薄茶色の肛門周りに大きな皺の放射円、規則的で乱れはない。まさに美しい肛門。

そのまま、鼻を寄せて、大きく深呼吸した。美しい女の尻の谷間での深呼吸、これ以上のアロマはない。ほんのり汗の香り、もっと肛門に鼻を寄せて鼻先を当てたが、汗の匂いがするだけだ。舐めてみよう。美人の美人肛門はどんな味。舌を当てると、ああっと玲子の声が洩れる。

襞の一枚一枚を丁寧に舐めて、放射円の中心に舌先を尖らせ入れた。

ヒイッ、玲子の腰がまた動く。肛門の中を舌でひと通り確かめて満足した。

会ったばかりの見ず知らずの美女の尻を舐める喜びを知ってしまった。

立ち上がり、前に回る。玲子は眉をへの字にしていた。

「……恥ずかしかったです……洗ってませんし……」

それにはなにも応えず、ブラジャーを外し、まだガラスに付けたままの腕の付け根から舐めていく。脇の下の匂いをクンクンと大きな音を立てて嗅ぐ。ほんのり汗の香りがこもっている。

おもむろに舌を這わせれば、あっああ、と頭を振る玲子。

大きな乳房は、弾力よく張って乳首はツンと上を向いている。小さな乳輪も可愛い。

玲子は健気に手を拘束されているようにガラスから外さないでいる。

その両方の乳首を優しく摘んで擦り合わせる。あーん、ダメっと切ない声が漏れる。

手を下ろしていいよ、やっと解放された手をオレの股間に伸ばしてきた。

唇を合わせる。左手は前の茂み、右手は後ろの窄みを探る。

フンっとキスしたままで玲子は息を漏らした。

両手が捉えたそれぞれの場所をゆっくりとさすってやる。

前はじんわりと湿ってきて、後ろは指先を感じると、キュッキュッと拡縮をしていた。

玲子は控えめに、探るように舌を入れてくる。なすがままにそれを受け入れていた。

唇を離し、ベッドへ伴う。キングサイズの大き過ぎるベッド。

玲子がヒールを脱いで揃えてる。自分のヴィトンから小さなミニバックを取り、ベッドへ上がってきた。

オレは枕を下にベッドボードに頭を預け大の字になって全裸の玲子を見ていた。

「前にするなら、付けてください。後ろも……ホントはつけなきゃいけないんですけど、そのままで大丈夫です……」

「……うん、わかった……なにもつけない方を楽しませてもらうよ」

「……はい……わかりました」

「お尻するの多い?」

「……まだ4~5回ですけど、皆さんお尻を楽しまれます」

「へぇーそうなんだ……」ここの店の客層はみんな同好の士ということか……。

「お尻、感じる?」

「……はい、段々よくなってます。……さっきも……そこされて……」

「玲子ちゃんみたいな子のお尻みたら、みんな素通りできないんだな」

「………フライトの時も、よく触られたりします……」

「へえー、どうするのそういう時?」

「なんとか、その場でたしなめて……あまりに酷いと上司に報告しますが、そこまで酷いことはありません」

「触りたくなるお尻してんだな」

「わたし……お尻…大きいから……」

「それが素敵なんだから、全く気にしないで……すごく魅力的だから」

「……はい」

玲子がオレの身体に舌を這わせる。

全て身を委ねていた。

足の指の間はくすぐったかったが、徐々に上へと舌が上がってきた。ヘソの中まで舐めている。この前マリから洗われたばかり、良かった。

股間は後回しにされて乳首を攻めてきた。片方を舌で転がし、もう一方には唾を垂らして指先で捏ねてくる。これはいい……勃起がまた顔を上げる。

「……お好きですか?……ここ?」

「ああ……」

右と左、両乳首が交互に舐められて指で転がされている。

玲子の手が勃起へ触れた。シームレスを盛り上げている。やがてそれも下され、外気に勃起が晒された。やさしくしごかれる。

玲子は身体の向きを変えて、勃起に顔を向けて、両足をオレの身体に跨いで、尻を顔の近くに押し付けてきた。勃起をしゃぶりながら、お尻をどうぞ、と言わんばかりに開いている。

大きなセクシーな艶やかな尻が揺れる。プッシーはツヤツヤと光ってる。しばらくこのまま眺めていよう。

玲子の舌は玉袋にも這い、さらにその下にも伸びていく。その下を探るように尻を持たれたので、腰をずらしてやる。肛門に舌が触れてきた。

金のためとはいえ、会ったばかりの男の尻を舐めてくる女……スッーと醒めていくものがあった。玲子は肛門の中にまで舌を差し込んでいる。

なぜだろう……オレの中から燃えてくるものがない。玲子の揺れる尻にも興味が失せた。

所有欲……違う。ゆきずりの女でも燃えていた。名前さえ聞かず抱いていたこともある。

潔癖症……他の男たちとの時間差の女の共有、心の中の複雑な網を抜けて、他の男が見え隠れすることがそうさせているようにも思えた。

なぜかわからぬが、ハートがノーと言っている。

もうこれ以上はムリだが、玲子を傷つけぬようにしてやろう。

いい女なら誰でもいい、と思っていたが、そうではなかったようだ。

もう風俗に足を運ぶこと決してはない。

玲子が顔を上げる。元気の失せた勃起をみとめ、そこに口をつけようとする。

「玲子ちゃん、もう大丈夫だよ……オレ、最近疲れててダメみたいだから」

「えっ!さっきまであんなに元気だったのに……」

「……うん……忙しくてあんまり寝てなかったからだろうね……」

玲子はオレのモノに手を添えて、なんとか起こそうとしている。

いったん起きぬと決めた勃起は、誠に頑固一徹、オレの言うことなんて聞きはしない。

「お風呂行こう……一緒に……」

場を飲み込めていない玲子の手を取ってあげた。

雨のせいで、夕刻が早まり暗くなりかけていた。

それでも端正なバスルームからは灯の点き始めた東京が一望できる。

「うわー素敵なお風呂……」

「お湯入れますね」

シャワーキャップをつけている玲子、美しい女……。

湯が貯まるまでシャワーを使う。玲子の白い肌に艶やかにお湯が流れていく。

こんないい女にオレは向かうことができなかった。

状況的心因性ED、とでもいうのか……。かなり特殊な症例になるかもな。

金を払った女には立ちませんでした。

それじゃ無料なら勃ってたか?

つまらぬこと、されど重要なことをいろいろ考えていたら、答えがぼんやり浮かぶ。

例えば飛行機で玲子と出会っていたら、そして何らかの縁でベッドイン出来たら。

間違いなく、はち切れるほどの勃起が完成している。

モヤモヤとしたオレの中の澱が流れてクリアになった。

オレの勃つ基準、それは相手の女に「愛」があるか否か、である。

ゆきずりの名も知らぬ相手でも、セックスをする時、女は少なくても受けつけぬ相手を選ばない。

そこには、少しでも相手を好むプラスの感情が芽生えている。

かつて、店でなにもしなかったソープ嬢と、その夜抱き合ったのも、そこにビジネスが介在してないからである。ソープの店では女は相手を選べないが、その夜、女はオレを選んでくれた。だから、オレも応じることができた。

さっきまで、わからぬまま抱えていたモノが、消えた。目からウロコが落ちた。

自分の傲慢さとセンシティブな部分が、垣間見えた。

浴槽のヘリに尻を落とし、足の甲ほどのお湯に浸していたが、もうふくらはぎまで湯が上がっている。身体を沈める。

「うふふふ……なんだか子供みたいですね…お湯貯まるの待ちきれなくて」

身体の厚みにピッタリのお湯、そこに気をつけの姿勢で浸かっていた。

玲子がひと通り身体を流すと、もうお湯は満ちていた。

「いいんですか…ホントにしなくて……高いお金なのに……でも高いと思うヒトはウチには来ませんね」

「そうだろうな」

半日、12時間以内なら50万円、24時間は100万円、それ以外はASKとあった。

昨日、ネットバンクで送金しておいた。預金名義はどうせダミーだろう。

オレは12時間を選んだが、最初からせいぜいその半分しか拘束するつもりはなかった。

このホテルの部屋に25万くらい、それも3時間もまだ滞在していない。

最低のコスパを仕上げてしまった。

ナニをしない分、湯船で玲子といろいろな話しをしていた。

故郷の金沢で外国人や観光客向けの雑貨屋を開きたい夢、そのため金を貯めているという。

「CAのお給料……時給に換算したらアルバイトみたいなんです…」

「いつか、金沢のお店できるといいな……」

「はい……きっと……」

「……オレも腹減ってきたな…玲子ちゃんもでしょ?」

「ええ…….そうですね」

蒲田に住んでいるという玲子は、平日、仕事終わりで夕食を作れない時、近所の蕎麦屋に行くという。古びた小さな店だが、なぜか故郷金沢を思い出す味に癒されているという。

「へぇ~どんな店なんだろ….蕎麦屋のカツ丼って美味いんだよな」

「あ!そうそう…カツ丼のセットもあって、わたしもペロリって食べちゃいます」

「これからなんか食べに行こう」

「はい…」

車で来ていたことを告げて、結局、蒲田まで玲子を送ることになった。

カツ丼が食いたい。風呂を出てフロントにチェックアウトを伝える。

「誠に恐れいりますが、何か不都合でもございましたでしようか?」と担当者が心配してる。

いいえ、とても快適でした、こちらで急用ができたので、と応えた。

急用、カツ丼を食べに行かねばならない。

「なんか、このお部屋もったいないです……」

名残り惜しむように玲子があちこち見て歩いてる。

服を着て、リセットされ素敵なレディになっていた。

その姿に微かな疼きが起きたが、面倒なので引っ込ませる。ふんわり玲子から香水が香ってる。

エレベーターを降りてキーを返しエントランスを抜けると、オレのレバァンテがちょうど回されてくるところだった。

そこへヴォンヴォンと爆音が轟き朱色のマクラーレンが滑り込んできて、レバァンテの後ろに止まった。中からカップルが降りているが、サングラスの女がオレの方を見ていた。

ミズキだ!このタイミングでなんでオマエここに来るんだ!

レバァンテの鍵を渡されている時にミズキがオレの脇を通り過ぎて行く。

「ンンッ」と不自然に聞こえぬ程度の咳払いをしていた。ミズキの連れの男はオレよりかなり年上、50は過ぎてるように見えた。

離れて行くミズキをチラッと見ると、腰に回した左手の中指を立てていた。

「お知り合いですか?」玲子に聞かれる。

「……いや、どこかで見たことある女だなぁって、サングラスしてるからわからんけど」

「彼女もずっと見てましたよ……」

車に乗り蒲田にナビをセットした。雨でも渋滞は思ったほどでもない。

「これ、なんていう車ですか……いいクルマ……」

説明してやるが、ミズキのことでいっぱいだった。バックの中のiPadがメッセージの到着音を鳴らしてる。きっとミズキだ。

車の流れが止まったので、ドライブアシストを作動させiPadを取り出し開いた。

「なんと!昼下がりの情事か?密会発覚!?」

とミズキからメッセージが届いていた。

小一時間かからず蒲田に着く。

「あ、このヘんの駐車場にとめていただけますか」

空いているスペースに泊めた。雨が止んでいる。

玲子と歩いてすぐの古びた蕎麦屋に入った。彼女に全く似つかわしくない店。

「ここにひとりで来てるの?」

「はい、引越して来た時、ここが最初に目について、お腹空いて入ってみたら、懐かしい味で、通ってます」

カツ丼を頼む。玲子はタンメンを頼んだ。

「…実は、さっきの子、オレの彼女の知り合いなんだ」

「やっぱり……そんなとこかなって思ってました」

「どんなご関係ですか…さっきの方と…彼女さん混じえて食事とかしたことあります?」

「……ある」まさか3Pもしたし、本人ともセックスしたとは言えない。

「じゃ…彼女さんと仲のいいヒトなんですね…女の子はゼッタイ信頼おく相手にしか彼を見せませんから」

その通りだろう、ミズキはマリを好きで、マリも受け入れていた。

カツ丼が届いた。そばも付いている。うまそうだ。玲子のタンメンもなかなかシブい昭和の風格がある。

「全部うまそうだなぁ、いただこう」

はい、いただきます。目の前の玲子が身体を売っているとは見えない。ほんのカケラほどの陰もない。仕事を終えたCAである。

カツ丼は懐かしい味だった。ビールが飲みたいが、瓶のオレンジジュースを2本頼んだ。カツ丼にこの人工的なオレンジジュースが合う、時が遡っていく。

食事を終えて店を出た。

「どうでした?汚いお店だけど……」玲子が笑っている。

「うん、タイムスリップする味だった。どこかでいつか食べた味…」

「そう、そうなんですよ、あそこの店……そこが私のマンションです」

レンガタイル張りのマンションだった。

「一応、お誘いします…お茶でも飲んでいきます?」

「……いや、またにする……今度の機会に……ありがとう」

「こちらこそ…なんか申し訳ないです…いろいろ……」

「いや、楽しかった…それじゃ」

玲子の誘いのまま、彼女の部屋へ行ったら、間違いなくオレは欲情したであろう。

車を止めた駐車場も見えている。駐車場へ折れる時振り返ると玲子がまだいた。

深く頭を下げている。

「本日はあいにくご搭乗いただけませんでしたが、ありがとうございました」

オレはそう呟いてみた。

翌日、仕事を終えて、すぐミズキに電話する。

「はい…お電話お待ちしておりました週刊ミズキ編集部です」ミズキが出る。

「オマエ、今日同伴入ってる?」

「ううん…入ってない、今からウチ出ようとしてた」

「じゃメシ食おう、ナニ食いたい?任せるから、場所決めてメッセージしておいて、オレ六本木に向かうから」

「うん……了解」

オフィスを出ようとしていたら、高木が寄って来た。

「昨日、会って来ましたよ、例の…….」

「オマエも…昨日?」

「えっチーフも?ははは……行動サイクルと思考がリンクしてましたね…」

「……ま、そうなるな」

「昨日の朝9時くらいに会って、一緒に朝メシ食べて、ディズニー行って夕方に舞浜のホテルで……、それで今朝少し早起きして来ました」

「……マジか……24時間コース?」

「はい……恋人気分をたっぷり味わえました。そのうちリピします」

高木は、100%楽しんだのだろう。

「チーフはどうでした?」

「……オレは…2~3時間で別れた」

「えっ!ハズレの地雷きたとか?」

「……いや……とてもイイ女だったけど、途中で急用入ってな……」

「………そうなんですか、残念でしたね」

「ま、適度に楽しむことだな」

「でも銀座の女の子、1日一緒いて、エッチして1本なら高くないですよ、店通ってオトスとなったら、幾らかかるかわかりませんからね」

たしかにいう通りだった。考えようによっては、合理的でリーズナブルだ。

それも銀座ブランドだからこそ成せる。葵はうまいこと考えた。

高木との話を切り上げて通りに出てタクシーをつかまえた。

ミズキからメッセージが届いている。しゃぶしゃぶ、すき焼き、カニを食わせる店、同伴の定番店。ひと頃は週2でここで晩めし食べていた。

「個室お取り置きしております」最後に記してあった。

週末の夜、車が多い。マリは今日も遅い、夜どうする?なんか作っておく?と聞かれ、外で、食べるとこたえてある。

車が全く動かない。ここでいい、とタクシーを降りる。歩いた方が早い。

目的の店に着いた。昭和からの老舗、間違いないモノを食わせてくれる。

レセプションでオレの名とミズキの苗字のふたつを告げると、オレの名で予約をしていた。

お連れさま、先にお見えです、と3階に案内された。

部屋に入ると、ミズキがワインを飲んでいた。

「お、きたきた、先に飲んでたよ」

「しゃぶしゃぶ?すき焼き?どっちにする?」

「しゃぶにしよ」

水とおしぼりを持って来たスタッフにオーダーする、ビールも頼んだ。

「で、今回の件の真相はどうなんですか?」ミズキがおしぼりを丸めてオレの口元に向けた。

「……それを話しに来た。電話だと長くなるから、だけど、あのタイミングでオマエと会うって、神のいたずらだな」

「……フツーに同伴の時間帯だと思うけどな……イタリアン食べたいって言ったらあそこ連れていかれたし」

「タイミングだよ、あと1分ズレてたらオレたちは会わない」

「やっぱ、やましいんだ……」

「いや、そうじゃない、そういうやましいことも少ししたけど……」

ナニ言ってるのか、わからないから、順を追ってミズキに話した。

銀座の某店の某女からの依頼、風俗キライなこと、結果できなかったこと、包み隠さず話した。正直にミズキに話して、ミズキを味方にしたかった。

「ふーん、じゃ未遂に終わったってことね……ま、キレーなヒトだったけど、フツーのヒトには見えなかったし、ウリしてる女の子にはゼンゼン見えなかった」

「うん、オレも見えなかった」

「でも、なんでその銀座の某女のいうこと聞かなきゃならなかったの?風俗キライなのに?」

コイツ、痛いとこズバリ突いてくる。

「……むかし、ちょっといろいろあったんだ。マリと会う前に……」

「…….なるほど、むかしの女に頼まれて、断れずヒト肌脱いだと……でチンコの皮剥いてもダメだったということね」

スタッフが失礼します、と鍋を運んできた。

「ま、そういうことだ」ミズキの飲み込みが早くて助かる。

「で、アタシになんで会いに来たの?」

「……それは」

「あたしがホテルの前で会ったよ、ってマリに告げ口すると思ったんでしょ……」

「わかってるなら聞くな……その通りだよ」

「ははは……言うワケないじゃん…ホントに浮気してても、それ本気かもしれないし、だったらマリに言ってもナニも変わらないでしょ、遅かれ早かれの違いあっても現実に起きてることと、その結果は…」

やはり、ミズキは場数を踏んでいる。フツーの思考をしない。

「オマエに会いに来てよかった」

「ま、あんまり遊び過ぎないでね」

ミズキは肉を掴んだ箸を鍋で揺らしている。

「食べるよ、あたしお腹すいたし……」

ミズキの顔を、しげしげと見た。

「……なあに!キモいんだけど……あんまり見たら見物料もらうよ」

ミズキにもうひとつ質問した。

「なんで…オレ途中でダメになったと思う?」

「ははは、あたしオトコのことわかるワケないじゃん……でも、好きでもないオトコに抱かれても感じないのと同じじゃないかなぁ……」

「ド変態もダメな時あるんだって、そこだけ信じられなかったけど、マジだったんだね……」

食事を終えて店を出ると、もう帰っていいよ、とミズキに言われる。

同伴は?いらん、いらん、しゃぶしゃぶ美味しかった、ありがとうと手を振りながら走っていった。

完全にミズキから熱いファックをズンと食らった。惚れてまうわ。

翌週、帰りの道すがら葵に電話した。

いい子だったが、疲れてて途中で萎えてそれきりだった、このビジネスは成功するよ、

もっと料金高くして客絞れば?と言った。

「うん、それも考えてはいる。まずは口開けだから」

「……でも、いいホテル用意してくれて、あの子すごい喜んでたわよ、家まで送ってもらいご飯も食べたって、全部教えてくれた……」

葵が、オレに感謝していた。成功を祈ってるよ、と電話を切った。

今日もマリは遅いはず、オレは、たまにはマリの好きなうどんでも拵えてやろうと思いスーパーに立ち寄った。

まず、マリの好きな海老天を探した。鶏肉、うどん、蒲鉾、椎茸、春菊、ネギ、これだけあれば、上等なモノができる。そう、鶏肉はスープで煮込んでおこう。

すぐ食べられるように用意して待っていようマリの帰りを。

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