「先輩……ごめんなさい…」

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前回までの評価を頂けた方々、この場を借りてお礼申し上げます。

ここまでの話を整理する為に、改めて人物紹介。

マコト(私)…当時高校2年生。見た目普通。体格も普通(170cmくらい)。

エリ…1つ年下の同じ部活の後輩。顔は今で例えると日○坂46の金村美○に似ている。身長155cmくらいで色白スレンダー系。私の彼女。

リナ…私の中学からの同級生で同じ部活。彼氏持ち。世話焼き。

前回の話の最後にリナにチョップしたところから始まります。

「全てはアタシのお陰だね(笑)これからは”リナ様”って呼んでもいいよ?あと、お礼はマックでいいよ。彼氏の分もね。」

「調子に乗るでないわ。」

「いた~い!」

「はしゃぎ過ぎ。」

「アンタこそもうチョット喜んだら?エリちゃんと付き合えるようになったんでしょ?」

「俺は家でゆっくり喜ぶから今は遠慮しておく。ところでチョップついでに頼みたいことがあるんだけど…。」

「”チョップついで”なんて言葉は地球上に存在しません!」

……この後長々とリナに説明することになったので省略しますが、要約すると

“自分とエリが付き合うようになったことは、周りには秘密にして欲しい。”

ということでした。

前回の空き教室から部室に戻る途中で、エリから提案されたことからです。

理由は簡単に言うと

“周りから色々聞かれたくないから”

というもので、私としても同感出来るものですし、何よりエリがそうしたいのであればそうしようという気持ちがあったからです。

最初は

「エ~なんで~!?」

と言いながらつまらなそうに聞いていたリナも

「まぁエリちゃんがそう言うなら仕方ないか。確かにエリちゃんは”キスはしたのか?”とか”もうヤッたのか?”とか女の子が相手でも聞かれたくないかも。シャイな子だし…。」

と言って納得していました。

この時私は

「”ついさっきパンツ見せて貰いながら、手コキして貰いました”なんて口が裂けても言えない…。」

と思いながら、先程の自分の行いを改めて反省。

もし誰かに見られでもしたら、その時点で私とエリとの関係が終わっていたかもしれません。

今思えば”若かったからとはいえ、凄いことをしたものだ”と思います。

「でも彼氏には言っても良い?それ以外には絶対言わないし、口止めもしっかりするから!」

「まぁアイツなら余計なことは言わないだろうから俺は良いけど、エリちゃんに聞かないと何とも言えないな。俺から聞いてみるからチョット待ってて。」

この後エリをこっそり呼び出し、先程のリナとのやり取りを話すと、

「先輩がリナさんの彼氏さんを信用するなら私も信用します。大丈夫です。」

という返事を貰ったので、リナにはそれ以外には絶対に言わないように念押ししておきました。

その日の夜はエリが彼女になってくれたのは嬉しかったのですが、色々あり過ぎて

”実感がない”

というか

”朝起きたら全ては夢だったってオチかも…”

などと考えてしまい、嬉しさと不安が入り混じったよく分からない感情を抱えたままベッドの上でゴロゴロしていたら、そのまま朝を迎えていました。

寝不足の状態で迎えた翌朝、自分の下駄箱の上履きを取り出すと、小さく折りたたんだ紙が一枚落ちてきました。

紙を開くとソコには

「昨日はお疲れ様でした。あの時のことは忘れられません。ありがとうございました。」

と少し丸みがかった字で書いてありました。

ソレを見た私は、

「???」

と思いましたが、書き手の意図を考えてみて

”もしかしたら…”

と思い、自分のメモ帳から紙を1枚取り

「昨日はお疲れ様でした。ドッジボールの時もお疲れ様でした。こちらこそありがとうございました。」

とだけ書いて、名札のない下駄箱から

”多分ココだろう…”

と書き手の場所を予想し、ソコに入っていたローファーに入れておきました。

その日の放課後、部室に行くとリナと他数人と話していたエリがいたのでしばらく見ていると、エリと目が合いました。

するとエリはスカートのポケットから紙をチラっと見せて小さく手を振ってくれました。

何故かは分かりませんが、

“抱擁をする”

“手コキをして貰う”

に比べれば全然大したことのないこのやり取りが

「エリちゃんは俺の彼女になったんだ…」

という確かな実感を持った瞬間でした。

私は周りには分からないくらいに小さく、しかし握力は全開でガッツポーズをしました。

それからは毎日ではありませんが、登校時に下駄箱を確認すると、小さく折りたたんだ紙が入っており

「今日も暑くて近所の犬がバテていました。私達も気を付けましょう。」

「昨日の帰りは突然の雨降りでスズメが木の下で雨宿りしていました。濡れてしまって風邪でもひいてしまわないかと少し心配になりました。」

など一見味気ない名無しの差出人の手紙が入っているようになりました。

私も書きたくなった時は、名無しの差出人の下駄箱に

「水泳の時間の後の授業は眠くなるものですが、気合で乗り切りましょう。」

「廊下の曲がり角でぶつかっている人達を見ました。油断は禁物ですね。」

などと書いたメモ用紙を入れるやり取りを繰り返していました。

こんなやり取りでも私はエリと交換日記でもしているかのような気分になり、とても幸せな気持ちでした。

夏休みまであと2日に迫ったある日、部室でまったり過ごしていると、背の高い大男が部室に入ってきました。

リナの彼氏のタケルです。

私はタケルを”ゴリ”と呼んでいます。

「なんだゴリじゃん。部活は?」

という私に

「ちょっとリナに用事があって…リナは?」

とゴリが答えると

「タケル、どうしたの?」

とリナが部室に入ってきました。

「あぁリナ、明日の終業式終わった後だけど、部活ないから昼飯行かない?」

というゴリに

「良いよ~。あ、ちょっと…」

といってリナがゴリと何やらヒソヒソ話をすると、今度は私に

「明日の終業式が終わった後に、アタシ達とエリちゃんでお昼食べに行かない?アタシ達と一緒だったら、誰かに見られても大丈夫だと思うよ(笑)」

とコソッと聞いてきました。

私は二つ返事でOKしました。

ゴリが自分の部活に戻り、いつもの部室に戻ったところで、後から部室に来たエリに先程のことを聞いてみると

「行きたいです!リナさんの彼氏さんも見て見たいです!」

と言うので、翌日は私とエリとリナとゴリでお昼を食べることになりました。

翌日の終業式が終わった後、学校から少し離れた空き地で待ち合わせ、4人でもう少しだけ離れたマクドナルドへ行きました。

「今日は俺が奢るわ。」

「エ~なんで~!?」

「お前さんが”奢れ”って言っただろうが。」

「ん~?あぁアレね。タケルも奢りだって!!」

「マジで!?悪いな~。」

「エリちゃんも奢って貰いなよ~。アタシが許すからさ~(笑)」

「えぇ!?でも…」

「まぁコイツらに奢って、エリちゃんだけ奢らないのもなんだから良いよ。」

「…分かりました。じゃあ今度は私が先輩にご馳走しますね!でも何で先輩が奢るんですか?」

「まぁソレは良いよ。」

…全員の注文が終わり、私はなけなしの小遣いで支払います。

そして全員のメニューが揃い昼食会が始まりました。

「そういえばリナさん、今日は髪型変えたんですか?ちょっとウェーブが入ってますけど。」

「そうなのよ~。エリちゃんは良く気が付く良い子だね~。明日から夏休みだしイメチェンってヤツかな。PUFFYのアミちゃんをイメージしてソバージュっぽくしたんだけど。似合うかな~?」

「いや~。良いんじゃないか?」

「確かに、獣神サンダーライガーみたいでかっこいいな~。」

「その”ジュウシンナントカ”っていうのが何なのか分からないけど、褒めてないことだけは分かるよ!」

「いやぁ褒めてるよ。なぁゴリ?」

「俺を巻き込むな。」

「あの~。タケルさん?って何で先輩に”ゴリ”って呼ばれてるんですか?」

「あぁコイツって中学時代にバスケ部で、ポジションがセンターだったんだよ。」

「今はフォワードだけどな。」

「……?えっと…ごめんなさい。意味が分かりません。」

「あ~エリちゃんは”スラムダンク”って知らないのか~。」

ここで簡単にエリに”スラムダンク”とはバスケットボールの漫画で、赤木というポジションがセンターであるキャラクターがいることと、赤木が”ゴリ”と呼ばれていることを説明しました。

「あぁそういうことですね~(笑)」

「マコトってスラムダンク全巻持ってただろ?エリちゃんに読ませてあげれば良いじゃん?エリちゃんも読んでみたら?絶対ハマるよ。」

「ゴリはスラムダング読んでバスケを始めたからな。」

「俺みたいなヤツは日本中にいくらでもいるだろ。」

「そんなに面白いんですか?それなら読んでみたいですけど…良いんですか?」

「俺は全然構わないよ。」

「ありがとうございます!」

「それにしても”ゴリ”ってヒドいと思わない!?今は色々な人が呼んでるけど、マコトが一番最初に呼び出したんだよ。理由もめっちゃいい加減だし。」

「まぁ俺は別に嫌じゃないし、人に覚えてもらいやすいから意外と役に立ってるしね。」

「ほらみろ!本人が良いって言ってるんだから良いではないか!」

「も~タケルがそうやって甘い顔するから、マコトが調子に乗ってタケルの妹にまで”ハルコさん”って呼ぶようになるんだよ。失礼だと思わないの?」※”スラムダンク”のゴリには”晴子”という妹がいます。

「ちゃんとハルコ”さん”と”さん付け”してるだろうが!」

「”ソコ”じゃねぇよ!も~エリちゃんも何とか言ってよ~。アナタの彼氏がフザけて手に負えないんですけど。」

「先輩、あんまりリナさんを困らせちゃダメですよ?」

「分かったよ。ごめん。エリちゃん。」

「アタシと扱いが全然違うんですけど~?エリツィンってこんなヤツの何が良いの?」

「え?”エリツィン”って?」

「もうマコトがアタシの彼氏に変なアダ名付けるから、アタシもマコトの彼女に変なアダ名付けちゃう!今思い付いた!」

「エリツィンってどこかの大統領か何かじゃなかったか?お前さんセンスないな~。」

「”ゴリ”よりセンスあるだろ!」

「…私”エリツィン”って結構気に入りました。今までアダ名らしいアダ名がなかったし、何か響きも可愛くないですか?」

「お~本人が気に入っちゃってるぞ。」

「まぁエリちゃんが気に入ってるなら、俺がどうこう言うことじゃないわ。」

「も~エリツィンったら~、アタシが付けたアダ名が”カワイイ”なんて、センス良いじゃん!そんなエリツィンも超カワイイよ!これからはアタシのこと”お姉さま”って呼んでいいわよ?」

「はい!お姉さま♡」

「も~コイツめ~♡」

とエリの頭を撫でているリナを見て、微笑ましく思っていました。

しばらくすると話題は”夏休みの計画”の話になります。

部活の合宿や家の用事で少し忙しいらしいゴリに、暇そうなリナはブーたれてましたが、なんだかんだでお互いの家を行き来し、一緒にいる時間を作るそうです。

私はといえば、普段は大っぴらにエリとは会えない以上、夏休みはエリと沢山会いたいと思っていましたが、エリの予定を聞いてみたら、父親がいないので養ってくれているお祖父さんに少しで恩返しをしたいから、夏休みはおじいさんの自営業を手伝うとのことでした。

夏休みはエリとは中々会えないのは寂しく感じましたが、家庭の事情なら仕方がないと思っていたら、

「アンタ達、何も予定ないの?せっかくの夏休みなんだからデートくらい行きなよ!」

「聞いてただろ?エリちゃんは忙しいんだ。」

「でも一日も暇がないワケでもないでしょ?エリツィンもお祖父ちゃんのお仕事がお休みの日にマコトとデートすれば良いじゃん。お仕事のお休みはいつ?」

「確か8月〇日です。」

「じゃあその日にデートすれば良いじゃん!」

「でも、先輩も迷惑じゃないですか?」

「良いの良いの。アンタもどうせ暇でしょ?」

「…まぁ。」

「じゃあ決まりね!マコトは暇なんだからちゃんとプランを考えなよ!」

…大変なことになってしまった。

帰りの道中はデートプランを考えなければいけないというプレッシャーで頭が一杯で、終始うわの空でした。

当時はインターネットなど全然普及していない時代で、更には今の時代で言うところの”リア充”でもない高校2年の情報量と経済力では、

”夏休みのデートプランの作成”

などとてつもなく高い壁です。

正直なところ、夏休みはエリとどこかデートしたいとは思っていましたが、どうすれば良いのか分からなかったので、エリは夏休みが多忙だと聞いて

「(“デートプランもロクに立てられないダメ男”だという事実がバレずにすむし、夏休みの間に情報を集めよう。)」

と少し安心していましたが、リナの”キラーパス”のお陰で情報を集める猶予期間が一気に減ってしまいました。

家に帰ってからも苦悩は続きます。

この時私は

“女の子と付き合えるようになるまでが難関”

だと思っていましたが、

“付き合ってからでも難関続き”

だと気付き、気軽にデートなどを楽しめるカップル達は凄い猛者達なのだと心の底から尊敬しました。

リナかゴリに電話して相談しようとも思いましたが、当時は何故か

“誰にも頼らず自分一人で考えたプランだからこそ、そのデートには意味がある”

と、変なプライドを持ってしまっていたので、プレッシャーとプライドに挟まれ一人で悶えていました。

何かヒントはないものかとしばらく考えながらエリとの”交換日記”を見ていると、そこには犬やスズメなど”動物”がよく登場していることに気付きました。

翌日朝一で近所の本屋で情報誌を読み漁り、その日の夜、エリに電話をしようと思いましたが電話番号を知らなかったので、前に約束していたスラムダンク全31巻を持ってエリの家へ行きました。

エリの家に着くと前にエリを家に送っていった時と同じように、庭先でお祖父さんが金属バットを振り回していました。

エリに用があることを告げると、何も言わず家に入っていき、しばらくするとエリが出てきました。

自宅なので紫のTシャツにハーフのジーンズというラフな格好でしたが、私にとってはエリの違う一面を見られて大満足です。

「お待たせしました。」

「あの…これ、この前話したスラムダンクだけど、返すのはいつでも良いから。」

「ありがとうございます!」

「それと8月〇日だけど、□□市に動物園があるんだけどソコに行かない?」

「はい!私動物好きだから嬉しいです!よろしくお願いします!」

「(!!)じゃあ、知り合いに見つからないように10時に〇〇駅の改札で。その後はバスに乗るだけだから。」

「分かりました。」

エリが家に入るのを見届けた後、私は両方の拳を空に突き上げました。

…エリとの約束を取り付けた私の次の行動は”資金の確保”と”当日の服の準備”です。

長くなるので省略しますが、

1.親には頼りたくなかったので、前話で少しだけ登場した”人生の師”に事情を話して、土下座して資金援助をお願いする。

2.”人生の師”が経営する仕事を夏休みの間手伝うことを条件に、資金の確保に成功。

3.洋服のコーディネートに自信がない私は、”人生の師”のアドバイスの、”お店のマネキンが着ている服をそのまま買う”ことで、全身のコーディネートを完了。

という道のりを経て、緊張しながら当日を迎えます。

決戦の8月〇日。

遅れたらマズイと思い、早めに出発したら約束の時間より1時間以上近く早く到着。

トイレに行ったり、汗拭きシートで入念に顔を拭いたりして待っていると、待ち合わせ時間より30分程早くエリがホームの階段を下りてきました。

この日のエリは白ベースに水色のラインが入ったスニーカー、ベージュのショートパンツ、英語で何か書かれている白のTシャツ、青と黒のチェックのシャツ、ショートパンツと同じベージュの帽子を被り、同じくベージュの小さな肩掛けのバッグと、スヌーピーのイラストが入った少し大きめの赤い手提げバッグでした。

数日前に見た”自宅でのラフな服装”ではなく”デートの為のおめかし”のあまりの可愛さに、頭が少しクラクラしました。

改札にいる私を見つけると小走りで私に近付いてきて

「おはようございます。待たせちゃいましたか?」

「おはよう。俺も今着いたから全然待ってないよ。」

「……嘘。」

「エ?」

「私、今の電車から一番最初に降りてきましたけど、もう先輩は改札を通った後だったもん。先輩が一つ前の電車でも20分以上は待ってるはずです。」

「…参りました。本当は少し前に着いてました。」

「待たせちゃってごめんなさい。」

「遅刻したワケじゃないから謝る必要は全然ないよ。まだ約束の時間の30分前だよ。」

「ありがとうございます……お互い気合い入っちゃってますね(笑)。」

「ですね(笑)。」

…バスに揺られながら、動物園を目指します。

「スラムダンク読みました。」

「ドコまで?」

「全部読んじゃいました。」

「おぉ!スゴいじゃん!」

「先輩と今日会うから、それまでに読み終えるつもりだったんですけど、面白いからドンドン読めちゃって、3日前には読み終わってました(笑)」

「面白かったなら、何よりです。」

「でも、夏休みの宿題があまり進められなかったから、後半頑張らないといけないです。」

「大丈夫。俺なんかまだバッグから出してもいないから(笑)。」

「コラ(笑)!」

「で、誰か良いキャラとかいた?」

「私はリョーちんですかね~。先輩は…」

「彩子じゃないよ。」

「言うと思ってました(笑)?」

「”るろうに剣心”の時のようにはいきませんよ(笑)」

「先輩も実はリョーちんじゃないですか?」

「(!!)お~スゴい!正解!よく分かったね。」

「”先輩だったら誰が好きかなぁ?”って思いながら読んでましたから(笑)そうしたら私もリョーちんが好きになりました(笑)。」

本当は

1位・三井。2位・宮城(リョーちん)。3位・ゴリ

で惜しかったのですが、この日から私の”スラムダンクで一番好きなキャラ”は宮城(リョーちん)になりました。

動物園に到着すると、エリは本当に動物好きなようで一匹一匹時間をかけて観察していました。

そんなエリは、テレビでは動物番組をよく見たり、将来は動物園の飼育員や獣医など動物に関わる仕事をしたいということを教えてくれました。

「動物園が”一つの村”だとしたらフクロウが”村長さん”だと思います(笑)」

「俺は亀だと思うけど?」

「え~フクロウですよ~。」

みたいなアホな会話をしながら見て回り、昼食の時間を迎えます。

“売店の位置はリサーチ済みだし、料金が相場の倍近いことも織り込み済み。

エリちゃんがお金を持っていなくても、資金は確保しているから問題ない”

などと思っていたら

「先輩、私お弁当作ってきました。」

と衝撃の一言。

「この前マックをご馳走になったからお返しです(笑)」

と言いながらテーブルに座ると、持っていたスヌーピーのバッグから手際よく弁当箱・おにぎり・割りばし・お茶を出してきました。

蓋を開けると、鳥のから揚げ、野菜の肉巻き、卵焼き、茹でたブロッコリー、ミニトマトなど彩り豊かな内容で、そのどれもがお世辞抜きで美味かった。

この弁当と比べれば、私があと何百回マックを奢ればつり合いがとれるか分かりません。

エリは父親のいない分母親が働いているので、家事全般を母親の代わりにやることが多いようだったので、弁当の美味さも納得です。

全て平らげ大満足の私を嬉しそうに見ているエリに、心の底から感謝しました。

日差しが少し強くなったので、屋内の爬虫類がいるエリアに向かいました。

人気がないのか誰もいません。

丁度良くベンチがあったので休憩することに…

「今日は誘ってくれてありがとうございます。動物好きだから嬉しかったです。」

「あの手紙に動物がよく登場するから、好きなのかなって思って。」

「お手紙もいつもありがとうございます。全部大事にとってあります。本当はもっと可愛く書きたいんですけど、誰かに見られたら色々聞かれちゃうと思ってあんな書き方になっちゃいましたけど…」

「良いよ。気持ちは分かるから。」

「あんな文章ですけど、いつも最後には”♡”を付けてるつもりで書いてますから(笑)」

「ありがとう(笑)」

……”その瞬間”っていうものは本当に突然で、そしてあっけなく訪れるものでして、何かの拍子で私の手がエリの手に触れた時に、お互いに自然と手を握り合いました。

目を合わせ、3秒ほど見つめ合うと、私の唇は吸いこまれるようにエリの唇に触れ合いました。

小鳥のような感じで、触れては離し、触れては離しを繰り返していると、建物の入り口から人の声が聞こえてきたので、私達は逃げるように建物から逃げ出しました。

涼むために屋内に入ったのに、出た時には入った時より体温が上がっているのを感じました。

そこからはずっと手を繋いで園内を周り、帰りのバスの中でも手を繋いでいました。

エリは弁当作りで早起きしたからなのか、手を繋ぎながら私にもたれ掛かって眠っていました。

いつもはウザったいはずの赤信号が、この時はエリを1秒でも長く寝かせてくれて、そして1秒でも長くエリと一緒にいさせてくれるありがたい存在に感じました。

元々は帰りの電車からは別々にする予定でしたが、帰りの電車も一緒に乗ることに。

知り合いに見つからないようにするためのデートプランだったはずが、結局家までエリを送っていくことになりました。

庭先を見ると、やっぱりお祖父さんが金属バットを振り回していました。

お祖父さんは気を使ってくれたのか、家の中に入っていきました。

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。嬉しかったです。コレも大切に使いますね。」

エリはお土産に買った小さなカバのキーホルダーを私に見せながら、ペコリとおじぎとをして家に入っていきました。

自宅に戻り、一日のことを何度も何度も考えていましたが、結局のところ最終的には”爬虫類エリアでの出来事”だけを何回も何回も思い出してしまい、せっかくエリが作ってくれた絶品弁当のことも遠くへ追いやられてしまっていました。

私の”人生で初めて彼女がいる夏休み”の思い出はコレでおしまいです。

この翌日からエリはお祖父さんの仕事の手伝い、私は”人生の師”の仕事を手伝うために夏休みを消化。

エリから電話番号は聞いたので夜に電話はしていましたが、”どちらかが休みの時はどちらかが仕事”といった具合で”すれ違い”とまではいかないまでも、エリとは会えないまま夏休みは終了しました。

新学期に入りました。

味気ない文章でのエリとの”交換日記”。

部活に行けばトランプをしたり、リナとの掛け合いで笑いを取る。

そんな”相変わらずな日常”が戻ってきました。

相変わらずの日常の中で起こった変化といえば

“夜にエリと電話で話すようになり、通話料が上がり親に怒られるようになったこと”

“リナが付けたエリのアダ名のエリツィンが、いつの間にか部員の大多数に浸透していたこと”

“エリと二人きりになったタイミングがあった時は、軽くキスをするようになったこと”

くらいでしょうか。

10月になり衣替えが終わった時期、私は一人悶々としておりました。

人間の欲というものは不思議なもので、”付き合えるかどうか分からない”という時期は”何かとっかかりが欲しい”くらいにしか考えていなかったのに、付き合えるようになったらなったで今度は”もう少しエリとの間に進展が欲しい”と考えるようになります。

エリからは

「私をオカズにするなら良いですよ。」

とオナニー許可を貰っていますが、

「他の”ヤリたいだけの女”と同じレベルにしないために、”好きな女”ではオナニーはしない。」

という誓いもあるため極力我慢はしていました。

しかしながらどうしようもなく我慢出来なくなった時は、

「これからは”好きな女”だけでオナニーして”その他の女”でオナニーしなければ、結果的に”好きな女”と”その他の女”は同じレベルにはならない。」

という”屁理屈”というか”自分に都合の良い解釈”で、

「エリちゃん…ごめんなさい。」

と思いながら、今までのエリとの思い出をオカズにオナニーしてしまい、終わった後は罪悪感に苛まれるというパターンを週に1回程繰り返していました。

そんな10月某日、あの時も自宅で一人悶々としておりました。

私の家の敷地内には昔は私の祖母が使っていた”離れ”がありまして、私が中学生になった時に他界してからは使っていませんでしたが、両親もまぁまぁ放任主義だったので、私の高校入学を機に管理も兼ねて私が一人で暮らしています。

電気・水道・ガスのライフラインが整っており、祖母の生活用品をそのまま使っているので

生活には不自由なく、普段は家族もあまり離れには近付きませんし、母屋には食事のために行く程度でした。

そんな離れに、母親が入ってきて開口一番

「女の子が来てるよ!」

と言うと、

「彼女なの!?そういう子がいるなら言いなさいよ!」

と言いながら、早く迎えに行くように急かされます。

母親の問いに少し困りましたが、

「うるせ~な~。」

とだけ答え、母屋の玄関に向かうと制服姿のエリがいました。

「突然すみません。」

「いや、大丈夫だけど。」

「さっきお電話したんですけど、誰も出なくて…。」

確かに自宅の電話は鳴っていましたが、私は基本的に出ないですし、エリとの電話はいつも私からなので”エリちゃんである可能性はない”と無視していました。

「…ごめん。気が付かなかった。他は誰もいなかったかな。」

「行けばもしかしたらいるかもって思って来ちゃいました。」

「おぉ。で、どうしたの?」

「スラムダンクなんですけど…。」

「あぁ返すのはいつでも良いよ。」

「ちょっとお話ししたいことがありまして…。」

「(?)…うん。じゃあ上がって。」

私はエリを離れに連れて行ったのですが、内心はかなり緊張していました。

“見られて困るようなものはないはずだし、奇跡的なタイミングで普段はそんなにやらない掃除も昨日したので不快なレベルには散らかってはいないはず。

しかしながら何が落とし穴になるか分からない。”

なんてことを思いながら離れに招き入れます。

「お邪魔します。」

「まぁ座って。」

「”離れ”ってスゴイですね。」

「婆ちゃんが使ってたのを俺が使ってるだけだから。」

「ほとんど一人暮らしですね~。ちょっと憧れます。」

「まぁメシは母屋で食べてるけど。」

…私は普段は来客など想定おらず、食器類は自分が使っているマグカップしかなかったので、エリにはマグカップに入れたお茶を、自分の分は空いたペットボトルにお茶を入れました。

「お茶くらいしかないけど…。」

「ありがとうございます。でも私がペットボトルで良いですよ。」

「まぁまぁ、エリちゃんがお客様だし。」

「ありがとうございます。」

「で、話って?」

「コレなんですけど…。」

取り出したのはスラムダンク29巻、ファンの人ならすぐに映像が浮かんでくるであろう、流川が沢北相手にシュートと見せかけてゴリにパスを送るあのシーン。

そのページがまぁまぁ大きく破れて沢北の腕がモゲてしまっており、その後ろのマルオは頭から両断されてしまっています。

パラパラと他のページをめくると所々に濡れたようなシミが付いていました。

「本当にごめんなさい。弟が私に言わずに勝手に読んでたみたいで、しかもなんでか分からないけど破いてしまったみたいで…。」

「うん。」

「あと、ポテチ食べながら読んでたみたいで…。」

「お~確かに。」

「他の巻も見て見たんですけど、破れてはいないけどポテチのシミが付いてるのがけっこうあって…。」

「そうか~。」

「”先輩にスグに伝えなきゃ”って思って電話したんですけど…。」

「そこでさっきに繋がるワケね。」

「弟にはキツく怒っておきましたから。あと全巻弁償しますから。」

「いや、弁償は良いって。」

「そんなワケには…。」

「いや、エリちゃんの弟なら俺の弟みたいなものだし、別に良いよ。」

「エ!?」

…我ながらアホなことを言ったものです。

「いや~、ジョークだよ。ジョーク。」

「ジョークなんですか?」

「ん~……いつかはジョークでなくなるというか…何と言うか…。」

「……先輩そう言えば、リナさんからちょっと面白い話を聞いたんです。」

「ん?リナがどうかしたの?」

「ちょっと耳貸して下さい。」

「ん?なになに?」

………ちゅ………

「(!?!?!?)」

「驚きました(笑)?」

「………死ぬ程。」

「さっきちょっとドキってしたからお返しです(笑)。」

「今の何?」

「今のがリナさんから聞いた”面白い話”です。夏休み中に思い付いたみたいで、ゴリさんにやってみたら、やっぱり先輩みたいに驚いたみたいですよ(笑)」

「…アイツはなんて(素晴らしい)ことを教えるんだ。」

「リナさんって面白いですよね(笑)」

「…俺、ちょっとテンション上がってきたかも…」

……私は”良い流れ”というものは存在すると、この時初めて感じました。

エリの弟が漫画を破いて、エリが電話をかけるも家には私以外おらず、エリが来た時も私はいつもは呼び鈴は無視するのにその時には母親が帰宅しており、私が出したフォローにエリが反応し、エリがお返しにリナから聞いたドッキリを仕掛ける。

ひとつでも欠けていたら、ここまでは辿り着けなかったと思います。

私とエリは少し見つめると、どちらからともなくキスをしました。

最初は一瞬触れては離す、初めての時のようなキスでしたが、次第に唇が触れている時間が長くなり、エリの口が少し開いたのでソコに小さく舌を入れていきます。

エリは少しブルっと震えましたが、口の中で私の舌先を自身の舌先でチロチロと触れていきます。

エリの下唇を私の上下の唇で挟み自身の舌で舐め上げながら、右の掌をエリの左胸に被せました。

「んっ」

とエリが私の口の中に小さく声を出すのを聞いた私は、少しだけ五指に力を入れながらブラウスとブラジャーの上から”エリが感じる場所”を探ります。

「んんっ」

と先程より大きめに声を出したのは、”ソコ”に少し力の入った中指が触れた時でした。

私は”ソコ”を中指で小刻みに擦ると

「んんっ」

と声を出し、私から口を離すと

「ハァハァ」

と少しだけ荒く呼吸をしました。

そんな状態が1分程続いた後エリの胸のリボンをズラし、ブラウスの最上段のボタンに手をかけようとした時、エリが私の手を握りました。

「先輩……ごめんなさい…」

そう言うと、私の手を私の膝に置きました。

「……今日は……その……”アノ日”なんです……。」

……私は”良い流れというものは存在するけど、それは突然止まる”ということも、この時初めて感じました。

夢の童貞卒業まであと一歩というところだったので正直かなり残念ではありますが、エリが嫌がっているのにしてしまっては、それはただの”レイプ”なので、私には”止める”という以外の選択肢はありません。

私は内心は血を吐く思いで諦めました。

「…そうか、ごめん。なんか先走っちゃった。」

「ごめんなさい…。」

「いや、エリちゃんは悪くないから。」

「………。」

「俺は大丈夫だから。」

「…先輩…ズボン脱いで下さい。」

「エ!?」

「……。」

「…手でしてくれるの?」

「……。」

「…良いの?」

「…ズボン脱いで下さい。」

私はズボンを脱ぐと、下半身はトランクスだけになりました。

童貞卒業を諦めていたこともあり萎えかけていた息子でしたが、エリがトランクス越しに息子を触ると、一気にトランクスを突き破ってしまいそうな程に大きく硬くなり、自分の手の中で硬く膨らんでいく息子の感触に反応したのか、エリの顔は少し紅潮していました。

私はたまらなくなりトランクスを脱ぐと怒張した息子が飛び出し、それを見たエリの顔の赤らみも先程より少し強くなったのを感じました。

エリはこの前と同じように、包皮を両の親指と人差し指で優しく摘み小さく引っ張りながらスルスルと下へ下げ私の息子をあらわにすると、先端にチョンと触れました。

ただし今回”触れたもの”は”右手人差し指”ではなく”唇”でした。

「エリちゃん!?」

との問いかけに聞こえたのか聞こえてないのか返事をしないまま、エリは左手を私の右手と”恋人繋ぎ”をし、右手は親指・人差し指・中指で竿の根元を支えると、そのまま私の竿の先端から触れていない箇所を隙間なく塗りつぶすように根元まで口づけをしていくと、小さく舌を出しながら今度は根元から先端までまっすぐに舐め上げていきました。

そして口づけで塗りつぶした箇所を今度は舌で塗りつぶしながら、先端から根本へ、根元から先端へと往復します。

「あ、あ、あ、」

と声が出てしまっている私を一瞥し、“塗りつぶし”が終わると亀頭を咥えゆっくりと埋没させていき、竿の半分まできたところで元に戻していく。

埋没させては戻していく…。

静かな室内に

「んちゅ…んちゅ…ずずぅ…じゅっ…じゅっ」

と小さな音だけが響き、その音が私の聴覚を支配します。

初めての経験ゆえに比較が出来ないながらも、時折歯が当たる少々の痛みから、きっとテクニックはないであろうことは推し量れますが

“好きな女の子に咥えられている”

という確かな事実だけで気持ちが昂ります。

「…すごく気持ち良いよ」

と言うとエリは私の方を向き、先程とは比べ物にならない程に紅潮した顔で小さく微笑みました。

エリは最初と同じように口づけで塗りつぶし、舌で塗りつぶし、埋没させては元に戻す動きを見せると、”何か”を確信したように今度は”一カ所”をペロペロと舐め続けます。

その”一か所”は紛れもなく私の”弱点”でありソコを舐められるたびに、

「あぁ、あぁ」

と声を出しながらエリの左手と、手近にあったクッションを少し強めに握ってしまいます。

「永遠にこうしていたい…」

と思いますが、エリが咥えた亀頭を口のなかでペロペロと舐められた時に、根本と肛門の間辺りから

“グン!グン!”

といった感覚が込み上げてきて、クライマックスの時間が近付いていることを私に悟らせます。

「エリちゃん…ごめんそろそろ…」

「………。」

「そろそろ、俺…」

「………。」

「エリちゃん?エリちゃん?」

「………。」

私の言葉には耳を貸さず、”埋没しては戻し、更には舐める”を繰り返します。

「(この子、口で受け止めるつもりか!!?)」

…”ソレ”は決して美味くはないはずです。

“物凄く不味かったらエリちゃんに嫌われてしまうかも…”

という不安がよぎりますし、

“こんなものを出してしまったらエリちゃんの口の中を汚してしまう!”

という”正義感”も働きます。

この状況を打破するのはとても簡単です。

“力づくで退かせば良い”

だけです。

腕力は当然私の方が圧倒的に上なので、出そうになったらエリを制してティッシュでも引き抜いてソコに出してしまえば良いだけです。

「(が、ソレが出来ない!!!)」

確かに

“世界一好きなこの女の子に嫌われてしまったらどうしよう…”

という不安や

“世界一好きなこの女の子を汚すワケにはいかない!”

という正義感も嘘偽りなくあります。

…しかしながら

「(世界一好きなこの女の子の口の中に、全てブチまけてしまいたい!!!!)」

…という”欲望”が私の中の”不安”や”正義感”など簡単に塗り潰してしまう程に満たされようとしています。

私は卑怯者です。

自分さえしっかりしていればこの状況を簡単に打破出来るのに…。

もっと言えばエリが私を舐める前に”ソコまでしなくても大丈夫だよ。”と言って止めさせることも出来たハズです。

にもかかわらず卑怯者の私はそれをせずに

「(…エリが自分で退きさえすれば口の中に出さなくて済む…)」

と自分の快楽を優先させ、最終的な判断をエリに委ねてしまいました。

“クライマックス”が訪れます。

「エリちゃん…もうそろそろ止めないと(口に出したい)。」

「………」

「エリちゃん、本当に出そうだから(口に出したい口に出したい)!」

「………」

「エリちゃん、もうダメだよ(口に出したい口に出したい口に出したい)!!」

「………」

「もう……あぁ……」

「…ん!ん~~~!!」

……エリの口の中で果てた時、

「ビチャッ!!」

という音が聞こえた気がしました。

それは真っ白な紙に真っ黒な墨汁でも投げつけたような感覚でした。

それと同時にドンドン脈打ち”欲望”を注ぎ込んでいく感覚は、これまでの人生ではまず味わったことのなかった快楽。

信じられませんでした。

この前”手でして貰ったあの時”よりも、更に気持ち良いことがこの世に存在するなんて…

脈動が終わり、ゆっくりと竿から口を引き抜くと、エリは両手で口を押えてうつ伏せ状態になると、俯いたまま両足をパタパタとバタつかせました。

その姿を見た私に押し寄せる罪悪感。

「やってしまった…。」

我に返った私は近くにあったティッシュを5回程引き抜いて、

「エリちゃん、ココに…」

と言うと、エリはバタつかせた足を止め、上半身を少しだけビクつかせると

「…飲んじゃった(笑)。」

と私に小さく微笑んできました。

私は手に持ったティッシュを投げ捨て、エリをゆっくりと起こすと、口をエリに押し付けました。

これまでのソレとは違う、私が舌をねじ込めば、エリが自身の舌を絡ませ応戦し、エリが舌を押し込めば、私が逃がさないように上唇と下唇で挟み込みながら自身の舌先でベロベロ舐める。

獣のように、お互いを食らい合うような時間でした。

私はお互いを食らい合う中で、

「(またエリちゃんを汚してしまった…)」

という、ドンドン湧き出る”罪悪感”を”快楽”で塗り潰そうとしました。

しかしそんな塗り潰しは、お互いの口に広がる”生臭さ”で足止めを食らいます。

「(コレが俺の味か。)」

と、自分の”生臭さ”に戸惑い少し動きを緩めると、エリはソレを察したのか、私を押し退け口の中に溜まった唾液をゴクリと飲み込むと、

「うがいしましょうか(笑)」

と言い、エリの笑顔に少しだけ救われたような気持になりながら”食らい合い”の時間は終わりました。

洗面所で口を十分に濯ぎ元の位置に戻ると、私はエリを抱き寄せました。

「エリちゃん…ごめんね。」

「………。」

「物凄く気持ち良かったから、そのまま口に出しちゃった。自分でも分かったけど、苦いし不味かった…。」

「………。」

「こんなものをエリちゃんの口に出しちゃったんだって思うと、情けない気持ちになるよ。」

「………プッ!」

「ん?」

「”先輩ってこの前もえっちなことした後に、私に謝ってたなぁ”って思ったらなんかオカシくて(笑)」

「…俺なりに反省してるんだけど。」

「ごめんなさい。先輩が私のことを大切に考えてくれてるのは分かるんですけど、えっちなことの後に謝る先輩って”イタズラとかしちゃった後に謝る子供”みたいで…。」

「ガキっぽいかな?」

「う~ん。”なんだかカワイイな”って思っちゃいます。」

「…なんか恥ずかしいけど、悪くないかも…。」

「(笑)…さっきのことは大丈夫ですよ。先輩も”物凄く気持ち良かった”って言ってくれたし、上手く出来るかどうか分からなかったけど、最後まで頑張ろうと思ってましたから。」

「口に出しちゃったのは本当に反省してますけど、本当に感謝もしています。」

「私もリナさんに感謝しています。」

「またアイツが何か関係してるの?」

「口で”する”のを教えてくれたのはリナさんですよ。」

「アイツは一体何を考えてんだ…。」

「先輩ともっと仲良くなりたかったんですけど、先輩とは学年も違うし、あんまり会えないからリナさんに少し相談したんです。そしたら色々教えてくれたんですけど、その中に…。」

「うん。」

「”いつそんな時が来るか分からないけど、覚えておいて損はないから”って口で”する”のを教えてくれたんです。」

「…うん。」

「リナさんが口で”する”のは”最高の愛情表現”って教えてくれました。”上手じゃなくても、気持ちを込めれば相手は喜んでくれるから”って。」

「…うん。」

「それで”練習するなら魚肉ソーセージが良いよ”って教わって、弟の部屋にあったえっちな本を見ながら魚肉ソーセージで練習してました(笑)」

「…弟君が自分の本を見られたことに気付いてないことを祈るよ。」

「えへへ(笑)。でも先輩が気持ち良くなってくれたみたいで良かったです。」

「でもなんかリナからアドバイス受けたって話は、なんか生々しさを感じるな。」

「そうですか?」

「だってアドバイス出来るってことは、アイツもゴリにしてるってことじゃないの?」

「う~ん…。そうですね(笑)。なんかドキドキします(笑)。」

……エリが帰る頃には少し時間も遅くなっていたので、送っていくことにしました。

エリの家に着き庭先を見ると、やっぱりお祖父さんが金属バットを振り回していました。

お祖父さんがこちらを見ると、この前とは違い私に話しかけてきました。

「…こんばんは。」

「…こんばんは。」

「…。」

「…君はエリの男なのか?」

「お祖父ちゃん!何言ってるの!?」

「……そうです。」

「……そうか。」

そう言うとお祖父さんは家の中に入っていきました。

私とエリとの関係をリナとゴリ以外で最初に知ったのは、エリのお祖父さんでした。

エリはお祖父さんのことを謝っていましたが、怒れることは全くなかったので気にしていないことを告げ、最後に軽くキスをして帰りました。

その日の夜はエリのお祖父さんとの会話が気がかりでしたが、それよりも少し前までエリがこの部屋にいたことや、口でしてもらえたことの喜びの方が私の頭の中をはるかに支配しており、それをオカズに出し残した分をオナニーしました。

この日から私の性欲に増々拍車がかかるのですが、同時に色々なものと戦う日々になるのでした。

最後までこのような駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

また、2話目で”あと2回分くらいある”と書きましたが、詳細に思い出してみるとかなり文字数を圧迫してしまったので、まだ少しだけエピソードが残ってしまいました。

もう少しだけ私の思い出話にお付き合い頂ければ幸いです。

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