食材宅配サービスの配達員に先日初めて会いました。
ウチは共働きで子供もまだいなくて、それまでも食材宅配サービスを利用していたのですが、いつも帰宅すると届いているし、たまに間違って配達されていても電話連絡する先は配達員とは違う部署で、最後まで対応してくれていて、一年半掛かって初めて会いました。
何故こんなに興奮気味かと言うと、我が家に配達している人が元カノだったからです。
配達伝票の配達員の署名は結婚して変わった姓でしたし、下の名前は同じ年代では人気があった名前でありふれていて、配達員=元カノだという事に全く気付きませんでした。
私にとって最初の彼女で、私が童貞を捧げ処女を頂いた、初めて同士の思い出の元カノでした。
私は、幻か夢かと呆然と見つめていたら元カノが
「やっと会えたね」
と笑って言いました。
元カノの方は、この家に住むのが私だと知っていたのです。
私は結婚してはいるけど姓が変わったわけでもなく、子供の頃から同じ名前ですから、元カノは発注書の名前やら郵便受けの名前からで判っていたようで、いつか会えると思って配達を続けていたそうです。
私たちが別れたのも嫌いになったとか他に好きな人が出来たとかいうわけではありません。
私が大学受験を控えていたので元カノが少し距離を置いてくれて、都会の大学に合格して一人暮らしを始めたりして、落ち着いた頃には元カノが転居してしまい、郵便物は転送されてたみたいだけど元カノが気を回し過ぎて返事を出さなくて結局音信不通。
大学を出て就職したけど、気になりつつもその後知り合った妻と結婚した。
もちろん妻は嫌いではないし、むしろ好きだし尊敬もしている。
思い出は美化されるものだが、妻とは違う分野で元カノは今でも好きだった。
妻は
「愛している」
という感情だとすれば、元カノは
「憧れている」
みたいな違いかな?と思う。上手く言えないけど。
色々と話もしたかったが元カノは仕事中だし、自分の気持ちも危ない方に向かいそうな気配もあって、仕事用ではないプライベートの名刺を渡すのが精一杯だった。
大学の頃のように元カノが連絡を取りたい時に取れるように教えただけ・・・というスタンスを演じたけど、正直なところ元カノからの連絡を待っていた。
元カノというか、配達員に連絡を取りたい時は配達センターに連絡して伝言してもらうか、配達員が会社から貸与されているプリペイド式の携帯に連絡すれば足りるのだが、仕事中に個人的な用件で元カノに煩わしい思いをさせたくなかったし、元カノから連絡が無ければ、やっぱり縁が無かったんだと思えるし。
元カノの事は忘れた頃に(←嘘、あれから頭の片隅にズーッとあった)元カノからEメールが届いた。
『久しぶりだったね、元気そうで良かった。あの時は連絡しなくてごめんね。連絡してたら今と違う人生だったかも知れないって思うと私の人生最大の後悔です。また、後悔したくないので考えた末にメールしました。会って貰えたら話す事もあるけど、あなたは今の生活を守り通して下さい。奥さんとは会った事も話をした事もあるけど、あなたとの事は伏せてあります。知らない振りをしています』
とだけの文面で、なんとなく私には元カノの思いが伝わって来たように思いました。
『メール、ありがと。夕方以降、若しくは月曜日の昼間なら都合は付けられると思うから、いつかゆっくり話がしたいね。元カノへ、元カレより』
と返信した。
実は、元カノに会ってから思い出がぶり返してました。
素朴に好きで話がしたい、一緒にいたいと思って告白して付き合うようになり、付き合ううちに性的な興味が生まれ、なかなか言い出せなかったけど、キスしたら受け入れてくれて
「絶対に悲しませないし大事にするから」
と、今考えると子供じみた言葉で自分の気持ちを伝えて
「嫌われて別れるなんて言われたら、どうしよう。別れたくないし」
とか、思いを伝えた事を悔やんでたら元カノが
「私も男の身体に興味ある。2人とも経験ないし初めてだから少しずつ経験しよう。焦らないで失敗を恐れずに。って言っても未婚で妊娠は嫌だよ」
って言ってくれて、2人でハウツー物の本を見ながら、実物と合わせながら学んだのを思い出していた。
だから、私のテクニックみたいなものは元カノとの共同産物みたいなものだった。
私は大学時代には彼女はいなかった。
元カノに会いたい気持ちが一杯で、初めは郵便物が転送されているシステムを知らなくて、転居先不明で送り主に返すんじゃなくて処分されてるのかな、なんて思うようにしていた。
メールのやり取りから数日後に隣町のトラック野郎御用達みたいなラーメン屋で会いました。
こういうお店には妻は絶対に来ないし、私と元カノは付き合っていた頃はよく来ていて店でした。
以前と同じように、塩バターラーメンに茹で玉子をトッピングして食べました。
昔というほど月日は経っていないはずですが、2人が離れていた時間は随分過ぎていました。
初めはぎこちない会話でしたが、何回か会話のキャッチボールをすると、以前と同じ雰囲気で話をする事が出来るように思いました。
元カノは、引越した先で将来私と生活を共にして成り立つだろうかとか、もっと似合う人がいて幸福な家庭を築けるんじゃないだろうか、なんて考えていたようです。
「お互い、好き過ぎて相手の事を思いやり過ぎたのかな?」
と言うと、元カノも
「もっとワガママ言った方が幸せになれたかも」
と笑った。
元カノは引越した先で就職し、知り合った男性と付き合い、結婚し、子どもを1人もうけてから、仕事から旦那が半ノイローゼみたいになり、酒浸りで妻や子にも暴力を振るい始め、結局離婚。
旦那がそんなだから子供を引き取って育てているらしい。
「苦労したんだな」
と言うと、
「ねぇ、ちょっと不謹慎だけど聞いていい?」
と顔を寄せてくる。
「なに?ここで、そんなに近付くと前みたいにキスするぞ」
と唇を尖らせると
「それっ、あのさ。私と奥さんしか知らないんだよね?って事は、私を抱いたみたいに奥さんを抱いた、若しくは抱いているって事だよね?奥さんは、あなたが初めてだったのかな?」
と言う。
「妻は私が初めてで、そのまま結婚したから私だけしか知らないはず。ま、私が知らないだけかも知れないけど」
「あのさ、あなたと私が初めて同士で相談しながら試しながら覚えた事を、あなたが初めての奥さんに引き継いだんだよ。だから、初めての奥さんも安心して、穏やかにあなたと結婚したんじゃないかな?あなたは優しくて無理に求めないし気遣ってくれるし。それに今だから言えるけど、あなた、大きいし耐久力あるし・・・。ま、あなたしか知らない奥さんには判らない事だけど。私も、あなた以外の人と付き合って判ったんだけど。あなたしか知らなかった方が絶対に幸せだったよ」
相性・・・というか、初めて同士で相談しながら良い方向で進めたから、お互いに良い方向に進めたんだろう。
「ね、返事は要らないから聞くだけ聞いてね。私、やっぱり、あなたが好きだった。ずっと好きだった」
「私も君のことを忘れた事はなかったし、今でも好きだ」
「何度も、あなたに抱かれる夢を見たし抱かれたいと思った。これからも、そう思い続ける・・・。だから、あなたは奥さんを大事にしてあげて。あなたは私の良き思い出よ、これからもずっと」
・・・どうしても我慢出来なくなったら勇気だして言うから、その時は断らずに抱いてね・・・そう言われて別れました。
元カノは今も我が家に食材を運んでくれています。